Be Attracted to Horse(お馬さんに引かれて)

※この作品はこちらの画像と合わせてお読みになると一層楽しめると思います。※
 
 
あずさ「プロデューサーさん。今からレコーディングする曲は、どんな作品に使われるのですか?」
「この曲ですか?この曲はですね…」
Cランクアイドルになってしばらくしたとある日の、レコーディングスタジオでのこと…
「うちのアイドルの中では、あずささんにしかできないことですよ」
あずさ「それは…んー…お酒やタバコですか?」
「違います。あと、totoでもないですよ」
あずさ「えっと…何かしら?」
「ところであずささん、動物は好きですか?」
あずさ「そうねえ…フフッ大好きよ」
「それなら良かった。他の人じゃこの仕事は頼めなかったもんで」
あずさ「あらぁ、もしかして…」
「はい。そのもしかしてですよ、きっと」
あずさ「多○動物公園ですね?」
コケッ
思わずこけそうになるプロデューサー。
「動物公園のどこに年齢制限があるんですかーっ!」
あずさ「あらあら、そうよねえ…それなら上△動物園かしら?」
「だから、動物園には年齢制限は無いですからっ!」
あずさ「んんー、そうねえ…だとすると…サン□ャイン水族館でもないし…」
「だから、動物園とか水族館から離れてくださいよ。あ、あとサファリパークからも」
あずさ「☆士でも群◇でもなくて動物が居るところですね」
「あ、動物とは言ってもそこに居るのは1種類だけですから」
あずさ「ああっ!それならそうと最初から言ってください、プロデューサーさん」
「やっと分かってくれたんですね」
あずさ「競馬場だったんですかあ」
「そういうことです。地方競馬ですけど、けっこう場外発売が多いんで全国にCMが流れると思います」
あずさ「そこでこの曲も使われるんですか?」
「はい、CMと川▽でのキャンペーンも決定してますよ」
あずさ「なるほど、それなら気合を入れていかないとダメですね」
「そうですね、期待してますよあずささん」
あずさ「分かりました、お姉さんに任せてください」
………
そしてCM撮影でのこと…
「まさか、そんなバカな!」
監督「とは言ってもだね、今日用意した衣装はこれしかないんだ!」
その衣装とは、馬の被り物に馬の尻尾を付けた茶色のバニードレスと…何とも馬であった。
「だからと言って、それをうちの三浦に着せるなんて!」
監督「それにこれはうちから連絡したはずだぞ!」
何やら撮影監督と言い争っているプロデューサー。
「連絡なんか来てませんよ!」
監督「何だって!?おい、765プロへの連絡係は誰だ?」
スタッフ「は、はい…実はその、この件だけ連絡し忘れてたかもしれなくて…」
監督「おいおい、しっかりしてくれよ…ったく…いやいや、申し訳なかった。こちらの連絡ミスだったようだな」
「いえ、こっちも連絡を入れておけば良かった話で…熱くなってすみません」
あずさ「あのー、プロデューサーさん。どうかされたんですかあ?」
「あ、あずささん。楽屋で休んでてもらってて良かったんですけど」
あずさ「なかなかプロデューサーさんが来られなかったので…」
「ちょっと色々ありましてね、すみません」
あずさ「あら?あの衣装と被り物が、今日のですか?」
「そうみたいです…普通の服かジョッキー服とかだと思ったら…すみません」
あずさ「いいじゃないですか、可愛くて着てみたいです」
「い、いいんですか!?あずささん」
あずさ「プロデューサーさんはどう思うんですか?」
「いや、俺としてはあずささんにはちょっと…と思ってるんですが、あずささんは?」
あずさ「私は構わないです。こういうのもちょっと可愛くていいと思います」
「そこまであずささんが言うなら…よしっ。監督、本人のOKが出ました」
監督「お、い、いいのか?」
「構いません。いいCMにしましょう」
監督「ここまで来たらやるしかないか。おい、全員準備に取り掛かれ!」
「それでは我々は着替えをしてきますので」
監督「分かった」
 
CM撮影が終わり…
あずさ「みなさん、おつかれさまでしたー」
監督「おつかれさん、三浦さんいい出来だったよ」
あずさ「まあ監督さん、ありがとうございます」
「おつかれさま、あずささん。一時はどうなるかと今日は思ってましたけど」
あずさ「はいー、何とか無事に終わって良かったです」
監督「おう、プロデューサーもおつかれさん」
「おつかれさまでした監督。いやあやっぱりこういう撮影はいつも緊張しますね」
監督「だろう?でも今日は本当にありがとうな」
「いえいえ、こちらこそうちの三浦を使ってもらえて良かったです」
監督「お、そうだ。今回使った衣装はどうするかい?」
「え?どうするって…」
監督「いや、これは三浦さんのためのオーダーメイドだからね」
「なるほど…それならば戴けますか?」
監督「よっしゃ、それなら置いてってくれれば後で事務所の方に送っとくぞ」
「分かりました、ありがとうございます」
………
そしてキャンペーン当日…
あずさ「川▽競馬場の皆さーん、三馬あずさでーす」
ここは関東の某競馬場。アイドルの登場にお客さんが一気に盛り上がった。
あずさ「今年の◎関東競馬のー、キャンペーンガールを務めることになりましたー。」
実は今回、あのCM時の衣装そのままなのだ。
あずさ「頑張りますのでー、皆さん応援よろしくお願いしますー!」
司会「はい、765プロの三浦…」
あずさ「あらあら、違います。今回は三馬あずさです」
あの衣装で司会者へ笑顔とは…
司会「そうでした、三馬あずささんでしたね」
あずさ「はいー」
司会「はい。その三馬あずささんには、本日メインレースの第9R三浦半島特別の前に今回のキャンペーンソングを歌っていただきます」
あずさ「そうですー、皆さん聴いて下さいねー」
司会「そして同レースのプレゼンターも行なっていただきます」
あずさ「どのお馬さんが勝つのかが今からとても楽しみですー」
司会「今日は川▽競馬場を楽しんで行ってください」
あずさ「はいー、今日はご招待ありがとうございますー」
司会「それでは観客席の皆さん、第1R発走までお待ちください」
 
司会「それでは歌って頂きましょう、三馬あずささんで曲は『約束の場所<ひかり>に…』」
あずさ「♪紛い無き光へ 届けこの想い〜」
あずさの歌声が競馬場の中へと響き渡る…
あずさ「〜諦めずに今目指す 約束のひかりにー♪」
あの衣装のまま歌い、踊りきってポーズを決めたあずさ。
ワーーーーーーーーーーー
そして観客席から一斉に出る歓声…
「…あの衣装でも、かっこ良くなるものなんだな…」
少し遠くで見ていたプロデューサーはただ感心するばかりだったという…
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あとがき
怒涛の5本掲載2本目、飛神宮子です。
元とした画像からどう行くか、これは意外とすんなりいった作品です。
あずささんは初SSになりましたが、書きやすかったなあと思います。
そういえば、あずささんにしか出来ないと言うのは意外と一杯あったりするんですよね。
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2008・06・01SUN
飛神宮子
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