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♪〜
雪歩の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。 |
雪歩 | 「プロデューサーからメールだ…」 |
雪歩はそのメールを見て、事務所へと急いだ… |
……… |
そして事務所に入るなり… |
雪歩 | 「おはようございます。律子さん、居ますか?」 |
律子 | 「おはよう雪歩、いるわよ」 |
雪歩 | 「よかったぁ…」 |
律子 | 「どうしたの?」 |
雪歩 | 「プロデューサーから来ちゃったんです」 |
律子 | 「来たって…ああ、あれね?」 |
雪歩 | 「はい…」 |
律子 | 「どれどれ?ヒントはどんな感じかしら」 |
雪歩 | 「それがこんな感じですぅ」 |
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雪歩はヒントとなるメールを律子へと見せた。 |
律子 | 「これって…雪歩は憶えてないかしら?」 |
雪歩 | 「はい?」 |
律子 | 「その分だと忘れちゃってるわね。5月くらいのラジオのこと」 |
雪歩 | 「5月の…私と真美ちゃんのですよね」 |
律子 | 「そうよ、よく思い出してみて。確か何か覚えがあるのよ」 |
雪歩 | 「うーん…5月のラジオ…5月って何をしたっけかなぁ」 |
律子 | 「ほら、真美の行き先がどこかリスナーに答えてもらった気がするのよ」 |
雪歩 | 「えっ…あぁーっ!」 |
雪歩はようやく頭の中でその時の光景を思い出した。 |
雪歩 | 「それで…えっと…」 |
律子 | 「確かこれに似たヒントじゃなかったかしら?」 |
雪歩 | 「えっと…」 |
そこに… |
真美 | 「おっはよーん!」 |
どうやらその張本人がやってきたようだ。 |
律子 | 「あら、おはよう真美。今日は何かあったかしら?」 |
真美 | 「午後から収録だよん。ね、ゆきぴょん」 |
雪歩 | 「うん、今週は私がいないからどうしても収録にしないとだったからね」 |
律子 | 「あら、今週だったら私が代打でも良かったのに」 |
雪歩 | 「そんなの悪いですよぉ、せっかく時間もありますから」 |
真美 | 「12月に1回も放送無いってのも寂しいもんね」 |
律子 | 「そう、それなら頑張ってきなさいよ」 |
真美 | 「うんっ」 |
雪歩 | 「あ、ちょうど良かった真美ちゃん。真美ちゃんってプロデューサーからのメールは残してある?」 |
真美 | 「うーん、いつのメール?」 |
雪歩 | 「誕生日のヒントの時のだけど」 |
真美 | 「えーと…ちょっち待って…」 |
モバイルを操作し始めた真美。 |
真美 | 「…これかな?あ、あったよ。これだけどどうしたの?」 |
そこには… |
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と書かれていた。 |
雪歩 | 「あれ?本当だ…」 |
真美 | 「どしたの?」 |
雪歩 | 「それがね、私の方のヒントなんだけど…」 |
雪歩も真美にヒントを見せた。 |
真美 | 「あー、本当だ。確かラジオの時に最後の二つで迷って、この89が決め手で宮城だったんだっけ」 |
雪歩 | 「それでもう一つって憶えてる?」 |
真美 | 「えーっと…確か神奈川じゃなかったっけ?」 |
雪歩 | 「もしかしてそれなのかな?」 |
真美 | 「同じヒントってことは、きっとそーだよ」 |
律子 | 「実は私も最初から神奈川だと思ってたのよ」 |
真美 | 「え?そうなの?」 |
律子 | 「今年の私たちの行き先、決まった法則があったのよ。響が水色だったのもそれが理由よ」 |
真美 | 「ええっ!?律っちゃん、そんなの知ってたの!?」 |
律子 | 「さすがに途中で感付いたわ。結構前だけどそういうお仕事もしたことあったから」 |
雪歩 | 「そうなんですか?」 |
律子 | 「みんなJリーグは知ってるかしら?」 |
真美 | 「サッカーだよね、えっと真美が行ったのは宮城だけど…」 |
律子 | 「私が行ったのは岐阜ね。真美はベガルタ仙台が黄色というか、それに近いゴールドがチームカラーなのよ」 |
雪歩 | 「それだと律子さんのも…?」 |
律子 | 「ええ、私はFC岐阜よ。緑は他に隣の長野とか東京にもあるわね」 |
雪歩 | 「そ、それで私は…」 |
律子 | 「恐らくだけど横浜の2チームよ。白が入っているのは意外と珍しいのよ」 |
真美 | 「他のみんなもそうなんだ」 |
律子 | 「じゃあ雪歩がチケットを受け取ったら一通り見てみる?」 |
真美 | 「そーだね」 |
雪歩 | 「それなら私は行ってきますぅ」 |
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小鳥のデスクへと移動した雪歩。 |
小鳥 | 「あら?雪歩ちゃん、どうしたの?」 |
雪歩 | 「小鳥さん、さっきプロデューサーから来たメールのなんですけど…」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん?…今日なのね」 |
雪歩 | 「はいっ」 |
小鳥 | 「それで答えは?」 |
雪歩 | 「答えは神奈川…ですよね?」 |
小鳥 | 「………」 |
小鳥は無言になって… |
カチャカチャ ガチャンッ |
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出すと思いきや… |
雪歩 | 「あれ?小鳥さん、私もみんなみたいに封筒が渡されるんじゃ…」 |
小鳥 | 「残念ね…雪歩ちゃんの分は切符が用意できなかったみたい」 |
雪歩 | 「ええっ!?そんなぁ…」 |
小鳥 | 「…というのは冗談よ。雪歩ちゃんは私が直々に行き先に送ることになっているの」 |
雪歩 | 「本当ですか?」 |
小鳥 | 「ええ。すぐ近くの場所なのにわざわざ一駅とか行ってもらうこともないって、プロデューサーさんが…ね」 |
雪歩 | 「分かりました」 |
小鳥 | 「ちょっと待ってね」 |
PiPiPi♪… |
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
小鳥 | 「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日○○の△△口に10時でお願いします」 |
カチャンッ |
小鳥は受話器を戻した。 |
小鳥 | 「明日は9時半に事務所に来てね。ちゃんと準備しておいて」 |
雪歩 | 「持ち物はあの紙に書いてあった物で良いんですよね?」 |
小鳥 | 「ええ。楽しんできて、雪歩ちゃん」 |
……… |
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翌日の某お店の正面玄関口… |
小鳥 | 「相葉さんですね、私は765プロ事務の音無です」 |
夕美 | 「はい、844プロダクションの相葉夕美ですっ」 |
そこには雪歩と同じくらいの長さでちょっと薄めの色の髪をした少女が、雪歩の到着を待っていた。 |
小鳥 | 「今日はうちの萩原をよろしくお願いしますね」 |
雪歩 | 「よろしくお願いします、相葉さん。萩原雪歩です」 |
夕美 | 「よろしくお願いします、萩原さん。相葉夕美ですっ」 |
雪歩 | 「うぅ…何か緊張しますぅ」 |
夕美 | 「私も初対面だから…ちょっと緊張してきたかもっ」 |
雪歩 | 「あ、あの…私のこと、雪歩って呼んでもらえませんか?」 |
夕美 | 「えっ…いいんですか?」 |
雪歩 | 「下の名前の方が慣れているから、そっちの方がいいかなぁって」 |
夕美 | 「分かりました、雪歩さん。じゃあ私も夕美でお願いしますっ」 |
雪歩 | 「はいっ、夕美さん」 |
小鳥 | 「それでは相葉さん、そっちに停めてある車なんでそこまで行きましょう」 |
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小鳥の運転する車内、二人は後部座席に隣同士で座っていた。 |
雪歩 | 「そういえば夕美さん、何だかいい薫りがしますね」 |
夕美 | 「そうですか?うーん、何でだろうかな」 |
雪歩 | 「何だか花とか土の薫りが薄っすらしている感じがします」 |
夕美 | 「あ、もしかして…昨日やっていた土いじりの匂いが取れてないのかも」 |
雪歩 | 「土いじり…ガーデニングとかをするんですか?」 |
夕美 | 「はい。私、花とかガーデニングとかが大好きなんです」 |
雪歩 | 「そっかあ…私は穴を掘るのは得意だけどなあ…」 |
夕美 | 「今度何か贈りましょうかっ?えっと雪歩さんの誕生日は…」 |
雪歩 | 「あ、私ですか?12月24日です」 |
夕美 | 「24日って一般的にはヤドリギ…だったかな?」 |
雪歩 | 「ヤドリギ?」 |
夕美 | 「はい。花言葉は確か…困難に打ち勝つですっ」 |
雪歩 | 「うぅ…私ってそんなかなぁ…?」 |
小鳥 | 「あら、雪歩ちゃんにぴったりじゃないかしら」 |
雪歩 | 「こ、小鳥さん」 |
小鳥 | 「そういうのに打ち勝って今の雪歩ちゃんがあるんだから、もっと自信を持った方がいいわよ」 |
雪歩 | 「そ、そうですかぁ…?」 |
夕美 | 「事務所の人からも信用されているんですね、雪歩さんってっ」 |
雪歩 | 「夕美さんまでぇ…」 |
雪歩は恥ずかしさのあまり、到着するまで顔を少し紅くし続けていたという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Yukiho HAGIWARA.