The Lens from many Angles(色んなレンズの方向性)

ここはある日の…
律子「ふう…こういう仕事はやっぱりまだ慣れないわ…」
律子は楽屋の控え室のソファで休憩を取っていた。
律子「でも久しぶりにこういうのも悪くないわね」
「おつかれさま。何か飲むか?」
律子「んー…お茶ってあるかしら?」
「あるぞ。温かいのでいいんだよな?」
律子「ええ…」
ぽふっ
プロデューサーは自分の分もお茶を淹れて、律子の向かいのソファへと腰を下ろした。
コクッ
出されたお茶を一口飲む律子。
「それにしても驚いたんだぞ、急だったしな」
律子「私だってこんなことになるなんて聞いてなかったのよ」
「でも久々だな、律子のこういう姿を見せてもらうのはさ」
律子「そうね…最近は見せることすら無かったもの」
「確かにやよいもそっちで面倒見てるからな」
律子「プロデューサーに見せることも無いわよね…フフフ」
「ん?まあいいか。それにしても水着はいつ以来だ?」
律子「水着自体はそうでもないのよ。去年の8月終わりくらい以来だもの」
律子は水着の上にガウンを着ていた。
「9月っていうことは…ああ、あのCDの特典のフォトブックか」
律子「そうよ。あの時はスミマセンでしたプロデューサー」
「ん?」
律子「ちょうど撮影スケジュールと重なって、竜宮小町の面倒まで見てもらっちゃったし…」
「ああ、気にするな。俺も久々に3人をプロデュースできて良かったよ」
律子「伊織が言ってたわね、何かあれはあれで良かったって」
「久しぶりの罵倒は堪えたなあ…」
律子「やっぱり、ちょっと活き活きした感じだったわねえ…」
「ん?律子にはそういうこと無いのか?」
律子「…んー…、そうね。私にはそういうのは来た記憶が無かったわ」
「伊織にも良い気晴らしになったっていうことだろうな、きっと」
律子「それならたまにはプロデューサーに押し付けようかしら」
「おいおい…まあいいけどな」
コンコン
スタッフ『秋月さん、続きもうできそうですかー?』
律子「あら、もう休憩終わりなのね…プロデューサー、ちょっと着替えるんで外に出てもらえます?」
「了解。スタッフには着替え中って言っておくよ」
律子「ありがとうございます」
「準備できたら出てきてくれればいいから」
律子「はい。あ、鍵も私が掛けた方がいいかしら?」
「それはいいぞ。外のスタッフと打ち合わせもしているからさ」
 
ここは撮影スタジオ近くの体育館。
律子「でもこうやってやよい以外の人とっていうのも新鮮だわ。んーっ!」
ジャージを着た身体を伸ばす律子。
北川真尋(真尋)「だーっしゅ!寒いからちょっと走ってきたよっ!」
上条春菜(春菜)「真尋ちゃんは元気ですね」
真尋「はるにゃんは走らないの?」
律子「二人とも、撮影前に体力は使わないの」
春菜・真尋『はーい』
律子「それにしてもちょっと撮影にはこの体育館は寒いんじゃないかしらこれは…」
春菜「そうですね。さっきのプールは温水でしたから良かったですけど」
真尋「でもこの格好なら私は多少寒くてもいいよっ」
春菜「真尋ちゃんは陸上部だからそうだろうけど…」
律子「でも今日はまさかこんな撮影だったなんてね、上条さん」
春菜「はい。私の事務所で秋月さんと同じくらいの世代が私だけで…」
真尋「私もそうだったかなー。一昨日昨日で急に決まったみたいです」
律子「えっと、上条さんが…」
春菜「あ、私は18歳です」
律子「それで北川さんがその一つ下だったかしら?」
真尋「はい、17歳ですっ」
律子「なるほどねえ…2人はこの仕事を始めてからどれくらい?」
春菜「1年くらい経ちました。真尋ちゃんもですよね?」
真尋「うん。あ、でも私はもう少し後になるからもうすぐ1年かな」
春菜「秋月さんはどれくらいになるんですか?」
律子「私?私はもう7年半になるかしらね」
春菜「メガネアイドルの先輩の秋月さんのことは昔からテレビで見てました」
律子「あら…ありがとう、上条さん」
真尋「私もちょっと気になってた感じだったかなっ。ダンスするメガネの人って珍しいなって」
律子「確かに…ダンスの時は汗とか気をつけないとねえ。北川さんのそれはスポーツグラスよね?」
真尋「はい。今日は運動もあるからって、陸上やる時に使ってるのを持って来ました」
律子「陸上?さっき陸上部って聞いたのはそれね」
真尋「はいっ、陸上部で副部長ですっ。専門は短距離で頑張ってますっ」
律子「フフッ、そうなのね」
春菜「本当に足が速くって…たぶんトレーナーさん達にも負けないでしょ?真尋ちゃん」
真尋「そうでもないかも。持久力はあんまりないからさっ」
春菜「この前トレーナーさんに捕まったのはそれだったんですね」
真尋「最近はレッスンで持久力も付いてきたけどねっ」
律子「それなら運動してる姿は北川さんがメインになるかしら」
真尋「きっとそうですねっ」
律子「上条さんと私は軽くでいいわね。それにしても…下に着てるのは恥ずかしくない?」
春菜「私、ブルマって初めて履いたかもしれないです」
真尋「私も陸上の時はハーフパンツだから…」
春菜「あれ?夏の時ってアヤちゃん達と一緒に履いてません?」
真尋「あ、私はあの時もハーフパンツだったんだっ」
律子「そう言うことは…二人とも殆ど初めてってことね」
春菜「やっぱりちょっと恥ずかしいかもしれません」
真尋「昔の体操着ってこんなだったんですね。何だかちょっとだけ変な気分かもです」
律子「これ着てテレビに出たことあるけど、恥ずかしいものよ」
春菜「これを着て人に見られるというのは…そうですよね」
真尋「もうそろそろ撮影かな?撮影する人が来始めてますっ」
律子「そうね、そろそろ私たちも身体温めないとね。あ…二人ともこれだけは言っとくわね」
春菜「何でしょうか?」
律子「恥ずかしがって顔を赤くすると撮影進まないから気を付けて」
真尋「お仕事だと思うってことですねっ」
律子「そういうことね。じゃあまた頑張りましょう」
春菜・真尋『はいっ』
三人はめいめいに撮影前のストレッチを始めていたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
律子とメガネアイドル2人との競演。ちょっと試してみたくて書いてみました。
アイドルの先輩として伝えられることは伝えていかないといけませんね。
え?キュートに16歳がいたんじゃないか?…すみません、持ってないんですよ…
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2013・01・31THU
飛神宮子
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