Kerfuffle over Kefir(白をめぐる一騒ぎ)

※この作品はこちらの画像と合わせてお読みになると一層楽しめると思います。※
 
 
ピロリンっ♪
「ぶっ!!」
プロデューサーは送られてきた写メールに、飲んでいたコーヒーを思わず吹き出してしまった。
「こ、これはまずいぞ…差出人は…ん?真じゃないか…」
俄かに騒ぎ出すプロデューサーの鼓動。
「何か事件に…いや、真のことだからこうなるのはもしかして、相手は集団で脅されて…」
と、プロデューサーの脳裏に最悪の事態が…
ピロリンっ♪
そんなプロデューサーの許にもう一通…
『プロデューサー!さっきの写真は見なかったことにしてください。実は…』
「…ふう…まったく、びっくりさせるなって」
さて、どういう経緯でどういうメールだったのかを紐解いてみよう。
………
「ふう、気持ち良かったー」
風呂からバスタオル一枚で出てきた真。
真の母「真、バスタオル一枚で出てくるものじゃないでしょ」
「でも暑いし、いいでしょ母さん」
真の母「女の子でしょ、もう少し節度を持ちなさい」
「はーい」
とは言いつつも特にまだ服を着る気が無いらしい。
「さて、いつものやついつものやつっと」
バタンッ
冷蔵庫を開けて白い液体の入った瓶を一つ取り出した。
 
カチャッ バタンッ
そのままその瓶を持って自室へと戻った真。
「さて、まずはこれ飲んでからパジャマ着よっかな」
チチチチチ カパッ
プラスチック包装を取って蓋を開けた。
「さて、いただきまーす」
と、腰に手を当てて口を瓶に付けて、いよいよ飲み始めようと……
ツルッ
「うわああっ!?!?」
手から滑り落ちる瓶、そして…
バシャンッ カラカラカラカラ
中身の殆どを、よりにもよって口元と身体にぶちまけてしまった。
「ど、ど…と、とりあえずティッシュティッシュ…」
しかしながら悪いことは重なるものであって…
真の母「真、お風呂場にこれ忘れてるわよ」
部屋に入ってくる母。そして…
真の母「…フフフっ」
母の目が妖しく光った刹那…
ひょいっ
真の母「ちょっと借りるわね、真」
言うより早く真の机の上から携帯電話を取る母。
カシャッ カチャカチャカチャカチャ… ピロ〜ン♪
「母さん。い、今、何を…?」
真の母「さーてね?反応が楽しみね」
「もしかしてっ!」
バッ
母から携帯電話を取り返す真、そして…
「うわああっ!ご、誤解だあああっ!」
カチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチカチ…
そしてダンスでも今までに類を見ないほどのスピードでメールを打ちだす真。
真の母「フフっ、頑張ってねー♪」
と、笑顔で母は部屋を出て行った。
「母さんっ!ちょ、ちょっと待って!待ってってばあっ!」
………
『…というわけで、さっきの写真はパル○フィアを溢した写真なので、誤解しないでください。』
「本当にびっくりしたな。でも真のお母さんもなかなかお茶目な人なんだな」
小鳥「あら?プロデューサーさん、どうしたんです?」
「あ、小鳥さん。ちょっと真から来たメールを見てただけですよ」
小鳥「ふーん、妙な慌てっぷりでしたけど…何かあったんですか?」
「何って…べ、別に何でも無いです」
小鳥「むー、私には話してくれないんだ。プロデューサーさんがそんなに薄情な人だったなんて…」
「い、いや違うんです。誤解されると困るんで、その…」
小鳥「見せられないって、社長に報告しちゃおっかなあ」
「こ、小鳥さんっ!」
小鳥「それなら見せてくれますよね?」
「…しょうがないですね、じゃあこっちのメールから先に見てください」
その時、前のメールに戻るように左ボタンが1回押された…
小鳥「プロデューサーさんっ!これはどういうことですかっ!?」
「え?これって…」
と、画面を覗き込むプロデューサー
小鳥「プロデューサーさん、これは週刊誌に見られたら…」
「ああっ!これは前のメール!こ、小鳥さん違いますって、次のメール見てください」
PI♪
小鳥「……本当なんですね?」
「そ、それはどういう…」
小鳥「この真ちゃんのメールは信用して良いのかしら?」
「たぶん…焦って打ち間違いがあるくらいだから…」
………
真の母「真、シャワーもう一度浴びてらっしゃい」
事態がひと段落した後に戻ってきた母。
「そうする…うう、母さんどうしてああいうメール送っちゃうの?まったく」
真の母「あら、誤解はもう解けたのかしら?」
「そういえば…プロデューサーからまだメールが返ってきてないような…」
と、そこに電話が…
『もしもし、俺だけど』
「プロデューサー、さっきはすみません本当に」
『いや、こっちも誤解を解かないとだからな。ちょっと変わるから』
「え?あ、はい」
小鳥『もしもし真ちゃん?』
「あ、はい小鳥さん。誤解してたのって小鳥さんのことだったんですか?」
小鳥『そうよ、まったく…女の子以前にアイドルなのだからこういう写真はNGよ』
「すみません…母が物凄い勢いでボクの携帯電話を取っちゃって」
小鳥『それでメールのことは本当なのね?』
「はい、だってここはボクの自宅ですし。あとで、証拠の瓶の写メール送りますから」
小鳥『そこまでしなくていいわ、でもさっき見た時は本当にびっくりしたわ』
「本当にすみません…これからは気を付けます」
小鳥『よろしい、それじゃあプロデューサーさんに変わるわね』
『もしもし、真。こっちも本当に焦ったんだからな』
「すみません、母には後でよく言っておきます」
『でもな、ちょっとエッチっぽくて…そのな…』
「プロデューサーっ!消してくださいっ!お願いしますっ!」
『そう言われてもなあ…ま、考えとく』
「そうでもなければ、明日プロデューサーの携帯電話壊しますからね」
『わ、分かったよ。冗談だって、冗談』
「それじゃあプロデューサー、これからもう一回シャワー浴びてくるんで」
『了解、湯冷めしないようにな。明日も仕事だからさ』
「へへっ、分かってます。それじゃっ」
PI♪
ケフィアを巡る一騒動はこうして幕を閉じたのであった…
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あとがき
怒涛の5本掲載1本目、飛神宮子です。
知り合いのサイトのとある絵を見ていたら、いてもたってもいられずに書いてしまいました。
今日の5本はそんな作品です。あ、そうそう。この作中に登場する商品ですが、実際にあります。
この絵になるくらいの商品、本当に探しましたよ。日本ではそんなに売られてないですから。
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2008・06・01SUN
飛神宮子
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