ここはある日の765プロのボーカル練習場… |
美希 | 「あふぅ…プロデューサーさん、眠いの〜」 |
そこに少女が一人。 |
P | 「そんなこと言ったって、今日レッスンしたいって言ったのは美希だろ?」 |
美希 | 「でも、こんな早い時間だなんて聞かされたの一昨日だよ」 |
P | 「結構急だったから、この時間帯以外空いてなかったんだよ」 |
美希 | 「プロデューサーさん、お腹も空いてるの」 |
P | 「朝ご飯は?」 |
美希 | 「間に合わなかったの」 |
P | 「希望は?」 |
美希 | 「生たらこ2つとイチゴババロアかな?」 |
P | 「…ちょっと待ってろ」 |
プロデューサーはポケットから携帯電話を取り出した。 |
ピッピッピッピッ |
P | 「もしもし、小鳥さんですか?はい…………………お願いできますか?すみません、はい」 |
Pi♪ |
P | 「ご飯が来るまでまずは練習だぞ」 |
美希 | 「えー、力が出ないの」 |
P | 「そんなこと言ったって、ちゃんと準備してくれば良かったじゃないか」 |
美希 | 「うー…」 |
P | 「ほら、やるぞ。時間もそんなに取れないんだしな」 |
美希 | 「はーい」 |
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十数分後… |
コンコン |
スタジオをノックする音が響き渡った。 |
P | 「はーい」 |
ガチャっ |
プロデューサーがドアを開けるとそこには… |
P | 「あれ?どうして水谷さんが…」 |
絵理 | 「さっき765プロに来たら、音無さんについでに持って行くように言われて…」 |
P | 「小鳥さんもお客さんに何やらせてるんだ…」 |
美希 | 「あれ?絵理なの」 |
絵理 | 「おはようございます、美希さん…」 |
美希 | 「どしたの?プロデューサーさん」 |
P | 「小鳥さんが水谷さんがここに来たついでに持ってこさせたらしいんだ」 |
美希 | 「そーなんだ」 |
絵理 | 「これ、音無さんからです」 |
絵理は美希へと袋を手渡した。 |
美希 | 「ありがとー、いつものヤツ嬉しいなー」 |
P | 「ほらほら、それ食べたら続きだからな」 |
美希 | 「はーい」 |
P | 「水谷さんはこれからどうする?」 |
絵理 | 「え…あの…少し見学していく…?」 |
P | 「時間は大丈夫なのかい?」 |
絵理 | 「今日は特に他に何も…」 |
P | 「それならいいけどさ、もしだったら一緒にやっていく?」 |
絵理 | 「わたしなんかがお邪魔では?」 |
美希 | 「…んぐっ、ミキは構わないの」 |
P | 「ほら、美希もそう言ってるし」 |
絵理 | 「それでは…お願いします…」 |
P | 「よし、じゃあ美希はさっさと食べるんだぞ」 |
美希 | 「ふぁーい」 |
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P | 「うーん、ちょっと上がりきってないんじゃないかな」 |
絵理 | 「この部分、急に上がるから苦手で…」 |
美希 | 「プロデューサーさん、ここはこう歌うんだったよね?♪〜」 |
美希はアカペラで歌い始めた。 |
P | 「初めの頃の曲なのによく憶えていたな、美希」 |
美希 | 「初めの頃ってこの曲しかないからって、必死だからこそ憶えてるんだよ」 |
P | 「そういうことか…」 |
絵理 | 「美希さんの歌、わたしには無い力強さがあって、それでいて綺麗…」 |
美希 | 「あ、ありがとっ絵理」 |
P | 「でもこれで分かったかな?水谷さん」 |
絵理 | 「もう1回聞いてみたい…?」 |
P | 「そうか。悪いけど美希、もう1回歌ってくれるか?」 |
美希 | 「了解なのっ」 |
絵理 | 「お願いします…」 |
美希 | 「じゃあいくね…あ、でもプロデューサーさん、できれば音楽が欲しいの」 |
P | 「そうか、ちょっと待っててくれ」 |
プロデューサーは機械を操作した。 |
美希 | 「ふう…♪〜」 |
美希の唇から、歌が紡がれていく。そして… |
絵理 | 「すう…♪〜」 |
それに呼応するかのように絵理の唇からもメロディが流れ始めた。 |
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P | 「おっともう少しで時間だな。美希、今日のレッスンで大丈夫そうか?」 |
美希 | 「もうちょっと心配だけど、次のレッスンで何とか本番は大丈夫そうなの」 |
P | 「水谷さんもおつかれさま。急なレッスンだったけどどうだった?」 |
絵理 | 「やっぱり765プロのレッスンはレベルが高くて厳しい…」 |
P | 「そうか…」 |
絵理 | 「でもためになって良かった…」 |
P | 「少しでも役に立てたなら良かったよ」 |
美希 | 「絵理の歌って何か765プロの誰とも違う感じだよね」 |
絵理 | 「そうです…?」 |
P | 「言われてみればそうかもな。あ、そうだ…今度のコンピレーションCDの曲は美希もやってみるか?」 |
美希 | 「コンピレーション?」 |
P | 「デュオ曲でまたコンピレーションCDを作るんだけど、うちの3枠まだ決めてなかったんだ」 |
美希 | 「ふーん、それで?」 |
P | 「日高さんは大体誰か決めてるし、秋月さんも大体決めてたけどまだ水谷さんの相手を決めて無くてさ」 |
美希 | 「それミキでいいの?」 |
P | 「曲は決まってるんだけど、美希なら合うかなって思う…あ、ちょっと今持ってくる」 |
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P | 「どうだ?こんな曲だけどさ」 |
美希 | 「んー、ミキは好きかなって」 |
P | 「やってみたい?」 |
美希 | 「プロデューサーさんが推薦してくれるなら、ミキ断れないなって」 |
P | 「水谷さんはどうだい?美希とやってみたい?」 |
絵理 | 「美希さんと…大歓迎です…」 |
P | 「よし、一度美希で会社に通してみるか。よし、じゃあ撤収しようか」 |
美希と絵理は少しだけ見つめ合って、そして一つ確信を持って頷いていた… |