One day Landscape in Halloween 04(あるハロウィンの風景その4)

ここはある日の事務所…
「あたし、こんな事やりに来たんだっけ…?」
小鳥「ゴメンなさい愛ちゃん、ちょっと人手が足りなくって…」
「いいんです、それにあたし達こそいいんですか?」
小鳥「いいのよ、せっかく手伝って貰えるんだからこれくらいお礼しないとよ」
「でもやっぱり音無さんは手際がいいですねっ」
小鳥「これでもその…ね」
「アハハっごちそうさまです…なのかな?」
小鳥「人のために何かする…それが私の仕事だから」
「何だか765プロのプロデューサーさんって羨ましい人って感じがします」
小鳥「そう?」
「はいっ」
小鳥「あ、絵理ちゃんたちにメールとかはした?」
「あ、まだでした。ちょっと先にやっていいですか?」
小鳥「ええ。先にやらないと、向こうも都合が悪いかもしれないわ。さてと、次は…そっちのボウルに…」
………
小鳥「愛ちゃん、メールはどう?」
「んーと…涼さんは今からこっちに向かうって連絡は来たんですけど、絵理さんが何も…」
小鳥「何か本番中とかかしらね?」
「確か今日は事務所で千早さんと会うって書いてあったと思いますっ」
小鳥「それなら…千早ちゃんに連絡がつけば何とかなりそうね」
「はいっ」
小鳥「じゃあ続けましょ。えっと、まずは…そのオーブンを200度に余熱してもらえる?」
「はーいっ」
小鳥「まずは卵黄を分けておいて…っと」
「次は何をすればいいですか?」
小鳥「えっと、ちょっとこのボウルをハンドミキサーで混ぜててもらえる?」
「はーい。綺麗な色ですねっ」
小鳥「今日はハロウィンだからやっぱりこれのお菓子じゃないとね」
「美味しそう…ちょっと…えいっ!」
ボウルの中を指ですくって舐めた愛。
「やっぱり美味しー!」
小鳥「こーら、愛ちゃん」
「ゴメンなさーい」
小鳥「さてと、こっちは別の料理の下準備しないと…」
………
小鳥「ふう、これで残りの材料が来るまでは一段落よ」
「大変だったぁ…」
作るのと運ぶのが一段落して、給湯室にある椅子に座っている二人。
小鳥「そういえばさっき千早ちゃんから、プロデューサーさん経由で絵理ちゃんの連絡来てたわ」
「それでどうですかっ?」
小鳥「来るって書いてあったわ。今日は賑やかなパーティーになりそうね」
「765プロのみなさんも全員揃うんですよね?」
小鳥「ええ、お仕事で途中抜ける人もいるけど1回は揃うわ」
「うわー、楽しみですっ」
小鳥「フフッ、こうやって揃うのも久し振りになるかもしれないわ」
「やっぱりみんなトップアイドルの事務所って凄いです!」
小鳥「ありがとう、愛ちゃん」
「そういえばあとは何を作るんですか?」
小鳥「これからはご飯物ね。ご飯でもパンでもパスタでもいいように色々と作るわよ」
「うわぁ、楽しみですっ」
小鳥「今は休憩だからゆっくりしましょ。はい、紅茶でいいかしら?」
「そうですねっ。あ、ありがとうございます」
小鳥「最近876プロの方はどう?」
「前よりみんな少しずつ忙しくはなってますっ」
小鳥「3人とも人気に火がついたわね」
「そ、そうですか?」
小鳥「ええ。こっちから見てもみんないい笑顔になってきたわ」
「ありがとうございますっ」
小鳥「また今度は絵理ちゃんのドラマがあるのよね?」
「はい。今日千早さんが来るのもその特訓って言ってました」
小鳥「と言うことは歌関係の役柄なのね、きっと」
「たぶんそうじゃないかなーって思います」
小鳥「涼君のもまたあるんでしょ?」
「もう最近は決まるたびに百面相みたいに顔が変わって面白いです」
小鳥「そうなの?」
「はい。喜んでたと思ったら急に落ち込んだり、泣きそうになったり嬉しそうになったりって見てて面白いです」
小鳥「愛ちゃんはどうなの?」
「あたしはまだ早いかなって思ってますっ」
小鳥「そうかしら…愛ちゃんも愛ちゃんでいい感じにできると思うわ」
「あたしは演技よりもっと元気で勝負ですっ!」
小鳥「フフフ、そうなのね」
「はい、今度沖縄で写真集の撮影してもらうことになってて、楽しみなんですっ」
小鳥「写真集って…カメラマンは○○さん?」
「はいっ。沖縄ってことでテンションも上がっててー」
小鳥「あの人は時たま際どいのを入れてくるから気を付けて」
「分かりました…って、え?どうして知ってるんですか?」
小鳥「どうしてって…」
「だって今、見てきた感じに言ってたじゃないですかー」
小鳥「あ…あの私、一度だけグラビアにされたことがあって…ね」
「え、でも…音無さんって事務の人じゃ…」
小鳥「雑誌の特集でどうしても断れなくって…そういうことがあったの」
「見てみたいなあ、音無さんって事務の人なのにスタイル良くって…」
小鳥「そうでもないわよぉ…」
「じゃあちょっとこの休憩中に聞いて見せてもらってきますっ」
小鳥「ええっ、ちょ、ちょっと待ってっ!」
「確か律子さんって、もう来てましたよね?」
小鳥「わ、私も行くわ…見られるだけって恥ずかしいから…」
「じゃあ一緒に行きましょうっ!」
小鳥「待って、火は…大丈夫ね。ねずみは頭の黒いのもいないから大丈夫っと」
………
給湯室に戻ってきた二人…
「凄い物を見せてもらった気がしますっ」
小鳥「そ、そうかしら?」
「隣のあずささんとも遜色なかったですよぉ」
小鳥「あ、ありがとう愛ちゃん…」
「でも確かに一番最後の前のって際どかったかなって思います」
小鳥「そうなの…意外性を撮るのが好きってことらしくて…ね」
「でもこれで別の一面が見せられれば、それはそれでいいかもなあ…」
小鳥「(そう考える前向きなところもこの子のいいところなのね)」
そんなことを考えながら残りの調理の準備に取り掛かっていた小鳥であった…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
ハロウィンの風景最後は小鳥と愛。
愛はどうやら何かをやりに来たところを小鳥に引っ張られて今に至るようです。
愛も結果的に小鳥さんの写真を見れたので…良かったのではないですかね?
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2012・10・31WED
飛神宮子
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