The Wave a Little Out of the Ordinary(いつもと少し違う波)

それは年の瀬のある日の事務所…
亜美「まこちーん」
「そう呼ぶってことは…亜美?」
亜美「当ったりー。まこちん今はひまー?」
「まあ暇と言えば暇だけど、ボクに何か用?」
亜美「律っちゃんがお願いだって。それで亜美が探してたんだ」
「律子が?ありがとう亜美。ちょっと行ってくるよ」
………
そして戻ってきた真が開口一番…
「亜美、最初から言ってよ」
亜美「だって本人から直接話を聞いた方がいいっしょ?」
「それですぐ出なくちゃじゃない?」
亜美「そっかな?あー、そうだね」
「でもどうして律子が行けないんだろ?」
亜美「別の予定が急遽変わって、どうしても今日じゃなきゃダメになっちゃったんだって」
「そっか。それでどうしてボクに?」
亜美「最初亜美が言われたんだけどね、亜美一人じゃ自信無いもん。だからちょうど来てたまこちんを探してきてって言われたんだ」
「だからトレーニングに行く前のボクが掴まったってことか」
亜美「そゆこと。律っちゃんも誰かと一緒の方がいいわねって言ってくれたし」
「まあいいや。じゃ、行こうか」
亜美「そだねー、ピヨちゃんに頼んであるから行こっ」
「あ、もう頼んであったんだ。さっき亜美が頼みに行ったって律子が言ってたけど」
亜美「うん。ここに来る前に頼んどいたよ」
「よしっ、はー…今から緊張してきたなあ…」
さて、何を頼まれたのだろうか…?
………
ポーン♪
「菊地真と…」
亜美「双海亜美の…」
真・亜美『空のなないろ!』
♪〜
いつもの土曜日とは違う音楽が流れ始めた。
「時刻は2時になりました。今日は秋月律子の担当の予定でしたが、都合により急遽ピンチヒッターのボク達がお送りします」
亜美「律っちゃ…じゃなかった。秋月律子と同じ765プロダクションの双海亜美と…」
「菊地真でお送りします。急な事で告知出来ずに申し訳ありませんでした」
亜美「ごめんなさい。後で律子さ…あーもうっ!いつもの呼び方でいいかな?まこちん」
「どうしてボクにはすぐにいつもの呼び方なの?でもまあいいんじゃないかな」
亜美「じゃあいつもの呼び方で行こっと。後で律っちゃんからお詫びのメッセージもあるから聴いててねー」
「え?そうなんだ。それはボクも楽しみだなあ」
亜美「ということで今日は2時間、亜美とまこちんをよろしくお願いしますっ」
「今週は代理ですので2時間普通のお便りのみでお送り…と思いましたが、『ハイセンライセン』だけお休みします」
亜美「さすがにアレは律っちゃんじゃないと無理だもんね。なので『私の○○好き?嫌い?』は通常通りお送りします」
「コーナー一つお休みの分、ふつおたを多く読もうと思ってます」
亜美「今週だけは希望の方には、ステッカーに亜美たちのサイン入りで送るよー」
「せっかく律子の声を楽しみにしてたリスナーの方へのせめてものお詫びです」
亜美「みんな送ってねー。それで今週のふつおたのテーマはズバリの『雪』だよ」
「あと、ボク達へのお便りも大歓迎です。どしどしお送りください」
亜美「FAXは〜〜〜〜、メールは〜〜〜〜〜だよ。携帯からも大丈夫だからね」
「お便りお待ちしてます。ところで亜美、今日どうして律子は来られないんだっけ?」
亜美「それはCMの後に改めて律っちゃんのメッセージとして聴けるよ」
「そっか。じゃあCM明けを楽しみにしていてください」
亜美「それでは今週も4時までの2時間、ラジオの波が私達とリスナーの…」
「七色の架け橋になりますように…」
オープニングトークも終わり、CMへと入る…
「ふう…こんなラジオのパーソナリティなんて初めてだから緊張だー」
亜美「そう?亜美は楽しいよー」
「亜美は楽しめるから良いよ。ボクはまとめ役しなくちゃだし」
亜美「でも、楽しんじゃったもん勝ちだと思うよ」
「まあそうだね…ってスタッフだ」
カチャッ
ブースにスタッフが入ってきた。
スタッフ「双海さん、CM明けに例のを流せばいいのかい?」
亜美「うん。亜美たちの一言後にお願いしまーす」
スタッフ「了解だ。しかしピンチヒッターとは言え二人ともバッチリじゃないか」
「あ、ありがとうございます。全力で頑張ります」
スタッフ「その意気なら大丈夫さ。じゃあCM明けるからまた後で」
カチャッ
CMが明けて…
「はい、ではさっき予告した通り律子からのメッセージを…」
真・亜美『どうぞ!』
律子『空のなないろをお聴きの皆さま、そしてピンチヒッターの真と亜美。こんにちは、秋月律子です。今日は申し訳ありません。今日の放送時間帯にどうしても外せない秋のま〜ちでの収録が、急遽日程がシフトして入ってしまいました。収録の内容は詳しくは言えないのですが、割とすぐに明らかになると思います。それで今日の放送は、ピンチヒッターとして真と亜美を送りました。再来週のクリスマスには必ずやよいと戻ってきますので、今週は真と亜美のなないろをお楽しみください。最後になりましたがもう一度、本当に楽しみにしていたリスナーのみなさん申し訳ありませんでした』
亜美「そういうことだって」
「ボクもやよいとの収録って聞いたけど、何だろうね?」
亜美「何か話に聞いたけど、インフルエンザでダウンした子達の影響だって」
「ボク達も気を付けないとなあ。あ、やよいが急いだ様子で事務所に来てたのってそれだったんだ」
亜美「一日ずつ前にズレたから月曜から前の金曜にズレちゃって、今日収録じゃないと間に合わなくなっちゃったとかって言ってたよ」
「うわあ、大変だなあ。それならそんな律子とやよいへの応援のお便りも待ってます」
亜美「それでは最初のお便りだよ。FM ○○○で聴いてくれてるおにぎりさんだよ」
「ありがとうございます、おにぎりさん」
亜美「律子さんこんにちは。律っちゃんじゃないけど、こんにちはー」
「ボクも律子じゃないけどこんにちはっ」
亜美「今週のテーマですが、雪と言うと放送しているところの中では私のところが一番降るんじゃないかなって思います」
「FM ○○○ってことは、確かに一番北だもんなあ」
亜美「今年もスキーが今から楽しみです。律子さんはスキーはできるほうですか?だって。まこちんはどう?」
「ボク?ボクは割と出来る方かな。スポーツは全般的に得意だし」
亜美「亜美は…んーどうなのかな、上手いとか良く分からないなー」
「そうだよなあ。人と比べるとかしないと分かんないもんね」
亜美「律っちゃんからは再来週に話してもらうね。おにぎりさんありがとねー」
「メールありがとうございました。あ、そうだった…これ伝えておかなくちゃ」
亜美「何何?まこちん」
「事前に送ったメールなどが読まれた方で、ボク達のサインが希望の人は来週までにその旨を送ってください」
亜美「あ、そっか。先に送った人とかもいるんだよね」
………
番組も終わりに近付き…
「さて、今週の空のなないろはどうだったでしょうか?」
亜美「緊張したね、まこちん」
「うん。亜美と2時間なんて大丈夫かなって思ってたけどさ」
亜美「むー、そんなこと言うまこちんにはこうだっ!」
むにゅっ
何やら掴んだ亜美。
「やぁんっ!って何するんだよ亜美!」
亜美「だって亜美のことそう言うんだもん、亜美だって頑張ったのに」
「ゴメンゴメン。亜美も頑張ったよ」
亜美「もう次言ったら今度は両側だよ」
「それはちょっと勘弁してってば。さてちょっと騒がしくなっちゃいましたがもうひと頑張りしよう」
亜美「そだね、最後の締めはきっちりしないとね」
「まずは、来週のお便り募集から。来週は通常通り□□さん担当週になります」
亜美「普通のお便りのテーマは、『あなたの名湯』…温泉とか銭湯とかかな」
「□□さんのいつものコーナーへのお便りも、もちろん大募集中です」
亜美「えっと、FAX番号は〜〜〜〜、メールは〜〜〜〜〜です。コーナー名も忘れずに書いてください」
「それでは空のなないろはまた来週、再来週は律子とやよいでお送りします」
亜美「亜美とまこちんの2時間、お付き合いありがとうございましたっ」
「虹のたもと、それは素敵な宝物があると言われる場所…」
亜美「私たちからあなたへの声の宝物…」
「虹の架け橋に乗って届きましたか…?」
亜美「この広い青に架かる素敵な…」
真・亜美『空のなないろ!』
♪〜
エンディングの音楽が徐々にフェードアウトしていき、2時間の生放送が終わった。
「まったく亜美、全国にボクの変な声が流れちゃったじゃんか」
亜美「だってそんなこと言うんだもん」
「でも無事終わって良かったなあ」
亜美「あ、ピヨちゃんが来たよ」
カチャッ
小鳥「おつかれさま。あいさつしたら直帰で良いって連絡よ。もしだったら私が送っていくわ」
亜美「え?送ってもらってもいいのピヨちゃん」
「ありがとうございます。それなら緊張して疲れちゃったし、お願いします」
小鳥「それならお姉さんが何かおごってあげようかしら」
亜美「やっほーい!」
「やーりぃ!じゃああいさつしてこよう亜美」
亜美「そだね、まこちん」
「あ、その前に…」
亜美「ん?」
「お返しっと!」
むにゅっ
亜美「ひゃあんっ!」
「やられてばっかりじゃ、ボクも癪だからね」
亜美「まこちーんっ!」
そんなことをやりながらも二人は笑顔だったと後で律子は小鳥に聞かされたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
当初小鳥さんのSSを書かなければこのSSが先に出ていました。
真と亜美。真と真美に似ているようで少しだけ違っています。
亜美だってやる時は頑張れる女の子ですから。
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2010・12・16THU
飛神宮子
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