ここは1月の雪深い…どこだろう? |
貴音 | 「今日の四条貴音のラーメン探訪…はて、こちらはどこでしょうか…?」 |
テレビカメラを前にコーナーの前説に入った貴音。 |
貴音 | 「雪…風流な感じとなりましたね…」 |
亜美 | 「ねえお姫ちん、寒いよー…早く何か食べようよー」 |
貴音 | 「まあ待ちなさい、亜美。今日はあちらのお店に参ります」 |
亜美 | 「あの店?」 |
貴音 | 「はい…ではまずわたくし達はどこにいるかと言いますと…」 |
亜美 | 「ここは福島県だよー」 |
貴音 | 「そうです、福島県は喜多方市。会津の方に来ております」 |
亜美 | 「ここはどんなラーメンなの?」 |
貴音 | 「それは食べてみてからのお楽しみです、では亜美も入りましょう」 |
亜美 | 「うん」 |
貴音 | 「ではお邪魔しましょう」 |
……… |
貴音 | 「ではこの正油チャーシューメンを戴きましょう」 |
亜美 | 「いただきまーす!」 |
貴音 | 「いただきます…まずはスープを一口…これは…あっさりしながらも複雑な旨味が凝縮されておりますね…」 |
亜美 | 「お姫ちん、この麺なかなか太いね」 |
貴音 | 「ではわたくしも…ほう…ツルツルしているのに太くてモチモチ…またこれがよくスープに絡んで…」 |
亜美 | 「食べ応えがあっていいねー」 |
貴音 | 「そしてこのチャーシュー…とろける美味しさが小さいながらも幾重にも重なり…」 |
亜美 | 「このチャーシューがまた美味しいよー」 |
貴音 | 「これはまさに何杯でも戴ける素晴らしい味の一品…」 |
亜美 | 「あとはメンマと葱だけ、シンプルだからこその美味しさだね」 |
貴音 | 「この味がこの地に息づいた物…なのですね」 |
亜美 | 「食べに来るのはなかなか難しいけど、みんなにもぜひ食べて欲しいよ」 |
貴音 | 「大変美味しゅうございました。では、四条貴音のラーメン探訪、今週も素晴らしい出会いがありました。来週も次の出会いを求めて…」 |
スタッフ | 『はい、オッケーでーす!四条さん、双海さんおつかれさまでしたー!』 |
貴音 | 「ありがとうございました…」 |
亜美 | 「ありがとうございましたーっ!」 |
貴音 | 「亜美はまだゆっくり食べていてください」 |
亜美 | 「え?いいの?」 |
貴音 | 「わたくしは先に車でこちらを戴いておりますので…」 |
亜美 | 「それって何?」 |
貴音 | 「こちらはラーメンバーガーという何とも面妖な食べ物ですよ」 |
亜美 | 「いいなあ…兄ちゃん、亜美の分もあるー?」 |
P | 「私用とは言ってもカメラマンに向かって聞くなって、ちゃんと買ってあるから大丈夫だ」 |
亜美 | 「うわーい、じゃあ亜美も車に戻ったら食べよっと」 |
貴音 | 「ではあなた様、わたくしは先に車に戻っておりますので」 |
P | 「了解、これ鍵な」 |
亜美 | 「あ、ちょっち待って。もう少しで食べ終わるから一緒に行こうよー」 |
貴音 | 「そうですか…ではしばし待ちましょう…」 |
P | 「でも本当にラーメンが好きだな、貴音は」 |
貴音 | 「あなた様に教えていただいたラーメンの味、これを食べることであなた様との繋がりを感じます…」 |
亜美 | 「兄ちゃんとお姫ちんってそういう関係なんだー」 |
P | 「まあこれも前の事務所の頃からの話になるけどな」 |
亜美 | 「へー、そうなんだ。ふう、ごちそうさまー」 |
貴音 | 「亜美も食べ終わりましたか…」 |
P | 「じゃあ撮影も終わったし、宿に向かうか」 |
貴音 | 「宿はこちらの街では無いのですね…?」 |
P | 「ああ。去年は…そうだ、千早と来たんだ」 |
亜美 | 「そうなの?」 |
P | 「去年は2月に俺の知り合いのコンサートがあってな、それにゲストで呼んでもらったんだ」 |
亜美 | 「そっかー」 |
貴音 | 「では参りましょう。カメラはこちらへ」 |
P | 「俺が運転中も撮影するか?」 |
貴音 | 「はい…」 |
……… |
夕食と誕生日のケーキを食べ終えてから一風呂浴びて、もう寝るだけになった貴音と亜美。 |
亜美 | 「今日は楽しかったねー」 |
貴音 | 「そうですね…」 |
布団は隣同士にしてくっ付いている。プロデューサーはと言えば、ふすまを挟んだもう一つの部屋で休んでいる。 |
亜美 | 「でもやっぱりお姫ちんってよく食べてたねー」 |
貴音 | 「そうでしょうか…?」 |
亜美 | 「あんなにいっぱい夕ご飯が出たのに、ケーキも3/4ホール食べちゃったし」 |
貴音 | 「とても美味しいケーキでしたから…わたくしのために用意していただいた物はきちんと戴かないと」 |
亜美 | 「でもその食べてるときの顔が幸せそうだったよん」 |
貴音 | 「亜美…そのように言われると少し恥ずかしいです…」 |
亜美 | 「ねえ…お姫ちん」 |
貴音 | 「どうしました亜美?」 |
亜美 | 「そういえば、どうして亜美のことを選んだの?」 |
貴音 | 「どうして…でしょうね」 |
亜美 | 「え?」 |
貴音 | 「亜美を選んだのは…一緒に過ごしてみたかったから…でしょう」 |
亜美 | 「そ、そーなんだ」 |
貴音 | 「貴方や真美、雪歩や伊織はわたくしが向こうの事務所に居た頃から懐いて来てくれた…」 |
亜美 | 「だって…お姫ちんのこと、本当に悪い人だなんて思えなかったもん」 |
貴音 | 「そうですか…だから一緒に行きたい方はその中より3人を書いたのです…」 |
亜美 | 「そっかあ」 |
貴音 | 「亜美は良かったのですか?わたくしと一緒で…」 |
亜美 | 「だってお姫ちんって…」 |
ごそごそごそ ぎゅうっ |
亜美は貴音の布団のほうへと潜り込んで貴音の身体に抱き付いた。 |
貴音 | 「あ、亜美っ…」 |
亜美 | 「何だか気持ちいいんだよ」 |
貴音 | 「気持ち良い…ですか?」 |
亜美 | 「この…」 |
ふにふにふに |
貴音 | 「ひゃっ!」 |
亜美は貴音のどこかに触ったようだ。 |
亜美 | 「身体の柔らかさも雰囲気も、何だか気持ち良いんだよー」 |
貴音 | 「そうですか…あの、そんな触らないでください…亜美…何だか変な気分に…」 |
亜美 | 「あれ…どうしたんだろう、お姫ちんの薫りを嗅いでたら…何か亜美も…んんっ!」 |
貴音 | 「そう…なのですか?はぁ…」 |
少しずつ艶っぽくなっていく二人の声。 |
亜美 | 「お姫ちん…」 |
貴音 | 「亜美…」 |
チュゥゥゥゥゥゥ |
二人のキス、それはいつもの親愛のキスとは明らかに違うものだった。 |
亜美 | 「亜美、どうしちゃったんだろう…お姫ちんっ!」 |
貴音 | 「わたくしには分かりません…しかしこの気持ちはもう…亜美っ!」 |
昼に食べたラーメンバーガー、その中に遅効性の物が仕込まれていたことを二人は知らなかった。 |
二人の夜の啜り合いはここに幕を明ける… |
HAPPY BIRTHDAY!! Takane SHIJO.