A Light Intersect with a Light(交わる光と光)

ここは4月の…
春香「プロデューサーさん、もう撮影入ってますか?」
「大丈夫だぞ、春香」
春香「はい、天海春香です。今日は私の誕生日ということで旅行に来てるんです」
春香はカメラに向かって喋り始めた。
春香「プロデューサーさん、これっていつ流しますか?」
「そうだな、春香に関係するライブだろうけどさ」
春香「それだときっと紫陽花のライブで使われますね」
「そうなるかな」
春香「というわけでここがどこか…分かりますか?」
「なー春香ー、自分まだかー?」
春香「もうすぐ紹介するから待ってよー。えっとここは、兵庫県にある明石って駅です。私と…」
「あ、いいのか?」
春香「うん、いいよー」
「はいさーい!自分、我那覇響だぞ」
春香「私と響ちゃんで関西地方のほんの一部ですけど、旅をします」
「今日が明石と神戸で、明日は神戸から大阪に行って大阪を一日満喫だぞ」
春香「まずここで…何をするんですか?」
「よし、移動するか。昼ごはん代わりに食べてもらうからさ」
「何を食べるんだ?プロデューサー」
「それは着いてからのお楽しみだ」
春香「うわあ、何だろう?じゃあ行こっか、響ちゃん」
「そうだな、春香」
二人はプロデューサーへとついて歩き始めた。
………
春香「これって…たこ焼きとは違いますよね?」
「ああ、そうだな」
「このスープに浸して食べるんだよな」
「ま、ゆっくり食べてくれ。その映像を撮っておくからさ」
春香「はーい、じゃあ食べよっか」
「そうだな」
春香「せーの…」
春香・響「「いっただっきまーす」」
春香「あつっ…舌が火傷しちゃったかも…」
「あむっ…うあー、これは熱いなー」
春香「あらためて…はむっ…これはなかなか新感覚な味ですっ」
「そうだな、なかなか不思議な感じがするなー」
春香「玉子焼きって名前だけど、何か違うよね」
「うんうん、でも美味しいから入っちゃうぞ」
「ちゃんと全部食べるんだぞ、春香も響も」
春香「食べたいですけど、熱くってそんな急いでは無理ですよぉ」
「そうだぞ。じゃあプロデューサーも食べてみればいいさ、ほらアーン」
「え?あ、いいのか?」
「まったく、プロデューサーもノリが悪いぞ。女の子がしてあげてるんだからな」
「ゴメンゴメンって、それならもう一度頼む」
「はい、アーン」
「あーん…ぱくっ…あ…はふはふ…ほ…ホントに熱いんだな…」
「だから言ったじゃないか…ん?春香どうした?」
春香「プロデューサーさん、はい、アーン」
「え?ちょ、ちょっと待ってくれ。まだ食べ切って…」
春香「むー、今日は私の誕生日なのに…響ちゃんばっかり…」
「食べるってば、ちょっと待っててくれよ…はあ…いいぞ、春香」
春香「はい。じゃあプロデューサーさん、アーン」
「あーん…あむっ…あれ?さっきの響のより熱くはないな…」
春香「ちゃんと、冷めてましたか?」
「ああ。ちょうどいい温度くらいだったぞ」
春香「さっきちょっとフーフーって冷ましてました」
「それでか…」
「なんか春香とプロデューサー、いい雰囲気過ぎるぞ…」
春香「え?そ、そっかなあ…」
「ほ、ほら…そろそろ食べて神戸に向かうぞ」
春香「もう行かなくちゃですか?」
「いや、まあここでも他に行くところはあるし、神戸は今日回らないとだしさ」
「そうだなー、じゃあ食べたら行くとするか」
春香「そうだね、響ちゃん」
………
その夜、ここは神戸市内のホテル。プロデューサーは別の部屋で休んでいる。
「なあ春香、一つ聞いていいか?」
春香「どうしたの?」
二人は二つ並んだベッドで横になっていた。
「凄く気になってたんだけどさ、どうして自分を選んだんだ?」
春香「え、えっと…」
「春香のことだから1番は千早だったんだろ?」
春香「うん…でも千早ちゃんの時に一緒に行くっていうのは叶っちゃった」
「自分は?」
春香「響ちゃんは…2番目だったよ。3番目はえっと…誰だったかな?美希だったかも」
「ど、どうして自分だったんだ?」
春香「そんなに驚くこと?」
「だって…」
春香「私は…きっと響ちゃんと行けば楽しい旅行になるんじゃないかなって、そう思ったからなんだよ」
「そう言われると…照れるぞ…」
春香「響ちゃんって…」
トンッ
春香は自分のベッドから降りて…
ポフンっ ギュウっ
「な、何だ春香っ!?」
響のベッドに身を預けて、響の身体を抱きしめた。
春香「素直だけど健気で、可愛いって思ってるよ…」
「す、すっごい恥ずかしいさ…」
そんな響も最初は驚いていたが、満更でもない様子である。
チュッ
春香はそのまま響の唇へと唇を乗せた。
春香「何ていうか、響ちゃんのこと食べたいって思っちゃうくらい…かな」
「春香…」
春香「響ちゃんは私のことどう思ってる?」
「え?自分がか?そうだなあ…」
春香「………」
「何ていうか…一番自分らしく女の子してる女の子…かな」
春香「そ、そっかな?」
「何ていうかファンのみんなが目指したいと思う女の子…っていうのかな、自分の目標に真っ直ぐで、だけど周りにもちゃんと目を向けてて…」
春香「ありがと…響ちゃん…」
「ちょっとおっちょこちょいな所も愛らしく感じてしまうさ」
春香「む…でも、そうやって言ってくれて…何だか嬉しいかも」
「何だか照れちゃうけどな、こんな間近で言われるとな」
春香「だって…今日は響ちゃんを食べようって…決めてたもん」
「え?ちょ、ちょっと…」
春香「さっき言ったもん、食べたいって思っちゃうくらいって…ね?」
少し顔を赤らめながら笑顔になっていた春香。
「言ってたけど…うー…」
それに対して顔を赤らめながら少しはにかみ顔の響。
春香「響ちゃんのこと…食べていいかな?」
「そんなこと言って春香…もううんって言うまで離すつもりはないんだよな?」
春香「どうしよっかな、どうしても嫌だって言うならしょうがないけどぉ…」
「そんなこと…」
チュッ
響も春香の唇へとキスをした。
「言うわけがないさ。でも…自分にも春香を味わわせてくれるのか?」
春香「響ちゃんになら…うん、いいよ」
「それなら、折角の春香の誕生日に水を差すのもだし…自分のこと好きにして…いいぞ」
春香「響ちゃん…」
チュッ…
窓の外には綺麗な夜景が広がる中、仄暗いその部屋で一つの交わる光がそれに加わったという…
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あとがき
飛神宮子です。
2012年誕生日SSシリーズ、春香と一緒に旅するのは…響です。響が765としてはこの組み合わせは実は初。
響は今回の組まれる側もそうですが、組む人も意外な人です。
明石・神戸・大阪は人生で1度だけ行った事があります。特に神戸は自分の空気に合ったなあ…と。
HAPPY BIRTHDAY!! Haruka AMAMI.
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2012・04・03TUE
飛神宮子
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