8月のある日… |
真 | 「ふー…あっついねー、8月だから仕方ないかー」 |
いつき | 「この時期は東京より暑いかも!」 |
二人の女性がとある街を走っていた。 |
真 | 「そうなんですか?」 |
いつき | 「はいー、日本海側は夏暑くて冬寒いのが特徴だから」 |
真 | 「なるほど、そっかー」 |
いつき | 「それにしても、今日はいい運動日和ですねー」 |
真 | 「ボクも運動は好きなクチだけど、いつきさんも凄い動けるんですね」 |
いつき | 「趣味にとにかく運動って書いたくらい運動が好きですよ」 |
真 | 「なるほどね…ってあっ…」 |
いつき | 「どうしたんですか?真さん」 |
真 | 「カメラマンさん、置いてきちゃったかもしれないや…」 |
いつき | 「あれ?私たち二人だけになって…」 |
真 | 「もうずーっと遠くに行っちゃって…あ、やっと曲がって来たみたいです」 |
いつき | 「この暑い中、悪いことしちゃったみたいですね」 |
真 | 「それで目的地はここですよね?」 |
いつき | 「はい。先に走ってきて汗を流した方が気持ちいいかなって」 |
真 | 「確かにアクティブなボクたちらしいかもしれないですね」 |
いつき | 「カメラさんが来たら入りましょう、真さん」 |
真 | 「そうですね、いつきさん」 |
……… |
それでここがどこかというと… |
真 | 「やっぱり夏は水がいいですね、いつきさん」 |
いつき | 「ここは50mあるから、泳ぎがいがあってね」 |
真 | 「確かに学校とかだと25mだし、それにあのプールだと泳いだ気もしないしなあ」 |
いつき | 「あのプール?」 |
真 | 「いつきさんはグラビア撮影とかで行ったことがないですか?」 |
いつき | 「私はまだあんまりグラビアとかはないし…」 |
真 | 「そうですか…でも、いつきさんくらいプロポーションが良ければそういうお仕事はたくさん来ると思うけどなあ」 |
いつき | 「ありがと、真さん。トップアイドルの人からそう言ってもらえると嬉しいなぁ」 |
真 | 「でも本当に羨ましいくらいですよ。ボクに無いものをたくさん持ってて」 |
いつき | 「真さんも私の歳くらいになれば同じくらいになっているかもしれないですよ?」 |
真 | 「そうなったらいいけどなあ…」 |
いつき | 「でもそのあのプールって?」 |
真 | 「あのマンションの上の階にある室内ので、グラビア撮影とかでよく使う…」 |
いつき | 「もしかしてあの…ああ、この前うちの事務所の拓海さん達が撮影していたとこかな?」 |
真 | 「たぶんそうだと思いますよ。あのプール、この業界では有名なところですから」 |
いつき | 「そうなんだ、今度プロデューサーに聞いてみようかな」 |
真 | 「プロデューサーからだと…えっと…変な話も出てくるかもしれないので気をつけてくださいね」 |
いつき | 「ん?分かったけど…そういう場所なの?」 |
真 | 「はい、撮影スタジオなのでそういう施設って限られますから」 |
いつき | 「何か分かった気がするけど、詳しくは聞いてからだねっ」 |
真 | 「さてもう少し泳ぎますか?」 |
いつき | 「そうだね、今度は競走しようかなっ?」 |
真 | 「いいですね。50mにします?それとも折り返しで100mとか」 |
いつき | 「折り返し有りで100mで、負けないよ真さん」 |
真 | 「こっちこそ望むところです、いつきさん」 |
……… |
その夜、ここはいつきの部屋。 |
いつき | 「んーっ!今日は久しぶりによく動いたーっ」 |
真 | 「ボクも、ここ数日動いてなかったから久しぶりでした」 |
いつきはベッドの上、真は布団の上で女の子座りになっている。 |
いつき | 「私の事務所は活発な子が多いから、その子達と結構一緒に運動しているけどね」 |
真 | 「いいですね。ボクのとこはボクくらい動ける人がいないから…」 |
いつき | 「でも鍛えてるなって思うけど」 |
真 | 「はい。運動は好きですから日頃からトレーニングはしてます」 |
いつき | 「ダンスもやっぱり得意だったりするんだ?」 |
真 | 「歌とビジュアルとだったらやっぱりダンスが得意かなあって」 |
いつき | 「私もどっちかっていうとダンスが得意だな。歌はまだまだだし…」 |
真 | 「トレーナーさんに鍛えてもらえば大丈夫ですよ。自然と身につきますって。ボクもそうでしたから」 |
いつき | 「それにしてもやっぱり筋肉質って感じだね、真さんの身体」 |
真 | 「そうですか?」 |
いつき | 「お風呂で見たけど、無駄な脂肪なんて無い感じでさっ」 |
真 | 「脂肪だったら…」 |
真は自分のある場所を指した。 |
真 | 「ここに欲しかったですよ、アハハ」 |
いつき | 「今の真さんは今の真さんらしい身体をしている気がするよ」 |
真 | 「そうでしょうか?ボクはいつきさんの身体つきが羨ましくって」 |
いつき | 「こんなにあってもダンスとかの時は困るよー」 |
真 | 「でも女性らしくて素敵です」 |
いつき | 「そう言われると少し照れるよ」 |
真 | 「せめて80…もう少し成長して欲しいな」 |
いつき | 「そんな、胸だけが女の子じゃないと思うよ」 |
真 | 「………」 |
いつき | 「だって、今のファンもプロデューサーも、今の真さんが好きだからってことじゃないかなって」 |
真 | 「それは…」 |
いつき | 「自分は自分で他の人になれるわけじゃないしさっ、等身大の自分で行くしかないと思うんだけどさっ」 |
真 | 「そう…ですね」 |
いつき | 「それでも高めるのは間違いじゃないと思うし…そういうことだと私は思うな」 |
真 | 「なるほど…そういう考えはあまりなかったなあ」 |
いつき | 「何だかこの業界の先輩にお説教みたいなことしちゃった!」 |
真 | 「いいんです。いつきさんは人生では先輩ですから」 |
いつき | 「先輩かあ…懐かしい響きかも」 |
真 | 「いつきさんって今、22歳でしたよね」 |
いつき | 「うん。だからそう呼ばれたのも結構前の話だって思うとね」 |
真 | 「そんな22歳には見えないですよ」 |
いつき | 「そうかな?」 |
真 | 「最初お会いした時は、20歳いってないと思ったくらいですから」 |
いつき | 「お世辞でも嬉しいなっ」 |
真 | 「いや、本当ですって。歳を聞いたときに驚きましたもん」 |
いつき | 「私もまだいけるってことかな」 |
真 | 「お酒を飲んでいる姿はやっぱり20歳以上だって思いましたけど」 |
いつき | 「あー、そっか。そうだよね」 |
真 | 「さっきは止めてくださってありがとうございます」 |
いつき | 「さすがに未成年アイドルに飲ませるわけにはいかないからさ」 |
真 | 「まさか飲まされそうになるなんて…」 |
いつき | 「あとで私の親にはよーく言っておくからね」 |
真 | 「ありがとうございます…」 |
二人はそのまま眠る前のストレッチをしあいながら、その顔は笑顔だったという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Makoto KIKUCHI.