5月のある日… |
『次は郡山、郡山です。東北本線、磐越西線、磐越東線、水郡線はお乗換えです…』 |
あい | 「亜美君、そろそろ起きなさい」 |
亜美 | 「んーっ…あれ?もう着くの?あいお姉ちゃん」 |
あい | 「ふふっ、もうすぐだよ。ここで乗り換えになるから準備をしてもらえるかな?」 |
亜美 | 「はーい」 |
あい | 「しかしあいお姉ちゃんと呼ばれるとはね」 |
亜美 | 「だって、何かそんな感じがするもん」 |
あい | 「まあいいさ」 |
亜美 | 「まこちんみたいに凛々しい感じだけど、あいちんって言うとちょっとなーって思ったんだ」 |
あい | 「まこちん…?」 |
亜美 | 「あ、うちの事務所の菊地真って…知ってるかなー?」 |
あい | 「ああ、あの子のことかな。あのボーイッシュな子のことだろう?」 |
亜美 | 「うん。あいお姉ちゃんもそんな感じがするんだけど…あいちんじゃないかなって」 |
あい | 「それでは確かに恥ずかしいかな」 |
亜美 | 「それにあいぴょんと似ちゃうからねー。あ、あいぴょんは876プロの日高愛のことだよ」 |
あい | 「そういうことか。そっちの愛君にはまだ会ったことはないな」 |
亜美 | 「性格は全然違うけどねー。あ、あとどれくらいで着くかな?」 |
あい | 「そうだな、そう長くは掛からないと思う」 |
亜美 | 「じゃあ準備しとかないとね」 |
あい | 「終点ではないから乗り過ごしたら大変なことになるからね」 |
亜美 | 「そういえば行ったところではお昼ごはんだよね」 |
あい | 「そうなるかな。ソースカツ丼を食べてもらおうかと思ってね」 |
亜美 | 「ソースカツ丼?」 |
あい | 「亜美君が普段食べているカツ丼とは違うものだと思う」 |
亜美 | 「楽しみだなあ」 |
あい | 「そういえば会津の方は来たことあると聞いたけど」 |
亜美 | 「うん。お姫ちんの誕生日の時に来たんだー。あ、お姫ちんっていうのはうちの事務所の四条貴音のことだよん」 |
あい | 「そうなのか。その時食べなかったかな?」 |
亜美 | 「うーん、そういえば食べてないかも。スルーしちゃったのかな?何か疲れてて後のことあんまり覚えてないや」 |
あい | 「そうなのか…それは仕方ないな」 |
亜美 | 「喜多方で喜多方ラーメンは食べたのは覚えてるんだけど」 |
あい | 「それなら思い出す味になるかもしれないかな」 |
亜美 | 「そうなるかもね、こっからどれくらい?」 |
あい | 「そうだな…ここから快速でも一時間といったところだね」 |
亜美 | 「これは着くまでにお腹がぺこりんになっちゃうよ」 |
あい | 「量が多い店もあるから、お腹を空かせていた方が良いかもしれないな」 |
亜美 | 「そっかあ、じゃあ我慢しようっと」 |
あい | 「おっと、そうこうしているうちに駅に着くようだ。準備は大丈夫かな?」 |
亜美 | 「うん。これとそれは持ったし、大丈夫だよ………」 |
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その夜、ここはあいの部屋。 |
亜美 | 「何か大人な部屋だー」 |
あい | 「フフっ。気に入ってもらえたようで何よりだよ」 |
亜美 | 「これで楽器が吹けるんだもん、かっこいいよー」 |
あい | 「そうかな、ありがとう」 |
……… |
その日の夕方、ここはとある河川敷… |
亜美 | 「あいお姉ちゃん、どうしてこんなところに来たのー?」 |
あい | 「まあ落ち着いてほしいな」 |
亜美 | 「うん」 |
カチャッ カチャッ |
あいが金具を外して取り出した箱から出てきたのは… |
亜美 | 「楽器!?あいお姉ちゃん、それ吹けるんだー」 |
あい | 「趣味としてやっているからな」 |
♪〜 |
あいのサックスから特有の音色が流れ出した。 |
亜美 | 「身体に染みる音って感じー」 |
あい | 「そうかもしれないな。この音は重低音も含むからね」 |
亜美 | 「でも何だか心地いいなあ」 |
あい | 「じゃあ…亜美君にはこの曲はどうかな?」 |
♪〜 |
あいはとある曲を吹き始めた。 |
亜美 | 「これってもしかして、亜美達の曲のベースラインかな?」 |
あいは亜美へと目配せをした。 |
亜美 | 「うん、じゃあ歌っちゃうよん」 |
♪♪〜〜 |
あいのベースメロディに、亜美の歌声が乗っかった… |
……… |
亜美 | 「でもあんな場所で歌うなんて思ってなかったよ」 |
あい | 「きっと亜美君はあの曲なら歌えると思ったからね」 |
亜美 | 「最後は何かミニライブみたいになっちゃたし」 |
あい | 「仕方ないさ。私もついノッてしまったからな」 |
亜美 | 「あの後大変だったね」 |
あい | 「スタッフの人には少し申し訳ないな」 |
亜美 | 「後でちゃんとお礼を言わないとね」 |
あい | 「そうだな」 |
亜美 | 「それにしてもあいお姉ちゃん、サックス似合ってたなあ。身長はお姫ちんくらいあるのかな?」 |
あい | 「身長かい?身長は167ほどあるが」 |
亜美 | 「じゃあもうちっとだけお姫ちんの方があるかも」 |
あい | 「そうか」 |
亜美 | 「うちだとボーイッシュなのだとまこちんだけど、そんな大きくないからなー」 |
あい | 「なるほど…それならちょっといいかな」 |
亜美 | 「へ?」 |
あいはおもむろに亜美の膝の下へと片手を入れた。 |
あい | 「ほっ…と」 |
がばっ |
そのまま亜美をお姫様抱っこする形で持ち上げた。 |
あい | 「どうかな、亜美姫様?」 |
亜美 | 「うわー!うわー!何かあいお姉ちゃんに惚れちゃうよー」 |
あい | 「フフッ、こういうことに憧れている気がしたのだけど違ったかな?」 |
亜美 | 「ちょっちだけねー。だけど何だか慣れた感じだね」 |
あい | 「中学や高校時代もやらされていたからね、慣れたものだよ」 |
亜美 | 「やっぱりー」 |
あい | 「降ろしていいかな?」 |
亜美 | 「うん」 |
ぽふっ |
あいは亜美の身体をやさしくベッドの上へと降ろした。 |
亜美 | 「何かあいお姉ちゃんがこうやってノリが良いって意外だったかも」 |
あい | 「そうかな?」 |
亜美 | 「これは明日はもっと楽しくなりそうかもー」 |
あい | 「ご期待に沿えるようにするよ、亜美君…」 |
その後せっかく敷いた布団は役に立たず、亜美はあいと一緒のベッドで寝てしまったらしい… |
HAPPY BIRTHDAY!! Ami FUTAMI.