Pencil Sketch(鉛筆のスケッチ)

とあるオフの日のこと…
雪歩「はぁ…うぅ…」
「どうしたんだ?雪歩、何だか浮かない顔だな」
雪歩「プロデューサー…どうして私とやよいちゃんでユニットにしたんですか…?」
「何でって…聞きたいのかい?」
雪歩「だって…ひんそーでちんちくりんでダメダメな私なのに…」
「そこまで自分を卑下しなくたっていいだろ、雪歩」
雪歩「こんな私とのユニットなんて、やよいちゃんのテンションまでダメになっちゃいますよぉ…」
「しょうがないな、聞かせてあげようか?」
やよい「どうしたんですか?プロデューサーと雪歩さん」
と、そこにやって来たやよい。
「お、ちょうど良かった」
やよい「プロデューサー、何かあったんですか?」
「やよいにも話したことが無かったからな、やよいは知りたい?」
やよい「え?え?何のことですか?」
「どうしてやよいと雪歩でユニットを組んだかってこと」
やよい「…はい!そういえばちょっと気になってました」
「まあ大体は分かっていると思うけど、相乗効果を狙っていたっていうのが一つ」
雪歩「それ以外に…何かあったんですか…?」
「あるんだけど、それも聞きたい?」
やよい「ぜひ聞かせてください!プロデューサー」
「雪歩は?」
雪歩「私にも…聞かせてください」
「よし、じゃあ話そうかな…これはユニット名にも関係してるからね」
やよい「そ、そうだったんですか?」
「うん。二人に共通していることが切欠でもあり、由来でもあるからさ」
やよい「私たちの共通点ですか?」
「まあ共通点って言うと少し違うかもしれないけど」
雪歩「えっと…何でしょう?」
「うーん、そうだな…ちょっと二人で考えてみたらどうかな?」
雪歩「「えっ…?」」
「ほら、あの部屋の鍵を貸すからさ。自主レッスンに来てたんだよな?今日は確か」
雪歩「あっ…そうでした…けど」
「それにさ、二人きりになったことはそんなに無かったよね?」
やよい「そういえば、プロデューサーといつも一緒だったから、二人きりって無かったです」
「だからちょうどいい機会だし、二人の親交を深めるにもいいんじゃない?」
やよい「うっうー!それはグッドアイディアですー。雪歩さんはどうですか?」
雪歩「私が…やよいちゃんと…うん…ちょっとやってみたいな…」
「よし、えっと…この鍵だな。二人とも3階のあの部屋は分かるよな?」
雪歩「はい…あのキーボードのある部屋の…」
「ああ、その部屋だよ」
やよい「プロデューサーは今日は何時まで居るんですか?」
「今日は6時には帰るつもりだから、それまでに返してくれればいいよ」
雪歩「わかりました…行こう、やよいちゃん」
やよい「はいっ、雪歩さん」
………
ここは3階のレッスン部屋。防音設備も完備してあり、何をやっても支障は無い部屋である。
雪歩「やよいちゃんは…ボーカルレッスンだったよね…?」
やよい「そうですっ、雪歩さんに比べるとやっぱり弱いですから」
雪歩「私はそんなこと無いと思うけどなあ…」
やよい「でもでも、雪歩さんに比べたら全然ダメだと思ってます」
雪歩「私だって弱いから…一緒に練習しようね…」
やよい「はいっ!」
 
やよい「うう…やっぱりダメです…」
雪歩「でも仕方ないよ、その明るさがやよいちゃんの魅力だから」
やよい「だけど…この曲は明るさは必要無いのに…こんな声なんて…いらないです…」
雪歩「やよいちゃんっ!」
その言葉にやよいの両肩を掴む雪歩。
やよい「ゆ、雪歩さんっ!?」
その勢いに驚くやよい。
雪歩「簡単にそんなこと言っちゃダメっ!それも含めてやよいちゃんの個性なんだからっ!」
やよい「わ、私の…個性ですか?」
雪歩「その個性を捨てたやよいちゃんはやよいちゃんなの?」
やよい「えっと…それは私じゃないです」
雪歩「そうだよ、だからそんなことは思わないで…自分を持って…」
やよい「分かりましたっ、私は私…ですね」
雪歩「そういうことだよ。私だって朝ご飯とか、明るい曲は苦手だから…ね」
やよい「それは、私がいるから大丈夫ですっ!」
雪歩「う、うん。そうだね…明るい曲は任せられるから頼もしいな」
やよい「うっうー!雪歩さんと一緒ならどんな曲でも大丈夫ですねっ」
雪歩「私もやよいちゃんと一緒なら…どんな歌でも大丈夫…だよ」
やよい「あ、これが相乗効果なのかなあ?」
雪歩「そうだと思うけど…そういえば、これが組んだ理由じゃ無いって言ってたよね」
やよい「あ、そうでした。そういえばどうしてだったんでしょう?」
雪歩「ユニット名がペンシルスケッチだから…鉛筆画かなあ?」
やよい「鉛筆画って、鉛筆で描く絵ですよね?」
雪歩「そうだと思うけど…うーん、難しいね」
やよい「あ!雪歩さんって、でも私は違うから…」
雪歩「そういえばやよいちゃんって…でも私は違う気がする…」
やよい「雪歩さんって…」
雪歩「やよいちゃんって…」
雪歩・やよい『凄く芯が強い(です)よね』
雪歩・やよい『えっ…!?』
二人は顔を見合わせて…
やよい「そ、そんなこと…私そんなこと無いですよ、雪歩さん」
雪歩「やよいちゃん、私だってそんなに強くないよぉ…」
やよい「雪歩さんは強いです、私にとっては自分の考えを凄く持ってて芯が強いお姉ちゃんです」
雪歩「やよいちゃんだって、自分の思ったことはやり通す芯が強い女の子だよ」
やよい「そ、そう言われると何だか照れちゃいますぅ…」
雪歩「わ、私だって照れちゃうよぉ…」
やよい「でもでも優しくて心が強くて素敵です、雪歩さん」
雪歩「やよいちゃんも、優しくて心が温かくて素敵だよ」
やよい「雪歩さん…」
雪歩「やよいちゃん…」
二人の距離は少しずつ縮まり…
チュッ…
いつしか二人の唇は触れ合っていた。
やよい「あっ…えっ…」
雪歩「やよいちゃん?」
やよい「私…女の子とキスするなんて…どうしちゃったんだろう」
雪歩「フフッ…心から許せるってことだと思うよ…」
やよい「私が雪歩さんを…はいっ!」
雪歩「うん。大好きだよ、やよいちゃん」
やよい「私も雪歩さんのことが大好きです」
ぎゅっ
二人はどちらからともなく抱き締めあっていた…
雪歩「えっと…後はやよいちゃんってビジュアルレッスンだっけ?」
やよい「はい。雪歩さんはダンスレッスンでしたよね?」
雪歩「うん、それじゃあ一生懸命やって…プロデューサーを驚かせちゃおう」
やよい「はいっ!でも…」
雪歩「どうしたの?やよいちゃん」
やよい「もう少しだけ…このままでいいですか?温かくて…」
雪歩「私も…このまましばらくやよいちゃんと…」
二人の心はここに繋がったようであった…
 
やよい「プロデューサー、ありがとうございましたっ!」
雪歩「プロデューサー、鍵お返しします…」
「お、おつかれさま。自主レッスンはうまくいった?」
その言葉に二人は顔を見合わせてから…
雪歩「はい、とっても…」
やよい「良い感じにできちゃいました!」
「その様子だと何か掴んだみたいだね」
雪歩「色々分かりました…ねっ、やよいちゃん」
やよい「はいっ、雪歩さん」
「…たぶん二人の考えと俺の考えは一緒…かな」
これからもこの二人の想いは、ファンの心へと無限に描かれていくだろう…
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あとがき
飛神宮子です。
あまり無い組み合わせ第2弾、今度は『ゆきやよ』です。
雪歩もやよいも、芯が強くて優しい女の子ですもの。
可愛ければいいんですっ!しかし、雪歩が難しかった…。
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2008・03・10MON
飛神宮子
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