10月のある日… |
雫 | 「やっと着きました〜」 |
響 | 「雫の実家はここなのかー」 |
雫 | 「はいー、ようこそ及川牧場へです」 |
響 | 「今日はお世話になるぞ」 |
雫 | 「お手伝いもしてもらえるんですよね〜?」 |
響 | 「もちろん、動物の扱いは任せてだぞ」 |
雫 | 「頼りにしてますね、響さん」 |
……… |
二人は仕事着に着替えて牛舎へと入った。 |
響 | 「おお!こんなにいるのか、凄いなあ」 |
雫 | 「私の家の自慢の牛さん達です」 |
響 | 「自分もさすがにここまで大型の動物は飼ったことがないさ」 |
雫 | 「一番大きなのは犬さんでしたよね」 |
響 | 「草食動物だとウサギのウサ江くらいしかいないから新鮮だぞ」 |
雫 | 「大きな草食動物はそれなりの施設も必要ですからね〜」 |
響 | 「それで自分は何をすればいいんだ?」 |
雫 | 「この時間なので、まずは牛舎から一度放牧して牛舎の掃除です」 |
響 | 「そうか。さあやるぞー!」 |
雫 | 「はい〜」 |
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数十分後 |
響 | 「…そうは言ったものの、思ったより大変だなこれ」 |
額に汗をかきながら猫車で新しく敷く藁を運んでいる響。 |
雫 | 「大丈夫ですか?響さん」 |
その一方で息も上がらず笑顔でフォークを動かす雫。 |
響 | 「普段の動物の世話とは180度違うもんだな」 |
雫 | 「たぶん違うと思いますよ〜」 |
響 | 「さすがは牧場って感じがするぞ」 |
雫 | 「でも私、これと雪のおかげで体力は付いたんですよ」 |
響 | 「そうだろうなあ。同じくらい働いているのに息も上がってないし」 |
雫 | 「それに牛乳で体力も回復できますから」 |
響 | 「その環境は羨ましいぞ」 |
雫 | 「そうですか〜?」 |
響 | 「だって自分と歳は同じなのに、身長は自分より20cmくらい高いじゃないか」 |
雫 | 「この身長は確かにそうかもしれないです〜」 |
響 | 「自分、どうしても身長だけは伸びなかったからさー」 |
雫 | 「まだこの歳なら成長期ですよ〜」 |
響 | 「自分もそれを願っているんだけどなー」 |
雫 | 「私は…これ以上はちょっとって思ってますけど〜」 |
響 | 「そうだよなあ、雫って170くらいだよな?」 |
雫 | 「そうですよ〜」 |
響 | 「確かに女の子にしたら高い方だと思うぞ」 |
雫 | 「それもあるんですけど」 |
響 | 「ん?もしかして…」 |
響の目は雫のとある場所へと向いていた。 |
雫 | 「はい…ここです〜」 |
響 | 「目立つもんなあ、大変じゃないか?」 |
雫 | 「事務所でもこの話題は厳禁になっていますね」 |
響 | 「分かる気がする。うちの事務所も気にしている子がいるからさ」 |
雫 | 「他の事務所のアイドルに、こういうのが好きな子がいて…その子が一緒だと大変で」 |
響 | 「あ、もしかして…その話は聞いたことがあるぞ」 |
雫 | 「たぶん合ってると思います〜」 |
響 | 「だいぶその…あの手が伸びたって聞いているぞ」 |
雫 | 「私の事務所だと、菜帆ちゃんが結構そういうのにあったって聞いてますね」 |
響 | 「そうなのか、大変だなあ」 |
雫 | 「最近は上手くあしらったりしているって聞きました〜」 |
響 | 「やっぱりその子も大きいんだな?」 |
雫 | 「全体的にふくよかな子ですよ〜」 |
響 | 「そうだろうなあ…あ、そういえばうちのあずさがやられたって話聞いた気がするけど…」 |
雫 | 「あ、それは今度はこっちに持ってきてくださいー」 |
響 | 「お、分かったぞ」 |
……… |
その夜、ここは雫の部屋。 |
響 | 「あー、明日はさすがの自分も筋肉痛かもしれないぞ」 |
雫 | 「おつかれさまです、響さん」 |
その二人はもう布団の上にいる。 |
響 | 「しっかし、改めてお風呂で見せてもらったけど…なあ」 |
雫 | 「これも牛乳のおかげかもしれないです」 |
響 | 「自分も明日からここの牛乳飲まないとかなー」 |
雫 | 「まだ響さんなら成長できると思います〜」 |
響 | 「やるだけのことはやってみた方がいいか」 |
雫 | 「それで明日なんですけど」 |
響 | 「ん?明日は…何をするんだ?」 |
雫 | 「明日は乳製品を作るところを見てもらおうかなと思います〜」 |
響 | 「うん。あと事務所やイヌ美たちのお土産になるようなものも何か探さないとなー」 |
雫 | 「それならそこはお手伝いしますね」 |
響 | 「ん、ありがと」 |
雫 | 「それにしても動物の扱いはさすがでした」 |
響 | 「そうか?」 |
雫 | 「どの子ともすぐに仲良くなってくれて、響さんを雇いたかったくらいってお父さんも言ってました」 |
響 | 「そ、それはちょっと勘弁して欲しいぞ。これだと毎日筋肉痛さー」 |
雫 | 「あ、そういえば思い出しました。私のプロデューサーさん、ここにお連れしたことがあるんです」 |
響 | 「うんうん、それで?」 |
雫 | 「冬だったんですけど、その雪かきではさすがの私も汗をかいちゃって」 |
響 | 「ああ、ここ広いもんなあ」 |
雫 | 「それでつい上着を脱いで下に着ていたシャツだけになったら、プロデューサーさん何でかあさっての方向に向いちゃって」 |
響 | 「雫…自覚はなかったさ?」 |
雫 | 「やっぱりそういうことだったんでしょうか〜?」 |
響 | 「女の自分でもつい目が行っちゃうからさ。男ならたぶんもっとじゃないか」 |
雫 | 「私、無自覚だとか、天然だとかってよく言われちゃってるんです〜」 |
響 | 「それはちょっと…治した方が良さそうだなー」 |
雫 | 「やっぱりそうですよね〜」 |
響 | 「特に雫は注目され易いからさー、そういうとこ治した方が後々困らないと思うぞ」 |
雫 | 「はい〜」 |
響 | 「それにしても筋肉痛からどうしてプロデューサーの話になったさ?」 |
雫 | 「あ、それは他の事務所の子で雪のかまくらをプロデューサーと作っていたら筋肉痛になったって話がありまして〜」 |
響 | 「それを先に聞かなきゃ話が繋がらないじゃないかー」 |
雫 | 「あっ、そうでしたね〜」 |
その後も二人の談義は夜遅くまで続くのであった… |
HAPPY BIRTHDAY!! Hibiki GANAHA.