Two Letters Octave(二文字のオクターブ)

これからいよいよ暑くなってくる頃のこと…
「へえ、それなら一度行ってみたいなあ」
「それなら来るといいさ、真なら歓迎するぞ」
「どうしたんだ?二人とも」
「あ、プロデューサー。えっと…へへん、内緒です」
「確かにプロデューサーは聞かなくても良いことだな」
「ところでプロデューサー、このスタジオの貸し時間はあとどれくらいです?」
「ああ、あと30分だな。でも結構色々激しかったからきつかっただろ?」
「これくらいなんくるないさー」
「あと30分かあ…響、響はあとどの曲がやり足りない?」
「そうだな…真は『Next Life』は大丈夫なのか?」
「うーん…二人で踊るとなるとまだちょっとなあ」
「それならその曲仕上げちゃった方が良いな」
「プロデューサー、『Next Life』をお願いできますか?」
「分かった、ちょっと待ってな」
 
約20分後…
「フーーー、真もだいぶ出来てるぞ」
「そうかな、でも響には敵わないなあ」
「真も響もおつかれさま、はいこれ」
二人に飲み物を手渡すプロデューサー。
「サンキュ、プロデューサー」
「ありがとうございます、プロデューサー」
「二人とももうこの曲のダンスは大丈夫だな、歌の方は大丈夫か?」
「自分は大丈夫…ってか、自分の曲だしな」
「ボクはもうちょっとかなあ」
「もう少ししたら二人で収録だからな、それまでちょっとボーカル多めにしとくか」
「お願いします!」
「よし、二人ともそれ飲んだら帰る準備してくれ」
真・響「「はいっ!」」
………
「今日は事務所まででいいのか?」
「はい、ちょっと響の家に行こうって思って」
「なるほど、そういうことか」
「真!内緒だって約束だろ!」
「あ…」
「さっき話をはぐらかしたのはそれだったんだな」
「はい…そういうことです、別に言っても良かったんですけど」
「真に色々自分の動物を見せてやろうって」
「ははあ…真、気をつけてな」
「え?どうしてですか?」
「俺にはこれ以上は言えない、達者でな」
「え?え?ええっ!?」
「真、来れば分かるさ」
キョロキョロ二人を見回す真を余所に、二人はどことなく不敵な笑みを浮かべた。
………
「真ー、入っていいぞー」
「んー、了解」
ガチャッ
真がドアノブを捻ったその先には…
「それじゃあおじゃましまーす…ってうわあっ!?」
ワンワンワンっ
「こらあっ、いぬ美!真は女の子だぞ!ほら、離れろっ!」
「重いっ!重いって!」
どうやらいぬ美が真に馬乗りになったようだ。
ハッハッハッハッ
「ゴメンな真、何だかすっかり真のこと気に入ったみたいだな」
「響、くっ…重いから早くどかしてって!」
「ほらいぬ美、今ご飯出すからそっち行って」
ワンワンっ
その声にようやく離れて行った。
「ふう…いきなりだったからびっくりしたなあ」
「でも真が動物に嫌われてなくて良かったぞ、それじゃ案内するから入って」
「うん、それじゃお邪魔しまーす」
 
「うわあ、本当にいっぱい居るなあ」
「そうだろ?こっちがウサギのうさ江」
「可愛いなあ…本物のウサギなんてそんな見ないもん」
「こっちの鳥が、オウムのオウ助だぞ」
「こんなに色々居て喧嘩にならないの?」
「大丈夫、それぞれ分けてケージには入ってるしな」
「それでこれが…」
そこで真の顔が豹変する。
「ヘ…ヘビーー!?!?」
「何だ?真はヘビは苦手なのか?」
「響は何でそんな普通に触れるんだ?」
「普通も何も可愛いじゃないか、ほら触ってみろよ」
「ダメダメダメダメダメ!」
「少しくらいいいだろ、ひんやりしてて気持ちいいぞ」
「そ…そうなの?じゃあちょっと…」
つつつつつ
勇気を出してヘビに触れてみる真。
「確かにそう思うけど、やっぱりボクにはダメかもなあ…」
「真も怖がりだなあ。ほらへび香、それに入ってろ。あとはこっちが…」
「ワニも飼ってるの!?」
「ああ、ちょっかいさえ出さなければ大丈夫だぞ」
「へえ…でもこんなにいっぱい居ると寂しくなんかなさそうだね」
「…そんなことないさ」
「えっ…」
「自分、沖縄から一人で上京してきて…961プロであんなことしちゃって…」
「………」
「自分から一人になることを選んじゃってたん…うわあっ!?」
ぎゅうっ
ぽつりぽつり話していた響を抱きしめた真。
「響はもう…一人じゃない。響はボクと二人で『Greet』だから」
「真……うん、ありがとな」
「今度の休み、一緒にどっか出かけない?」
「そうだな、新しい餌も欲しいしいいぞ」
「よし、今度の休みはこれで決まりっと」
「オッケー。あ…もう夕飯だな、食べてってくれよな」
「え?響って料理得意なの?」
「むー、できないと思ってるな。お店にも負けない沖縄料理ごちそうしてやるぞ」
「うわあ、何だか楽しみだなあ」
二人の真なる響は、これからさらに皆へと降り注ぐことだろう…
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あとがき
飛神宮子です。
これは響が765プロへと移った後のお話です。
名前が一文字の二人、似たようでやっぱり違うんですね。それを感じました。
ちなみにこのユニット名「Greet」は「歓迎する」という意味です。
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2009・05・29FRI
飛神宮子
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