Neighbor Warmth(隣の温もり)

ここはいわゆる8と言われるとあるテレビ局…
「やよいー、帰る準備できたかー?」
やよい「もうちょっとだけ、ま、待ってくださいー」
「分か…って凄い荷物だけど、だ、大丈夫か?」
プロデューサーがやよいの方を見ると、大量の荷物を抱えたやよいが居た。
やよい「大…ううー…」
「ほら、そんなよたよた歩きだとこっちが心配だから、少しこっちに渡してくれよ」
やよい「う、はい…じゃあこれ持ってください」
「分かった、ほいっと」
やよい「ふう…助かっちゃいましたー」
「しかし凄い量だな…」
やよい「はいー、いろんな人からお祝い貰っちゃいました」
「これから事務所に行ったら、さらに来るんだぞ」
やよい「うー、嬉しいですけど大変ですー」
「今日のところは俺が荷物載せて、一緒に帰るんだから大丈夫だろ?」
やよい「ありがとうございます、でもでもいいんですか?」
「いいんだよ、こういう時に役に立てなくてどうするんだ」
やよい「でも、何だか悪いです」
「そんなことないだろ?それに今日、俺はやよいの家に招待されてるんだしさ」
やよい「あ、そうでした!」
「だからちょうど良かったじゃないか。よし、帰るぞ」
やよい「はいっ!」
 
事務所にて…
「これで今日来た分は全部か…」
やよい「凄いですー!こんなに貰えるなんて思ってませんでしたっ」
「やよいほどの人気アイドルになれば当然だな」
やよい「うー、これを贈ってくれた人に、しっかり応えていかないとですね」
「ああ、やよいの元気な姿で応えていかないと」
やよい「はいっ!」
「どうする?これ全部今日持ち帰るか?」
やよい「うーん、持ち帰っても置く場所がないかも…」
「ま、食べ物以外は何日でも構わないからな」
やよい「それならそうしちゃいますね」
「よし、じゃあ持って帰るのを選んでくれ。俺はちょっと行ってくるから」
やよい「はーい」
………
「ただいまやよい、終わったか?」
やよい「プロデューサー、あとこれだけです」
「分かった。持って帰るものはこっちの台車に載せるから」
やよい「それじゃあ、こっちの机のをお願いしまーす」
「ん、これだな…ってけっこうあるんだな。この量ってことは、食べ物がけっこうあったのか?」
やよい「はい。まだホントはあったんですけど…事務所の方におやつとして置いていいって小鳥さんが言ってくれました」
「そうか、まあしばらくこれで困らないな」
やよい「そうですね〜」
「よし、じゃあこれを積んだらやよいの家に向かうぞ」
やよい「はいっ!」
 
さてここはやよいの家…
『『『『お誕生日おめでとー!!』』』』
やよい「ありがとう…みんな」
やよい弟「ほら姉ちゃん、ローソク消してよ」
やよい「うん、そうだね」
フーーーーー
パチパチパチパチパチパチ
いつもより豪華な食卓、やよいの隣には…
やよい父「ほら、プロデューサー君。写真撮ったげるからもっとやよいとくっ付きな」
やよい「うー…お父さん、恥ずかしいよぉ」
やよい母「あら、いいじゃない。こうしてみると悪くないわね」
やよい「そんなこと言わないでって、お母さんまで」
「まあまあやよい、いいじゃないか。ここはお父さんたちの気持ちを酌んでおこうよ」
やよい「そ、そうですね、プロデューサー」
やよい母「あら、プロデューサーさんの指示は従うのね」
やよい「もー、みんなで意地悪言わないでってば〜」
やよい父「ハハハハハ…」
………
「それじゃあ俺はそろそろ…」
やよい「え?プロデューサー、泊まっていかないんですか?」
「泊まっていくって…え?」
やよい母「そうですよプロデューサーさん、せっかくのやよいの誕生日なんですから」
「でも…俺、車ですし」
やよい母「お父さん、大丈夫なんでしょう?」
やよい父「ああ、きちんと手配はしてある。近所の人に借りる手はずは付けておいたからな」
「…そこまでされたのでしたら、そうですね。泊まっていきます」
やよい「うっうー、嬉しいです!それでどこで寝てもらうの?」
やよい母「そうね…せっかくだからやよいの部屋でいいかしら」
やよい「ええっ!?プロデューサーと一緒にっ!?」
やよい母「いいじゃない、こんな機会はないんだから」
やよい「そうだけど…プロデューサーはどう思いますか?」
「…うーん、他の部屋ってありませんか?」
やよい母「あら?やよいのことは嫌いないのかしら?」
「いや、そんなことはないですけど…」
やよい母「それならいいじゃない、ね」
やよい「うー…プロデューサー…」
「もうこうなったら仕方ないな」
やよい父「それなら決まりだな、母さん蒲団はアレでいいな?持ってくるぞ」
やよい母「そうね、やよいの部屋に持って行っておいてちょうだい」
 
ここは寝る前のやよいの部屋、くっつけられた2つの蒲団に入っている二人。
「やよい、まだ起きてるか?」
やよい「起きてますよ、プロデューサー」
「さっき渡せなかったからな。これ、俺からのプレゼントだ」
何やら小さな袋を渡したプロデューサー。
やよい「開けてもいいですか?」
「ああ、開けてくれ。たぶんやよいに一番合う色のはずだ」
ガサガサガサガサ
やよい「これって…口紅ですか?」
その袋には何本かの口紅が入っていた。
「ああ。やよいにはもっと綺麗で素敵になって欲しいからな」
やよい「ありがとうございます!大切に使います!」
「弟たちのいたずらに使われないように保管しておくように」
やよい「は〜い」
「それじゃあそろそろ休もう、明日もあるからな」
やよい「はいっ、おやすみなさーい」
「おやすみ、やよい」
やよいは蒲団の中でプロデューサーの薫りと温もりを感じながら、幸せそうな顔でに眠りへと入っていった…
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あとがき
飛神宮子です。
今年度の誕生日SS、ラストのやよいです。
まあ何と言うか…ちょっと甘くなってしまいましたかね。
これくらいの親子っぽい距離感が二人には良いのかもしれません。
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2009・03・23MON
飛神宮子
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