Lilied Substitution(白い代用品)

ここはとある日の事務所内にあるレッスン場…
「やよいはもう少し高音がはっきり出るといいな」
やよい「うー…すみません」
「律子は歌は大丈夫そうだな。前より大分良くなってるぞ」
律子「まだ少しつられちゃいそうで怖いけど、何とか形にはできるとは思うわ」
「でもダンスがあと一歩ってところだな」
律子「やっぱりそうよね。どうしてもステップに釣られちゃう所があって」
「まあそこは難しいよなあ」
律子「でも頑張ってみる。折角もらった新曲でしょ」
「お、その心意気はいいな」
やよい「私ももっといっぱい練習して、律子さんと一緒にテレビに出たいです」
「やよいも頑張れな。おっと、この後の善永さんの取材大丈夫か?」
律子「さすがにシャワー浴びた方がいいでしょ」
「そうだな。髪も乱れてるし汗だらけってわけにもいかないからな」
やよい「プロデューサー、替えのって…ありますか?汗びっしょりでとっても無理ですー」
律子「あ、私も必要だけど…さすがに無いわよね」
「しょうがないな…水着使うか?」
律子「グラビアミズギ2?まあこういう時は仕方ないわよね」
「衣装部屋から出してシャワー室に持って行っておくから、律子もやよいも自分の着る物だけ持ってって」
やよい「分かりましたー」
律子「じゃあやよい、行きましょ」
「さてと、俺も衣裳部屋に急がないとな」
………
そして取材を受け終わった二人…
やよい「ありがとうございましたー」
律子「ありがとうございました」
善永「こちらこそ感謝するわ、今日は良い取材が出来たし」
「善永さん、ありがとうございました」
善永「それにしても今日は変わった下着ね、秋月さん」
律子「…っ!こ、これはですね…」
善永「あら?どうかしたの?ストラップにしてはけっこう太い感じがしたのよ」
律子「い、いえ何でも無いんです。ね、やよい」
やよい「は、はい」
善永「ん?どうしたのかしら…あら?高槻さんもストラップが無いなんて珍しいわね」
やよい「…に、似合いますか?」
二人とも明らかにしどろもどろになっているのが分かる。
善永「ええ。たまにはそういうのもありかしら」
やよい「うー…」
善永「あ、そうそう思い出した。得意先からこんなのを貰って来たの」
善永さんは何やら鞄からパンフレットを取り出した。
やよい「うわー、プールですー」
善永「そうね。スタジオの一つだからそんなに広くないけれど、予約制で管理もしっかりしてるわ」
「確かに他のアイドルのビデオで見たことある感じの施設ですね」
善永「撮影も多いわよ。それでここ、関係者しか入れないから気兼ねしなくてもいいのよ」
律子「いいですね、こういう場所だとゆっくりできますし」
善永「最近暑いじゃない、だから今日この後の分予約してあるの」
「そうなんですか。善永さんって本当に色々とコネクションがあるんですね」
善永「そうでも無いわ。二人とも今日はこれから時間あるかしら?」
律子「やよいはどう?」
やよい「私は特に何も無いです。律子さんは?」
律子「私も何も。午前中でレッスンも済んじゃったし、後はこの取材だけでしょ?プロデューサー」
「そうだな。後は急に変わらない限りは来週以降だからな」
善永「それなら決まりね。せっかくだから一緒に行きましょ」
やよい「いいんですかっ!?」
善永「一人じゃ寂しいじゃない。こういうのは人が多い方がいいの」
律子「でもそんな…本当にいいんですか?事務所から経費で落ちるかしら…」
善永「いいわよ。これはあくまでプライベートだから」
「ありがとうございます。うちの秋月と高槻をよろしくお願いします」
善永「ちょっと待って、貴方も保護者として付いてくるの」
「え?でも俺、水着なんて…」
善永「途中で買っていけばいいじゃない」
「まあそうですけど…」
善永「あ、○○君は先に会社戻って私のマグネットを直帰にしておいて。じゃあ行くわよ」
「え?行くわよって…俺の車ですか?」
善永「そうよ。ナビゲーションはするからお願いね」
………
そのスタジオへ向かう車中…
善永「なるほど、どうりで口ごもっていたのね」
「うちで用意はできてなくて、下着に近いのはあれくらいしか…」
善永「でも良かったじゃない。向こうに行ったらすぐに泳げるんだから」
律子「この衣装使っちゃって大丈夫なんですか?プロデューサー」
「元から水着だから問題は無いぞ。クリーニングは後で出しておくからさ」
やよい「でもでもプロデューサー、下着代まで出してもらうなんて…」
「いいんだやよい。これくらいやるのはプロデューサーの務めだからな」
律子「本当に安月給で無理しちゃって」
「でも可愛いの選んでたな、二人とも」
やよい「見、見てたんですか!?プロデューサー」
「そりゃ店の外から見える範囲でな。自分が払うお金だしさ」
律子「可愛いなんてねえ…どう思います?善永さん」
善永「二人とも、それぞれらしさはちゃんと出てたわよ」
やよい「そうですか?ありがとうございますっ!」
善永「あ、そこを左に入って」
「この路地にですか?」
善永「ええ。そのまましばらく行くとポストがあるから、そこを右ね」
「分かりました」
………
ジャバーンっ
水に飛び込む音が響き渡る。
律子「こらやよい!ちゃんと運動してからじゃなきゃダメでしょ?」
やよい「ごめんなさーい律子さん」
善永「フフフ、やっぱり仲が良いわね。秋月さんと高槻さん」
「はい。うちの自慢の二人ですから」
善永「この二人、もうかなり長いこと一緒ね」
「律子とやよいは、お互いがお互いを信頼し合ってますから」
そんなことを善永さんと談笑していると…
やよい「プロデューサー!早くこっちきてくださいー!」
律子「プロデューサー!何してるんですかー!」
既にプールの中に居る二人。
「分かってるって、今行くから待ってろー!」
この二人にしてこのプロデューサーあり、それを感じ取った善永であった…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
7月2日は、やよいの日。というわけではありませんが、やよいと律子で。
ちょっと水着を着せたのだから、せっかくだし泳がせようかなと思ったらこんな展開に。
善永さんの出番がちょっと多かったなあ…反省。
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2010・07・02FRI
飛神宮子
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