Late Fall Fireworks(晩秋の花火)

とある夜のとあるテーマパーク…
小鳥「…綺麗…ですね」
チュッ
プロデューサーは小鳥の言葉に、口づけを以て返した。
さて、二人は何を見ているのだろうか?
………
ここは平日とはいえ若干の混雑をしている東京にはないテーマパーク。
小鳥「フフフ、私だけこういうところに来ていいのかしら?」
「大変でしたけどね、オフの調整が」
小鳥「2日間もお休みを貰えるなんて…」
「でも社長も『二人には苦労かけてるから』って言ってくれましたし」
小鳥「そうですね、2日間仕事を忘れて楽しんじゃいますか」
「ですね。まずは何に乗ります?」
小鳥「うーん…ここならではのベタなのから行きますか?」
「ちょっと並んでますけどいいですね、行きましょうか」
 
数十分後、ふらふらのプロデューサーと笑顔の小鳥の姿がアトラクション前にあった。
小鳥「楽しかったですね、プロデューサーさん」
「…よ、よく平気ですね、小鳥さん…」
小鳥「もう…これくらいでふらふらになってるんですか?」
「だってあんなに揺られたのに…」
小鳥「でも、そんなところがプロデューサーさんの可愛い所ですけど…ね」
「小鳥さん…」
小鳥「でもプロデューサーさんってこういうのは嫌いじゃないですよね?」
「乗るのは好きなんですよ。ただ、そんなに得意じゃないんです」
小鳥「プロデューサーさん、次はゆったり座れる物にしましょうか」
「そうしてもらえるとありがたいです…」
小鳥「それなら…」
………
「あんなに上の天板を回さないでくださいよ…」
小鳥「でも座れたでしょ?ティーカップですから」
「座れましたけど、むしろ生気を吸われた感じですよ」
小鳥「プロデューサーさんったら…」
チュッ
そんなプロデューサーへとそっと口付ける小鳥。
小鳥「これで元気、出ました?」
「…はい、ありがとうございます」
小鳥「じゃあそろそろお昼ごはんにしましょ」
「そうですね、どこにします?」
小鳥「費用は…今日は事務所持ちでしたよね?」
「いいえ、違いますよ」
小鳥「それなら…私たち持ちってことですか?」
「いえ、俺たち持ちってことでもないですけどね」
小鳥「どういう…」
「社長が言ってたじゃないですか、『二人には苦労かけてるから』って」
小鳥「と言うことは…社長持ちなんですか!?」
「そういうことです。金額の制限はありますけどね」
小鳥「社長ったら…」
「『こんなにトップアイドルが在籍する事務所になったのも二人のおかげ』だっていうことで」
小鳥「それで…どれくらいですか?その制限って」
プロデューサーは言葉では話さずに、手だけで示した。
小鳥「ええっ!?そんなになんですか!?」
「ポケットマネーと言うか、へそくりから出してくれたみたいです」
小鳥「へそくりですか…」
「だから金額は気にしないでいいですよ。それにもうホテル代は別に取ってありますから」
小鳥「分かりました、それならここにしません?」
と、園内マップで指し示す小鳥。
「そうですね、こんな時くらいですから」
2人はそのレストランへと向かっていった…
 
様々なアトラクションを楽しみ、その夜…
小鳥「イルミネーション…綺麗ですね」
「そうですね…光の海って感じですよ」
2人はバイキング形式のレストランで夕食を摂りながらパレードを見ていた。
「でもこれだけのことができるのは、やっぱり規模が凄いからですかね」
小鳥「そうでしょう、さすがは日本…いや、世界でも有数のテーマパークです」
「こんなに人が集まるのも、何だか分かる気がします」
小鳥「でも…やっぱり踊っている人はプロですよね、感心しちゃいます」
「同感です。これだけの人の前であれだけのダンスが披露できるんですから」
小鳥「しかもあれだけの電飾を身に纏ってですし」
「それでいてそこまで目立たないように、だけどダンスで魅了するって…演出が素晴らしいんだなあ」
小鳥「あ…何だか私たち目が仕事になっちゃってる…」
「う…確かに、今日明日は仕事を忘れるって言ったのに…」
小鳥「フフフ…やっぱりこんな時でも出ちゃいますね」
「…それじゃあ忘れてしまいましょう、お酒でも入れて」
小鳥「そう…ですね、こんな誰も気にしなくていい機会ですから」
「但しちょっとだけですよ。これが終わったら花火もありますし」
小鳥「はい…」
………
その後の外のとある場所…
ドン… ヒュー… パッ… ドン… ヒュー… パッ…
小鳥「花火…綺麗…ですね」
チュッ
プロデューサーは小鳥の言葉に、口づけを以て返した。
小鳥「んっ…突然するなんて…」
「だって…花火より綺麗な女性が、目の前に居るっていうのに我慢なんか…」
小鳥「もう…言葉だけは巧みなんだから…」
「そんな…こんな言葉、小鳥さんにしか言いませんよ」
小鳥「本当…ですよね?」
「そんなこと言うなんて、どうしたんですか?」
小鳥「だって最近全然構ってくれなかったから…他の人に心移っちゃったかなって…」
「だからこうして時間貰ったんですよ、小鳥さんの心に俺を刻み込んでもらうために…」
小鳥「プロデューサーさん…」
「どうでした?今日の俺は」
小鳥「今日は…プロデューサーさんの色々な新しい面が見れた気がします…」
「そう言われると…何だか恥ずかしいですよ」
小鳥「それでいて…本当に私のことを想ってくれていたことも分かりました…」
「小鳥さん…」
小鳥「プロデューサーさん、幸せです…私」
チュッ…
口付けと城を背に最後の花火が今、夜空に光を瞬かせる…
 
その翌日…
二人は隣の海をテーマにしたテーマパークへと来ていたのだが…
小鳥「もう…あれくらいでそんなになるなんて…」
「どうして小鳥さんは、そう平気なんですか!」
そのテーマパークで一番高いアトラクションを出てきた二人。
小鳥「でもやっぱり…」
チュッ
小鳥「そんなプロデューサーさんが可愛いです…」
この人のことを好きになって良かったと思った小鳥なのであった…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
ついに100本目、ここは初心に戻ってやっぱり小鳥さん(バカップル)ですよ。
というわけで、介助ボランティアですが行ってまいりましたTDR。
なので実際は乗れなかったんですけどね、ボランティアでしたし。でも楽しかったですよ。
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2009・11・25WED
飛神宮子
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