梅雨の中休みのある日のこと… | |
春香 | 「プロデューサーさんは何を書いたんですか?」 |
P | 「え?春香、俺はまだだけど…」 |
やよい | 「プロデューサー、これ二つじゃなきゃダメですか?」 |
小鳥 | 「やよいちゃん、お願い事はプレゼント用と事務所用で一つずつだけよ」 |
やよい | 「小鳥さんー、どうしても書きたいことがあって…」 |
P | 「でも、みんな二枚ずつしか用意してないし…」 |
伊織 | 「にひひっ諦めなさい、やよい」 |
やよい | 「はーい、家族のことは家の短冊で書こうっと」 |
春香 | 「やよい、家族のことじゃなくてもっと自分のことを願おうよ…」 |
真 | 「ボクはもう書けたけど、雪歩は書けた?」 |
雪歩 | 「うう…どうしても一つに書けないです…真ちゃん早くて凄いよお」 |
真 | 「そうかな?なりたいと思うことを素直に書けばいいと思うけど」 |
雪歩 | 「なりたい…そっか、ありがとう真ちゃん」 |
美希 | 「あふぅ…美希はおにぎりがいっぱい食べられればそれでいいの」 |
あずさ | 「美希ちゃん、もう少し考えた方がいいんじゃないかしら」 |
美希 | 「でも、難しいことは考えたくないのあずさ」 |
あずさ | 「ほら、お姉さんが一緒に考えてあげるから頑張って…ね」 |
亜美 | 「千早お姉ちゃんはもちろんこれだよねー?」 |
真美 | 「そうだよねー」 |
と、とある部分を指した真美たち。 | |
千早 | 「亜美、真美、後でこっちに来なさいっ!」 |
亜美・真美 | 「「わー、千早お姉ちゃんが怒ったーっ!!」」 |
ドタドタドタドタ… | |
千早は逃げる亜美と真美を追って部屋を飛び出していった。 | |
律子 | 「…まったく騒がしいわね…」 |
P | 「そう言う律子は…まだ書いてないじゃないか」 |
律子 | 「こんなのに頼るのなんて、何だか馬鹿げてるわ」 |
P | 「確かにそうかもしれないけど、こういう時なんだから」 |
律子 | 「分かってるわよ。プレゼント用と事務所用の両方同じ…はダメなのよね」 |
P | 「ああ、事務所のみんなには分かっても、世間一般には分からないことだってあるだろ」 |
律子 | 「そうよね、とりあえずプレゼント用はいいとしても…」 |
と、そこに… | |
亜美 | 「兄ちゃーん、千早お姉ちゃんにこめかみグリグリされたー」 |
真美 | 「痛かったー、千早お姉ちゃんって力が強くて痛かったよー」 |
千早 | 「当然です、まったく…」 |
P | 「こらこら、原因を作ったのは亜美たちの方だろ」 |
やよい | 「プロデューサー、これ書いたら帰っていいんですよねー?」 |
P | 「あ、やよい。もう帰るのか?」 |
やよい | 「はい、特売にどうしても行きたくって…ダメですか?」 |
P | 「いや、その前にこの中から葉書を一枚選んでいってくれないか」 |
やよい | 「これ、全部私への応募ですか?」 |
P | 「ああ、みんなもそれぞれ渡すから帰る前に一枚ずつ選んで帰ってな」 |
全員 | 『はーい』 |
やよい | 「プロデューサー、コレでお願いします」 |
P | 「うん、分かった。それじゃあおつかれ、やよい」 |
やよい | 「はい、おつかれさまでしたー」 |
春香 | 「プロデューサーさん、私はコレで。私もちょっと行きたいところがあるので先に失礼しちゃいますね」 |
P | 「お、春香も帰るのか。それじゃあ気をつけてな」 |
春香 | 「分かってます、それではおつかれさまでしたー」 |
真 | 「雪歩ー、今日はどうする?」 |
雪歩 | 「あ、真ちゃんは今日は大丈夫なの?」 |
真 | 「うん、あの店に寄ってから帰ろっか。ほら、この前雪歩が行きたいって言ってた」 |
雪歩 | 「そうだね、そうしよっか」 |
P | 「お、二人とも帰るのか?」 |
真 | 「はい、二人で寄ろうかなって思ってた店があったんで」 |
雪歩 | 「えっと、真ちゃんのがコレで、私のがコレです」 |
P | 「お、ありがとう。それじゃあ二人とも気をつけて帰ってな。あと、くれぐれもだね…」 |
真 | 「分かってます、プロデューサー。記者の人に見つからないように、ですよね」 |
P | 「よろしい。ま、雪歩は真が居れば大丈夫か」 |
雪歩 | 「そんな…恥ずかしいです…」 |
P | 「いや、そういう意味で言ったんじゃないけど…ま、いいか」 |
真 | 「それじゃ、失礼します!」 |
雪歩 | 「お先に失礼します。行こっ、真ちゃん」 |
伊織 | 「はいコレ選んだわ…でもあの二人、ああいう仲だったわけ?」 |
P | 「何だ伊織、妬いてるのか?」 |
伊織 | 「違うわよ、あーもうっ私も帰るわよっ」 |
P | 「一人で大丈夫なのか?」 |
伊織 | 「もうさっきの騒ぎの間に来てるわ、もともともう帰るつもりだったから呼んでたし」 |
P | 「それなら気をつけて帰ってな」 |
伊織 | 「言われなくても分かってるわ、プロデューサー。また来週ね」 |
千早 | 「プロデューサー、私もそろそろ帰りたいのですが…」 |
P | 「みんな今日は一斉に帰るんだな、千早もおつかれさま」 |
千早 | 「で、コレが美希のでコレが私の分です」 |
P | 「ん?美希、どうしたんだ?」 |
千早 | 「あれです…」 |
美希 | 「くぅ…くぅ…もう…食べられないの…」 |
P | 「なんだ、連れて帰ってくれるのか?」 |
千早 | 「はい、首を引っ張ってでも連れて帰りますから」 |
P | 「ん?何かあるのか?」 |
千早 | 「ちょっと今日はうちに来てもらうことになってたので」 |
P | 「明日は休みだからか…よし、それじゃ頼むぞ」 |
千早 | 「はい、行くわよ美希」 |
美希 | 「うぅぅ…苦ひい…苦ひいよ千早さーん。首引っ張らないでぇ」 |
P | 「やれやれ…」 |
亜美 | 「兄ちゃーん、亜美も帰るよー」 |
真美 | 「真美もー。コレ真美たちの分ね」 |
あずさ | 「プロデューサーさん、おつかれさまでした。私の分はコレです〜」 |
P | 「あれ?亜美と真美はあずささんと一緒なの?」 |
亜美 | 「うん、宿題を見てもらうことになってるから」 |
P | 「亜美も真美も、宿題は自分の力でやらなきゃダメだぞ」 |
真美 | 「でもー、宿題難しかったんだもん」 |
あずさ | 「まあまあプロデューサーさん、いいじゃないですか〜」 |
P | 「あずささんもあまり甘やかさないでくださいね」 |
あずさ | 「分かってます、それじゃあ行きましょ亜美ちゃん、真美ちゃん」 |
亜美・真美 | 「「はーい」」 |
P | 「おつかれさま」 |
小鳥 | 「何か一気に減っちゃいましたね」 |
P | 「そうですね、小鳥さん。あと残ってるのは俺と小鳥さんと律子だけか」 |
小鳥 | 「フフフ、その律子さんは白紙みたいね」 |
律子 | 「みんな帰ったのね。プロデューサー、とりあえずプレゼント用はコレで」 |
P | 「サンキュ、事務所用のは別に今じゃなくていいぞ」 |
律子 | 「でも、こういうのはさっさと方を付けたいし…」 |
P | 「そういうことか、分かった」 |
小鳥 | 「あの、プロデューサーさん。鍵お願いできます?」 |
P | 「いいですけど、小鳥さん何か予定でも?」 |
小鳥 | 「今日、確か通販の荷物が届くはずなんで」 |
P | 「なるほど、それならどうぞ」 |
小鳥 | 「それじゃ、お先に失礼しますね」 |
P | 「はい、お気を付けて」 |
律子 | 「…これで二人だけですか、プロデューサー」 |
P | 「そうだな、律子」 |
律子 | 「二人だけだからって何かしたら怒りますよ」 |
P | 「そんなことするわけないだろ…まったく」 |
律子 | 「それは人の胸を触った事のある人が、言えたことじゃないでしょ」 |
P | 「…あれは事故だって…ま、いいや。そうだ、ちょっと出てくるから」 |
律子 | 「どれくらいで戻ってくるんです?」 |
P | 「30分くらいだと思う。その間に帰るなら、鍵閉めてってくれ」 |
律子 | 「分かりました、行ってらっしゃい」 |
バタンっ | |
律子 | 「あーあ、何でこう言っちゃうのかな、私」 |
少し律子の表情が暗くなった。 | |
律子 | 「でも願い事どうしようかしら…」 |
と、しばらく悩んだ末に… | |
律子 | 「あ、そうか…最初からこうすれば良かったのね」 |
ようやく悩んでいたことを結論付けた律子。 | |
律子 | 「よし、あとはこれをそこの笹に付けて…帰りましょうか私も」 |
……… | |
P | 「ただいまー…って電気消えてるからもう居ないのか」 |
所用を終えて事務所に戻ってきたプロデューサー。 | |
P | 「居ないってことは書き終えたんだな」 |
と、プロデューサーは先ほど見なかった緑色の短冊を見つけた。そこには… | |
『プロデューサーにもうちょっとだけ 優しくできるようになりますように 秋月律子』 | |
P | 「…何だよ律子…」 |
その短冊に少し自嘲気味に微笑みを見せた。 | |
P | 「よし、俺も書くか」 |
プロデューサーの書いた青紫色の短冊には一言こう書かれていた。 | |
『みんなの想いが遂げられるようなプロデューサーになれますように』 |