One day Landscape in Halloween 01(あるハロウィンの風景その1)

ここはとある日の事務所…
貴音「はて…これはどうすれば…」
何やらオレンジ色の物体を持って思案する貴音。
「あ、それは窓に…」
ぺたっ
真は貴音からそれを取って窓へとくっつけた。どうやらジェル状のステンドシールのようだ。
「こうやって並べてくっ付けていけばいいんじゃないかな」
貴音「なるほど…これはなかなか可愛らしいものです」
ぺたっ ぺたんっ
真に言われるがままシールを貼っていく貴音。
「よっと!これはそっちから吊り下げれば…んーっ!」
真はモールの端を天井に付けようと必死で体を伸ばしている。
「うーん、やっぱりダメかぁ」
貴音「真、さすがにそれは無理でしょう」
「やっぱりそうだよね、どうしよっかな?脚立とかの場所知らないし…」
貴音「真…こちらへ」
貴音はある場所を指差した。
「え?」
貴音「さあ、もうこちらは終わりましたゆえ」
「いいの?貴音」
貴音「いいのです、さあ」
「じゃあちょっと借りるよ」
真は貴音に肩車される形になった。
貴音「これで届きましょう」
「これなら…うん、大丈夫だ」
ぺたっ ぺたんっ
真は貴音に場所の指示を出しながら二人で部屋を縦横無尽に動き回った。
 
「よしっと、これでもう充分かな」
貴音「ふう…それでは下ろしますので」
貴音は肩車していた真を床へと下ろした。
「でも暇していたからってボク達がパーティーの飾り付けをやることになるなんて」
貴音「しかし楽しい時間ではありました」
「そう言われればそうだけどね、早くみんな来ないかな」
貴音「そうですね。こうして待つのも悪くはないのですが…」
「だけど…貴音と一緒っていうのも何か変な感じがするよ」
貴音「確かに…いつも一緒の時分は間に雪歩がおりますので」
「うん。だからこうして二人っきりっていうのも珍しいよね」
貴音「そうですね…」
「雪歩たちは買出しに行ってるんだっけ」
貴音「確かそのように聞いておりますが。ふう…少々疲れました…」
ぽふっ
貴音は飾り付けをしてた練習場の床へと腰を下ろした。
「長いこと肩車させててゴメン、貴音」
ぽふっ
真もその隣へと腰を下ろした。
貴音「いえ…」
「でも本当に貴音って身長高いよ。どれくらいだっけ?」
貴音「確か先日の計測では169cmと書かれていたかと」
「そんなにあるんだ。貴音が入るまではあずささんが一番だったから驚いた覚えがあるよ」
貴音「そうですか…わたくしも最初こちらに来た時はその…」
「いや、言わなくても分かるよ」
貴音「はい…そういうことです…」
「やっぱり貴音から見てもそうだったんだなあ…」
貴音「ただ長く共に過ごしている間に、少しずつ違うと感じました」
「そ、そうなの?」
貴音「はい…真の中にある女の子らしい部分…それを感じ取ることができました」
「えっと…ありがと、貴音。それにしてもやっぱりスタイルもいいし、羨ましいよ」
貴音「そ、そうでしょうか?」
「うん。ボクなんかまだこんなだもん」
貴音「しかし真も少しずつ身体も女性らしくなっておりますよ」
「そうなの…かな?」
貴音「以前より女性らしく振舞えるようになったことで、それに身体も呼応し始めたのではないかと」
「それだったら嬉しいなあ」
貴音「特に…」
つんつんっ
貴音は真のどこかを突いたようだ。
「ひゃあっ!?」
貴音「こちらは以前にも増して膨らんできてはおりませんか?」
「そうかなあ…確かにちょっとずつ胸がきつくなってるのはあるかなあ」
貴音「素質はきっとありましょう」
「そっかあ…」
貴音「しかし時間がだいぶ余ってしまいましたね…」
「確かに…でもこここうやって使っちゃってるから練習もできないしなあ…」
貴音「しばらくの間、どうして過ごしましょうか」
「あ、そうだ…」
貴音「どうされました?」
………
シャーーーーーーー
「こうやって見ると、やっぱり貴音の身体つきは羨ましいよ」
貴音「むう…このような辱めを…」
「ボクだって見せたんだから、お相子じゃないか」
貴音「そ、それは真が一方的に見せたのでは…?」
「それは…ヘヘッ」
二人は準備の汗を流すためにシャワー室へとやってきていた。
貴音「それにしても…」
「ん?」
貴音「フフフ…何でもありませんわ」
「えー…何だろう?」
貴音「真…一つお聞きしたいのですが」
「え?」
貴音「真は…雪歩とはどうなのですか?」
「えっ…」
貴音「その…どのような関係まで進んでいるのかを…お聞きしたくて…」
「そう…えっと…あ、そ、そういう貴音こそ、どうなの?」
貴音「え…あ…その…」
「なーんだ、貴音もやっぱりそうなんだ」
貴音「真も…そういうことなのですね」
「そうなる…のかな」
貴音「意中の方に刺激をしてもらうと良いということで、何となく聞いてみたかったのですよ」
「貴音ーーー!!」
貴音「フフフ…ありがとうございます」
真の顔はシャワーを浴びた後も若干赤みを帯びたままになっていたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
今回はいくつかの話が繋がりを持ちます。まずは真と貴音のお話。
真にとってはスタイルは全部上である貴音。
そういう意味では何気に目標としている一人じゃないかなって思いますよ。
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2012・10・31WED
飛神宮子
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