We are headed from Summer to Autumn(夏から秋へ)

♪〜
真の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。
「プロデューサーからか…」
真はそのメールを見た瞬間、事務所へと一目散に駆け出していった…
………
そして事務所に入るなり…
「律子は居る?!」
律子「どうしたのよ、真」
「はあ…良かった。あのさ…」
律子「…その表情は…来たってことね?」
「そうなんだ…」
律子「どれどれ?ヒントはどんな感じかしら」
「それがだけど…」
やきそば
弁当
去年行った人がいる
真はヒントとなるメールを律子へと見せた。
律子「…実は響と美希はもうどこか大体予想できているのよ。でも真と雪歩はね…」
「え?そうなんだ」
律子「何となくはできているんだけど、確信がないのよ」
「それでどうなの?このヒントで分かるかな?」
律子「そうねえ…」
「去年行った人がいるっていうのはたぶん大ヒントだよね」
律子「そうね。それももう結構選択肢が消えてるからそんなに無いわ」
「どこが残ってる?」
律子「えっと…確か北海道と山形と岩手と兵庫と群馬と長野と沖縄かしら」
「結構減ったんだ」
律子「やよいが新潟で、春香が愛知、伊織が大阪だし、東京は最初から無いわよ」
「そうなるとこの最初と2番目のヒントだけど」
律子「あー…それで恐らくなんだけど、沖縄と岩手は無いわ」
「どうして?」
律子「実は行く都道府県は絞られてるの。来年にはまたいくつか増えるから今年までだけど」
「よく分からないけどそうなんだ」
律子「それでこのヒントよねえ…何このやきそばと弁当って」
「全く分からないね。これだけじゃ限定しようが無いし」
律子「選択肢に残った道県でも有名な大阪が消えちゃったから無いわよね」
「うーん…手詰まりに近くなってきたんじゃない?今回」
律子「これは今までで最高の難易度かもしれないわ」
「何だか考えてたらお腹空いてきたよ」
律子「まだ10時でしょ、もう少し我慢したら?」
「そんなこと言ったって朝ごはんあんまり食べてないのに、このメール見た瞬間に走ってきちゃったんだよ」
律子「そうねえ…確か給湯室の棚に買い置きのカップ麺があるはずだからそれで何とかなる?」
「え?いいの?」
律子「しょうがないわよ…」
「じゃあちょっと作ってくるよ」
律子「………それにしても何でこんな普通のキーワード二つが続いているのか…あれ?そういえば…」
 
3分後…
「よし出来たっと」
給湯室から真が戻ってきた。
律子「真、行儀悪いわよ。座って食べなさい」
「はーい」
そこに…
貴音「おはようございます…真、美味しそうな薫り…」
「おはよう貴音」
律子「貴音、おはよう」
貴音「律子、真、おはようございます。この薫りは真が作られた物でありましたか」
律子「貴音、その手に持っているのは?」
貴音「これでしょうか?家の近くのお店で、全国のカップ麺ふぇあというものをやっておりまして…」
「そ、それ全部買ってきたもの!?」
貴音の両手にはスーパーの袋が合わせて3つほどあった。
貴音「どれも美味しそうでしたので、手にとっていきましたらいつの間にかこれほどの量になりました」
「面白いなあ…見たことないのばっかりだよ。あれ?これって焼きそばやうどんとかも?」
貴音「はい。こちらは『焼そばバ…バグーン』でしょうか、」
律子「聞いたことあるわ、『焼そばバゴォーン』ね」
「こっちも焼きそばだ。『やきそば弁当』って面白い名前だなあ」
律子「え?やきそば弁当…あ!そう思い出したわ!さっきの真のメールもう一度見せてもらえる?」
「メールって…あ、ヒントの?はいこれ」
真はメールを画面に表示して手渡した。
律子「気になっていたのよ。貴音はプロデューサーからのメール残ってないかしら?」
貴音「わたくしですか?今年はまだ削除しておりませんので、残っておりますが」
律子「ちょっと貸してほしいのよ。自分のどこのフォルダに入れたか分からなくなっちゃって」
貴音「分かりました………こちらです」
貴音もメールを画面に表示して手渡した。それを少し操作しながら見比べる律子。
「それで何か分かった?」
律子「あ…アハハ…そういうことね!何か変に思ったのよ。それで真のメールには数字が何も無かったのね」
「え?じゃあ…このヒントって…」
律子「その『やきそば弁当』が答えよ。北海道だわ」
「分かったよ、ちょっと小鳥さんの所へ行ってくる」
 
小鳥のデスクへと移動した真。
小鳥「あら?真ちゃん、どうしたの?」
「小鳥さん…さっきプロデューサーから来たメールの答えなんですけど…」
小鳥「プロデューサーさん?…今日なのね」
「はい」
小鳥「それで答えは?」
「答えは北海道…で良いんですよね?」
小鳥「………」
小鳥は無言になって…
カチャカチャ ガチャンッ
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出した。
小鳥「はい、真ちゃん」
その封筒が真へと渡された。
小鳥「プロデューサーさん、待ってるわ。明日行ってらっしゃい」
「はい」
小鳥「ちょっと待ってね」
PiPiPi♪…
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。
Trrrrrr…Trrrrrr…
小鳥「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日羽田空港第2ターミナル前に9時15分でお願いします」
カチャンッ
小鳥は受話器を戻した。
小鳥「明日9時に羽田空港に着くくらいで行くから、ちゃんと準備しておいてね」
「持ち物はあの紙に書いてあった通りで良いんですか?」
小鳥「ええ。楽しんできて、真ちゃん」
………
翌日の羽田空港第2ターミナル…
小鳥「黒川さんですね、私は765プロ事務の音無です」
黒川千秋(千秋)「956プロダクションの黒川千秋です」
そこには黒髪の女性が一人、真の到着を待っていた。
小鳥「今日はうちの菊地をよろしくお願いします」
「よろしくお願いします、黒川さん」
千秋「そんな堅苦しくなくていいわ、菊地さん」
「でも、ボクの方が年下ですから」
千秋「でも、私の方がこの世界短いから、私にとっては先輩も同然よ」
「それなら、ボクのことは真って言ってください」
千秋「いいのかしら…分かったわ、真さん。私のことは千秋でいいわ」
「分かりました、千秋さん」
小鳥「それでは黒川さん、3日間よろしくお願いします。真ちゃん、行ってらっしゃい」
「行ってきます、小鳥さん」
 
飛行機の中、二人は隣同士で座っていた…
「うーん…」
千秋「さっきから私の方を見て、どうしたの?真さん」
「あ、すみません。千秋さん何か雰囲気が誰かに似ている気がして」
千秋「誰かとは……」
「千秋さん、いくつか千秋さんのこと聞かせてもらってもいいですか?」
千秋「ええ、かまわないわ」
「趣味って何ですか?」
千秋「クラシック鑑賞…素敵よ、クラシック音楽って」
「身長はその靴でボクより高いってことは160越えてますよね」
千秋「163cmあるわ。私の事務所ではこれでも真ん中よりちょっと上くらいなのよ」
「得意なのはやっぱり歌ですか?」
千秋「そうね…歌なら負けない自信はあるかしら」
「やっぱり…千秋さんって、まるでうちの事務所の千早なんだ」
千秋「765プロで千早って…如月千早さん?」
「はい!身長も髪の長さも趣味も得意なのもそっくりで、千早を見てる感じがちょっとしてたんです…って失礼ですよね」
千秋「いえ、そう言われるなら光栄よ。あの歳で実力が素晴らしくて…目標としている方の一人だもの」
「千早が成長したら千秋さんみたいになるのかなって」
千秋「フフフ、そうかしらね」
真の言葉に思わず笑みが零れた千秋であったという…
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あとがき
飛神宮子です。
2013年誕生日SSシリーズ、真は北海道です。
一緒に行くことになったアイドルは、北海道出身でちょっと迷いましたが黒川千秋さんです。
ヒントですがちょっと下を読んでいただければと思います。
HAPPY BIRTHDAY!! Makoto KIKUCHI.
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2013・08・29THU
飛神宮子
 
その頃765プロでは…
貴音「しかしながらなぜわたくしのメールが真の行き先のヒントとなったのです?」
律子「あ、あれね。数字が無かったのが変に思ったの」
貴音「それで何か分かったのですか?」
律子「実は真の方には続きがあって、20行くらい下にスクロールしたら急に文章がまた出てきたの」
貴音「そちらに何かあったと」
律子「『きっと真のことだからここまで読んでないんじゃないかな』って書いてあって…」
貴音「なるほど…」
律子「ちゃんと『1行目と2行目は繋げて読め、これが3つ目のヒントだ』って書いてあったわ」
貴音「フフフ、そういうことでしたか」
貴音は10時のおやつに持ってきた『やきそば弁当』を食べながら律子と談笑していたという…
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