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春香の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。 |
春香 | 「プロデューサーさんからだっ♪」 |
春香はそのメールを見た瞬間、事務所へと一目散に駆け出していった… |
……… |
そして事務所に入るなり… |
春香 | 「りーつーこーさん?」 |
律子 | 「あら、どうしたの?春香」 |
春香 | 「あの…その…」 |
律子 | 「…その表情は…来たのね?」 |
春香 | 「そうなんだけど…」 |
律子 | 「どれどれ?ヒントはどんな感じかしら」 |
春香 | 「それが…」 |
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春香はヒントとなるメールを律子へと見せた。 |
律子 | 「最後って何のことかしらね?」 |
春香 | 「去年の最後ってことかなあ?」 |
律子 | 「去年の最後は雪歩…名古屋だったかしら?」 |
春香 | 「でもそれが答えだと単純すぎますよね」 |
律子 | 「このMEIKOって…確かVOCALOIDよね」 |
春香 | 「VOCALOIDってあの、亜美達に似た声のもあるあのパソコンのソフト…でしたっけ?」 |
律子 | 「それよそれ。それのかなり初期のね」 |
春香 | 「でもそれだとしたら…作っている会社ってどこですか?」 |
律子 | 「作っている会社は…北海道かしら?それとも静岡なのかしらね」 |
春香 | 「よく分からないですね…」 |
律子 | 「この金はお金ってこと?それとも本当にゴールドのことなのかしら…」 |
春香 | 「千早ちゃんとかのヒントってこれくらい難しかったんですか?」 |
律子 | 「ええ、どれも一癖あるのが多かったわ。プロデューサーが帰ってきて教えてもらった物もあったくらいだもの」 |
春香 | 「でもこれって…」 |
律子 | 「今までだと一番難しいかもしれないわ」 |
春香 | 「うーん…」 |
二人が思案をしていると… |
がちゃっ |
真 | 「ただいまー!」 |
律子 | 「あら真おかえり。今週分のラジオ収録してきたのよね?」 |
真 | 「今週末はさすがに無理だからね」 |
律子 | 「今週くらいなら私が代打しても良かったのに」 |
真 | 「そんなの律子に悪いじゃん。ボクも亜美も余裕がある日があるのにさ」 |
律子 | 「そういえばその亜美は?」 |
真 | 「亜美は直帰したけど、どうかしたの?」 |
律子 | 「気になっただけよ。その手に持ってるのは?」 |
真 | 「あ、これ?この前、出版社の人からまとめて貰った歴史マンガだけど」 |
律子 | 「この前面白いって言った漫画家の人の?」 |
真 | 「それそれ。その人の別の作品だけどそれが面白くてさー、収録までの暇潰しに読んでたんだ」 |
律子 | 「そうなの、それでどんな話?」 |
真 | 「戦国時代物だけど…律子も興味ある?」 |
真は律子へとその本を手渡した。 |
律子 | 「信長が最初に出てくるってことは…尾張の話から?」 |
真 | 「最初は確か美濃と尾張だったかな」 |
律子 | 「そうなのね、今度全巻借りようかしら」 |
真 | 「じゃあ今度持って来るよ」 |
律子 | 「いつでもいいわ、フフっ」 |
春香 | 「どうしたんですか?律子さん」 |
律子 | 「何か分かったのよ、さっきのヒントからの答が」 |
春香 | 「ええっ!?そ、それでどこですか?」 |
律子 | 「たぶんだけど愛知よ。試しに小鳥さんのところに行ってらっしゃい」 |
春香 | 「え?こ、小鳥さんの所へ行ってきますっ」 |
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小鳥のデスクへと移動した春香。 |
小鳥 | 「あら?春香ちゃん、どうしたの?」 |
春香 | 「小鳥さん…さっきプロデューサーから来たメールの答えなんですけど…」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん?あ、そっか。やよいちゃんと近いから忘れていたけど…今日なのね」 |
春香 | 「はいっ」 |
小鳥 | 「それで答えは?」 |
春香 | 「答えは愛知…ですよね?」 |
小鳥 | 「………」 |
小鳥は無言になって… |
カチャカチャ ガチャンッ |
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出した。 |
小鳥 | 「はい、春香ちゃん」 |
その封筒が春香へと渡された。 |
小鳥 | 「プロデューサーさん、待ってるわ。明日行ってらっしゃい」 |
春香 | 「…はいっ!」 |
小鳥 | 「ちょっと待ってね」 |
PiPiPi♪… |
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
小鳥 | 「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日品川駅新幹線改札口に10時15分でお願いします」 |
カチャンッ |
小鳥は受話器を戻した。 |
小鳥 | 「明日10時に品川駅に着くくらいで行くから、ちゃんと準備しておいてね」 |
春香 | 「持ち物はあの紙に書いてあった通りで良いんですか?」 |
小鳥 | 「ええ。楽しんできて、春香ちゃん」 |
……… |
翌日の品川駅改札口… |
小鳥 | 「愛野さんですね、私は765プロ事務の音無です」 |
渚 | 「はいっ、844プロダクションの愛野渚ですっ!」 |
そこには茶髪の女性が一人、春香の到着を待っていた。 |
小鳥 | 「今日はうちの天海をよろしくお願いします」 |
春香 | 「よろしくお願いします、愛野さん」 |
渚 | 「そんな堅苦しくなくていいんだけどなァ、天海さん」 |
春香 | 「でも私の方が年下ですから」 |
渚 | 「それでも、私の方がこの世界短いから…私にとっては先輩だってッ!」 |
春香 | 「それなら、私のことも春香でいいですよ」 |
渚 | 「そうだね、春香さん。私のことは渚でいいからね」 |
春香 | 「はいっ、渚さん」 |
小鳥 | 「それでは愛野さん、2日間よろしくお願いします。春香ちゃん、行ってらっしゃい」 |
春香 | 「行ってきます、音無さん」 |
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新幹線の車内、二人は隣同士に座っていた。 |
春香 | 「そういえば渚さんは何かやってるんですか?」 |
渚 | 「ん?」 |
春香 | 「何かちょっと身体が筋肉質な感じがしてる気がしてて」 |
渚 | 「あー、きっとバスケやってるからかなァ?」 |
春香 | 「バスケットかぁ、運動得意なのっていいなあ」 |
渚 | 「これでも学校ではバスケ部のキャプテンだからね!」 |
春香 | 「それを聞いて納得しました」 |
渚 | 「だからダンスはある程度サマになってきてるけど、歌とかはまだまだかな?」 |
春香 | 「私も昔は普通な女の子でしたけど、少しずつ上手くなりますよ」 |
渚 | 「そうかなァ?」 |
春香 | 「自分がアイドルになろうと思えば、女の人は変身できるんですっ」 |
渚 | 「ありがとう、私頑張ろうっ!」 |
渚のその言葉に春香も優しい微笑みを返していた… |
HAPPY BIRTHDAY!! Haruka AMAMI.