ここは12月の… |
雪歩 | 「プロデューサー、もう大丈夫ですか?」 |
P | 「ああ、いつでも始めてもらって構わないぞ」 |
雪歩 | 「そ、それじゃあ始めますぅ…」 |
雪歩はプロデューサーの持っているカメラに向き直った。 |
雪歩 | 「はい、萩原雪歩です。明日が私の誕生日なので、今回は旅行に来ています」 |
そのカメラに向けて喋り始めた。 |
雪歩 | 「私が訪れているのは…」 |
プロデューサーがカメラを持って少し下がった。 |
雪歩 | 「名古屋です。クリスマスも近いから人が多いですね」 |
背景に駅が入り込んだところでまた話を続けた。 |
雪歩 | 「それで今日と明日、私と一緒に旅をしてくれる人は…」 |
雪歩はその人を手招きで招きいれた。 |
貴音 | 「よろしいのですか?」 |
雪歩 | 「はい…お願いします」 |
貴音 | 「では…」 |
隣へとやってきたのは… |
貴音 | 「はい…今回雪歩殿と旅をさせていただくことになりました、四条貴音です」 |
雪歩 | 「貴音さんと旅なんて…夢みたいです」 |
貴音 | 「わたくしも、雪歩殿となるとは驚きと嬉しさと混ざっております」 |
雪歩 | 「貴音さんは誕生日は誰とでした?」 |
貴音 | 「わたくしですか?わたくしは亜美と一緒でありました」 |
雪歩 | 「私は真ちゃんのに一緒に行きました。あの時期は暑かったですぅ」 |
貴音 | 「フフフ…そうでしょう。わたくしは誕生日も来月でありますので、2回ともこのような時期になりましたよ」 |
雪歩 | 「貴音さんの誕生日は1月ですもんね」 |
貴音 | 「はい…」 |
雪歩 | 「それで今回の旅はみんなと違って…」 |
貴音 | 「わたくし達、2日間ともに名古屋を満喫することになっております」 |
雪歩 | 「私たち以外だと、あとは響ちゃん真美ちゃんコンビの沖縄の時だけかな?」 |
貴音 | 「確かそうなりましょう」 |
雪歩 | 「次の場所に移動することがないのでゆっくりと過ごせますね」 |
貴音 | 「そうですね…ゆっくりと名古屋を楽しみましょう」 |
雪歩 | 「プロデューサー、それでこれからどうするんですか?」 |
P | 「まずはお昼だな。名古屋名物をこの2日間で存分に味わってもらうからな」 |
貴音 | 「じゅるり…これは楽しみでありますね…」 |
P | 「貴音、涎出てるぞ」 |
貴音 | 「申し訳ありません…つい…」 |
……… |
ここは名古屋市から少し離れた市にある温泉旅館… |
貴音 | 「ふう…これは芯から温まります…」 |
雪歩 | 「はう…気持ちいいですね貴音さん…」 |
雪歩と貴音は用意してもらった家族風呂の露天風呂にいた。 |
貴音 | 「雪歩殿はこの一年はいかがでしたか?」 |
雪歩 | 「この一年もまた…」 |
ぴとっ |
雪歩は貴音へと寄り添った。 |
雪歩 | 「楽しい一年でした」 |
貴音 | 「わたくしもです…雪歩殿とともに活動して…幸せな一年でありました」 |
雪歩 | 「貴音さんは来年はどんな一年にしたいですか?」 |
貴音 | 「来年もその…」 |
ぎゅうっ |
貴音は雪歩を引き寄せた。 |
雪歩 | 「ひゃんっ!?」 |
貴音 | 「またこうして共に高みを目指しましょう」 |
雪歩 | 「…はい」 |
貴音 | 「しかし…やはり12月ともなるとこちらも寒いですね」 |
雪歩 | 「そうですね…でも貴音さんとこうして過ごせると思っただけで…」 |
チュッ |
雪歩は顔を貴音に向けて唇を合わせた。 |
雪歩 | 「ちょっと温かくなれました」 |
貴音 | 「フフフ、わたくしもですわ」 |
雪歩 | 「今日はその…」 |
貴音 | 「そうですね…雪歩殿は真と…されたのですか?」 |
雪歩 | 「…はい…貴音さんも亜美ちゃんと…したんですよね?」 |
貴音 | 「そうなります…あの外は雪の降る中、そこだけは暑いくらいのことになっておりました」 |
雪歩 | 「あ、あの…」 |
貴音 | 「は、はい…」 |
雪歩 | 「今はこの話は無しにしましょう」 |
貴音 | 「そうですね…」 |
……… |
ここは旅館の部屋。二人の布団は…当たり前のようにくっ付けられていた。 |
雪歩 | 「フフっ、やっぱり貴音さん今日はよく食べてましたね」 |
貴音 | 「出される物がわたくしにとっては新鮮で、目に新しい物ばかりでした」 |
既に布団へと潜っている二人。 |
雪歩 | 「ケーキも貴音さんの胃の中に半分くらい入っちゃったかなぁ…」 |
貴音 | 「雪歩殿のためのケーキでしたのに…申し訳ありません」 |
雪歩 | 「でも、私は貴音さんの幸せそうな顔を見てるだけで幸せだったかなって」 |
貴音 | 「ゆ、雪歩殿…」 |
雪歩 | 「だから食べられなかった分は…」 |
チュッ |
雪歩はまた口付けをした。 |
雪歩 | 「ここで食べさせてもらってもいいですか?」 |
貴音 | 「雪歩殿に食べられるのならば…歓迎いたします」 |
雪歩 | 「明日まで時間はたっぷりあるんですよね」 |
貴音 | 「移動がありませんから…今日はわたくしのことをじっくりと味わっていただきましょう」 |
雪歩 | 「それにしても…外が静かですね」 |
貴音 | 「確かに…音がまるで止まったかのようで…」 |
雪歩 | 「もしかして…雪かなあ?」 |
貴音 | 「どうやら…そのようですね。一段と冷えて参りました」 |
雪歩 | 「こんな時は…」 |
ぎゅうっ |
雪歩は貴音に抱きついた。浴衣越しに温もりが互いの身体を温めていく。 |
雪歩 | 「抱き合って身を寄せ合うと温まるんですよね?」 |
貴音 | 「それだけではないでしょう?」 |
雪歩 | 「はい…」 |
貴音 | 「もっと…素肌で感じあいましょう」 |
雪歩 | 「貴音さん…」 |
貴音 | 「雪歩殿…」 |
チュッ |
雪の降りしきる静かな中…朝までまるで永久機関のように温もりの交換は止まることはなかったという |
HAPPY BIRTHDAY!! Yukiho HAGIWARA.