Pace of Change(変化のテンポ)

ここはある日の事務所…
真美「ねえいおりん」
伊織がソファでまったりしている所に真美がやってきた。
伊織「急にどうしたのよ真美」
真美「んー、ちょっと聞きたいことがあるんだー」
伊織「珍しいわね…それで何なの?」
真美「あのさー、今いおりんは亜美とあずさお姉ちゃんと一緒にやってんだよね」
伊織「それでどうしたの」
真美「ぶっちゃけ、亜美ってどう?」
伊織「へ?」
真美「何か聞いてみたいんだよね、真美がいないとこだとどんな感じなのかって」
伊織「なるほどねえ…」
真美「ねえねえ、どうなの?」
伊織「そうね…破天荒なのは相変わらずね」
真美「それは分かるかもしれないなー」
伊織「竜宮小町の中では元気担当っていったところかしら」
真美「あずさお姉ちゃんといおりんだとそうなっちゃうよね」
伊織「ま、私も妹ができたみたいで…そこは少し嬉しいかもしれないわ」
真美「ふーん、なるほどなるほど」
伊織「今の亜美にとっては私が歳が近くて一番近くにいる構える相手なんじゃないかしら」
真美「真美の知ってる亜美とはちょっと違う感じかもね」
伊織「そうかしら?」
真美「家族ってことでそこまで遠慮されないもん」
伊織「それはあるかもしれないわ」
真美「それにさー、まだ亜美の方が上って感じがするからね」
伊織「やっぱり昔のことが影響しているの?」
真美「亜美はある程度名前が売れてるけど、真美はそうじゃないし…」
伊織「昔は二人で双海亜美だったものね」
真美「だから今でもまだまだ負けてるって感じかな」
伊織「あの時代って真美はどうだったの?」
真美「うーん、自分が自分じゃないっていう感じだったからさ」
伊織「そうよね、事務所では二人で一緒に騒いでたけれど」
真美「もう、それは言わないで欲しかったなー」
伊織「そうね」
真美「自分が出てるのに、それが自分じゃないんだもん。不思議だったしそれに」
伊織「それに?」
真美「何かちょっと悲しい気分だったかも。出られる嬉しさもあったけど…」
伊織「自分が自分として認められてなかったから?」
真美「それだと思うよ。自分を否定されているまではいかなかったけどね」
伊織「真美も苦労してたのね…」
真美「その分は兄ちゃんが優しかったから良かったんだけど」
伊織「プロデューサー?」
真美「うん。亜美の方が出てる時とか真美をちゃんと気に掛けてくれてたもん」
伊織「…そうなのね、フフフ」
真美「そういえば律っちゃんってどうなの?」
伊織「律子のこと?そうね…やっぱり厳しいわよ」
真美「兄ちゃんよりも?」
伊織「やっぱり必死なのよ、きっと。やよいのこと知ってるかしら?」
真美「やよいっちがどうしたの?」
伊織「やよいと半年前くらいまでほとんど一緒に活動してなかったでしょ?」
真美「そういえばそうだった気がする」
伊織「やよいと一緒にまたやるようになったのは、律子の誕生日からなの」
真美「その頃だっけ、何かやよいっちが律っちゃん担当になるって兄ちゃんが言ってたよ」
伊織「私達をちゃんと育てたら、やよいもまた自分の方に置くって決めてたらしいわ」
真美「そうだったんだ、それは初めて聞いたかも」
伊織「やよいから律子との旅行の後帰ってきた時に、改めて話は聞いたわ」
真美「それでそれでー?」
伊織「ちょっと涙流してたかしら…嬉し涙みたいだったわね」
真美「やよいっちのそういうとこ、見たことないなー」
伊織「やよいもやよいで努力していたんでしょ?」
真美「あ、うん。ダンスも人一倍覚えてたし」
伊織「そうなの?」
真美「うん。どの場所でもちゃんと踊れるようにしてたんだって」
伊織「どの場所でもって…」
真美「律っちゃんといつまた一緒になっても、どこのポジションでもいいようにだって」
伊織「そうなの…やよいってそういうところは努力家になるわよね」
真美「振付師の先生にも一番話を聞いてた気がする」
伊織「律子も喜んでいたのよ。やよいが自分のためにやってくれていたって」
真美「本当に律っちゃんとやよいっちって相思相愛って感じするよね」
伊織「あの二人見ていると…ちょっと妬いちゃうわ」
真美「いおりんってやよいっちのこと気に入ってるんだよね?」
伊織「でもあの二人には入っていけないって感じもするわ」
真美「うんうん」
伊織「…そういえばどうしてこういう話になったんだったかしら」
真美「んーと、確か亜美のこと聞いててそれからだったんじゃないかな」
伊織「それよそれ。どうして私に急に亜美のこと聞いてきたのよ」
真美「えっと…最近亜美がちょっと変わってきた気がしてたんだ。だから何かあったのかなって」
伊織「何かあったかしらねえ…私たちの活動はちょっとハードになったくらいで変わってないわよ」
真美「そっかあ…じゃあアイドル活動じゃないのかなー」
伊織「もう中学生なんだから、真美が知らないこともあるんじゃないの?」
真美「そうなのかなあ…」
伊織「真美はどうなのよ?」
真美「真美?真美は…変わったのかなあ?」
伊織「亜美が言ってたわよ。真美も最近活き活きして変わってきてるって」
真美「今までの分が発散してるって感じなのかも」
伊織「…それだけじゃないわね?」
真美「…いおりん、するどいよー」
伊織「何かあったのね?」
真美「何か無いって言ったら嘘になっちゃうけど…」
伊織「どうせプロデューサーのことでしょ?」
真美「何か…今まで以上に心許せちゃうって感じなのかなー」
伊織「でもプロデューサーにはちゃんと小鳥がいるのよ?」
真美「それは分かってるもん。でも近くにはいて欲しい人って感じだよ」
伊織「それもそうね…それは私だってそうだもの」
真美「別にピヨちゃんから奪うとかそういうのは考えてないし」
伊織「ま、いずれもっと良い人が見つかるんじゃないかしら」
真美「それだったらいいけど…ま、真美たちはまだアイドルだからねー」
伊織「先のことは先のことよ」
真美「そだねー」
二人はそのまま女の子だけの話になぜか花が咲き続けていたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
今年最後のSSは真美と伊織の何気ない風景から。
グループの妹としての亜美、実の妹としての亜美、感じ方はそれぞれでしょう。
相手が変化して見えたのは自分が変化したから、もしかしたら真美にとってはそうなのかもしれません。
今年一年ありがとうございました。では、良いお年を。
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2012・12・31MON
飛神宮子
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