Lock to Choose one's Occupation?(職業選択の不自由?)

「え?こんな調査もしてたんですか?」
小鳥「はい、やってみたらなかなか面白い結果が出ましたよ」
小鳥から差し出された葉書やらメールやらが入った箱には…
「765プロのアイドルには向かない職業…って」
小鳥「まあみんな、今となってはアイドルが天職ですけど…ね」
「そうですよ…とは言え衣装の時と同じようにけっこうな量ですね、また」
小鳥「はい。でも逆にそういうのをやらせたくないので…衣装だけでもしてみたらっていうのもあるのかと」
「なるほど…」
小鳥「どうです?また見てみます?」
「そうですね、せっかくの全員をオフにしてる日ですし」
………
「まずは春香…っと、そそっかしいところを巧く突いてる意見が多いな」
………
春香『ブランデーでしたら、こちらが合うと思いますが』
お客P「それ、幾らになります?」
春香『こちらですと、ペアで4千円ほどになりますけど』
お客P「んー…人数が来るのでもう少し安いのはありませんか?」
春香『そうですね…あ、とっておきのがあります!ちょっと取ってきます…ふわあっ!』
どんがらがっしゃーん
盛大に通路へと転んだ春香。
お客P「だ、大丈夫ですか!?」
春香『痛たあっ…大丈夫ですけど…あ、商品は!?』
お客P「なんとか無事みたいですよ、びっくりしたあ…」
………
「ガラスとかはさすがに怖いな。次は千早か、真面目過ぎるところがなあ…」
………
千早『これでどうでしょうか?』
編集長P「んー…もう少し文章が丸くならないか?文化欄なのに堅すぎるぞ」
千早『そう言われましても、こうしなくては伝わりません!』
編集長P「いや、伝えるのも確かに大切かもしれない。しかしだね…」
千早『でもこれ以上要素を削っては…』
編集長P「いや、読者は意外と分かってるものだぞ」
千早『そうでしょうか…?』
編集長P「ああ、もう少しだけ考えてはみてくれないか?」
千早『分かりました、やってみます…』
編集長P「そんなに根は詰めなくていいからな」
………
「誰だ?こんなマニアックなのをよこしたのは。次はあずささんか。やっぱり方向音痴に関わるネタが多いか」
………
あずさ『こちらは歴史博物館でございます。こちらの建物は〜…』
お客P「ん?」
あずさ『あ、はい。こちらの建物は銀行の旧店舗が用いられています〜』
お客P「なるほどなるほど…」
あずさ『こちらのメインとなる建物は、昔の税関庁舎となっています〜』
お客P「けっこう凄いなあ…」
あずさ『あらあ?ここからどっちに行くんでしたっけ〜?』
お客P「え?え?」
あずさ『うふっ、今ちょっと思い出しますね〜』
お客P「ちょ、ちょっと…しっかりしてくださいよ」
………
「ガイド役は向いてなさそうだなあ…お、亜美たちはいたずらっ子がポイントなのか」
………
亜美『お客さん、相当疲れてるねえ?』
真美『うんうん、何かだいぶ硬くなってるよー』
お客P「やっぱりそういうのは分かるんですか」
亜美『なかなか亜美たちの力じゃコリが解れないねー』
真美『どうしよう亜美、あれ使う?』
亜美『そうだねー、お客さんなら耐えられそうだもん』
お客P「えっ!?えっ!?」
真美『ちょーっと電気使うけど我慢してねー』
亜美『行くよーっ!』
お客P「ちょ、待っ…ぎゃーーーっ!!!」
………
「こういうことを考えるファンには恐れ入ったな…次の伊織も性格出てるなあ…」
………
伊織『アンタ、あれは終わったの?!』
部下P「まだです…あと少しですから…」
伊織『早くやりなさいって言ったでしょ!』
部下P「す、すみません…」
伊織『アンタのせいでプロジェクトが遅れてるんだからね!』
部下P「本当にすみませんでした」
伊織『今日中に終われなかったら…分かってるわね?』
部下P「は、はい…」
伊織『ほら、無駄口叩かずにさっさとやりなさい!』
部下P「はい!」
………
「ガミガミ言われるのは嫌なわけね。で、美希は…やっぱりあの態度からこうなるわけか…」
………
トントン
美希『あれ?ミキ寝てたの?』
同僚P「おい、美希。誰も通ってないのか?」
美希『あ、ハニー。交代なの?』
同僚P「ハニーって…で、誰も通ってないのか?」
美希『んー、多分誰も通ってないの。足音も聞こえなかったの』
同僚P「おい、誰かに入られたら怒られるの俺なんだからな」
美希『大丈夫なの、耳と目だけは自信あるんだから』
同僚P「…って寝てた奴が言うセリフかよ、まったく…」
美希『あふぅ…それじゃあ交代よろしくなの』
………
「うんうん、警備員系は無理だな。さて、雪歩は…やっぱり気弱だからなあ…」
………
雪歩『えいっ』
へなっ
雪歩の伸ばされた拳は、空を小さく切っただけであった。
師範P「気合が足りないぞ、雪歩」
雪歩『は、はいぃっ…えいっ!』
師範P「うーん…もう少しお腹の底から声が出せないか?」
雪歩『む、無理ですぅ…』
師範P「声を出さないと気合も入らないぞ」
雪歩『はいぃ…はっ!!』
師範P「もう少しってところだな、よしっ!」
………
「でも弱々しいのに萌える人も居るか?次は真か…ファンにはこう見られてるのか…」
………
『さて、まずは糸ですが…今日は一般的な25番糸を使います』
生徒P「はい…これか」
『まずはいつも通り二本取りで端を縛ってください』
生徒P「…これで良しっと」
『えっと…ちょっと待ってください…』
生徒P「先生?」
『ああっもう…今日に限ってどうして通らないの』
生徒P「俺がやりましょうか?」
『すいません…細かいことが苦手で…へへっ』
生徒P「でも俺、そんなところが嫌いじゃないですよ。はい、どうぞ」
………
小鳥「相変わらず想像が凝ってますね、プロデューサーさん」
「え?まさかまた声出てました?」
小鳥「バッチリと、それはもうバッチリと出てましたけど」
「…聞かなかったことにしておいてくださいね…」
小鳥「分かりました…(私より凄いかも…)」
「あ、そう言えば律子とやよいのは無いんですか?」
小鳥「へ?ありませんでしたか?」
「はい、探してもなぜか一通も見当たらなくて」
小鳥「んー、おかしいですねえ…」
「それならもう一度よく目を通してみます」
小鳥「はい。終わったらその書類は自由に使ってくださいね」
そのまま新たな葉書に目を通し始めたプロデューサーであった…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
19作目と対を成す形のSSですね。なって欲しくない物を自分なりに考えてみました。
タイトルは前作からほぼそのまま、ファイル名もほぼ一緒です。
やよいと律子ですか?どうにもならなかっただけです、はい。
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2008・09・16TUE
飛神宮子
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