11月も中旬頃のこと… |
真美 | 「ピヨちゃーん、ちょっといいー?」 |
小鳥 | 「あら?真美ちゃん、亜美ちゃんは一緒じゃないの?」 |
真美 | 「今日は亜美には内緒で来たからね」 |
小鳥 | 「そういえば今日はオフだったわよね…」 |
真美 | 「うん、ここんとこずーっと色々仕事してたもん」 |
小鳥 | 「そうよね…それでどうしたのかしら?」 |
真美 | 「えっと、使っていいパソコンって無いかなって」 |
小鳥 | 「ネット接続は必要?」 |
真美 | 「うんっ」 |
小鳥 | 「それなら、律子さんがいつも使ってる向かいのを使ってもいいわ」 |
とてててて |
真美 | 「これ?」 |
小鳥 | 「そうよ、パスワードは*******だから」 |
真美 | 「分かったー」 |
……… |
数十分後… |
真美 | 「むー…難しいなあ…」 |
小鳥 | 「そういえば何を探してるの?真美ちゃん」 |
真美 | 「ふわあっ!?ぴ、ピヨちゃんかぁ…」 |
小鳥 | 「何だか凄いびっくりしてたようだけど…ん?どうして男性化粧品を見てるのかしら?」 |
真美 | 「わー!み、見ないで欲しかったのに…」 |
小鳥 | 「そうねえ、近々何かあったかしら…でもプロデューサー用よね、男性ってことは…」 |
真美 | 「そうだよ、ピヨちゃん。だってお世話になってるもん」 |
小鳥 | 「なるほど…勤労感謝の日のことね」 |
真美 | 「当ったりー、たまには真美から何かしてあげないとって思ってたんだよー」 |
小鳥 | 「それでどうして亜美ちゃんは一緒じゃないの?」 |
真美 | 「だって、亜美が嫌って言ったんだもん」 |
小鳥 | 「うーん、双子ってそういうことはあんまり…あ、もしかして…(『一緒なの』が嫌なのね、きっと)」 |
真美 | 「えっ?」 |
小鳥 | 「ううん、何でもないわ何でも。それでどうかしら、プロデューサーさんにあげる物は決まったの?」 |
真美 | 「ぜーんぜん、決まらなくて困ってるんだー」 |
小鳥 | 「でも、この分だと化粧品にしようと思ったのね?」 |
真美 | 「うん。アクセサリーは高いし…かと言って服なんてもっと高いんだもん」 |
小鳥 | 「それはしょうがないわよ。そうねえ…あ、真美ちゃん。今日は時間はどれくらいあるのかしら?」 |
真美 | 「ママには夕方に帰るって言ったから、それくらいならあるよ」 |
小鳥 | 「それなら一緒にお店に行きましょ」 |
真美 | 「!?」 |
小鳥 | 「実際に物を見て決めた方がいいでしょ?」 |
真美 | 「いいの?お仕事あるんじゃないの?」 |
小鳥 | 「いいわよ。今日はもうすぐ律子さんが来るし、仕事があるのは春香ちゃんと真ちゃんだけだから…ね」 |
真美 | 「それなら…ピヨちゃんが一緒なら心強いよー」 |
小鳥 | 「フフフ、ありがとう。今が10時半だから…そうね、11時に出るわよ」 |
真美 | 「うんっ」 |
……… |
小鳥 | 「じゃあ律子さん、遅くても2時には戻ってくるわ」 |
律子 | 「分かりました。真美、小鳥さんに迷惑はかけないようにね」 |
真美 | 「むー、律っちゃんに言われなくても分かってるもん」 |
律子 | 「冗談よ冗談。気をつけて行ってらっしゃい」 |
真美 | 「はーい」 |
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真美 | 「そういえばピヨちゃんの車に乗るのは初めてかも」 |
小鳥 | 「そうね、あんまりみんなを乗せたことはないわ」 |
真美 | 「あんまりって…あれ?ってことは誰か乗ったことあるの?」 |
小鳥 | 「真ちゃんは結構乗ってるわよ、ちょっと前に色々あったから」 |
真美 | 「へー、そっかあ」 |
小鳥 | 「そういえば聞いてなかったけど、予算はいくらくらいの予定なのかしら?」 |
真美 | 「一応奮発して3000円くらいまでなら出す予定だよ」 |
小鳥 | 「3000円かあ…あっ、それならいい店があるわ」 |
真美 | 「いい店?」 |
小鳥 | 「化粧品じゃなくなるけど、それでもいいかしら?」 |
真美 | 「うん、いいよー」 |
……… |
さてここは、とある駅の駅ビル。 |
小鳥 | 「ここの2階に、男性用の服飾雑貨屋さんがあるの」 |
真美 | 「へー、ここは来たこと無かったから知らなかったー」 |
小鳥 | 「アイドルのみんなは車移動が基本だから、知らないのも無理は無いわね」 |
真美 | 「でも高くないの?こういうとこだと高そうだし…」 |
小鳥 | 「大丈夫、雑貨屋さんだからそんな値段はしないわ」 |
真美 | 「良かったー」 |
エスカレーターを上り… |
小鳥 | 「この奥の方にあるの、行きましょ」 |
真美 | 「うんっ」 |
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買い物も終わり… |
真美 | 「安くて良かったよー、ピヨちゃん本当にありがとー」 |
小鳥 | 「どういたしまして」 |
真美 | 「ちょっとピヨちゃん、ここで待っててー」 |
小鳥 | 「どうしたの?真美ちゃん」 |
真美 | 「トイレ行ってくるー!」 |
小鳥 | 「分かったわ、早めに帰ってきてね」 |
真美 | 「うんー!」 |
タッタッタッ |
と、小鳥は一つあることに気が付いた。 |
小鳥 | 「ん?765プロを出るときに行ってたわよね、真美ちゃん」 |
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10分後… |
真美 | 「ピヨちゃんお待たせー」 |
戻ってきた真美のその手には、さらに一つの袋があった。 |
小鳥 | 「真美ちゃん、一つ聞きたいんだけどいいわよね?」 |
真美 | 「え、えっと…」 |
小鳥 | 「トイレって765プロから出る前に行ったわよね」 |
真美 | 「う、うん…」 |
小鳥 | 「それで、その手に持ってる物は何かしら?」 |
真美 | 「うー…」 |
小鳥 | 「真ー、美ー、ちゃん?」 |
真美 | 「言わなくちゃダメ?」 |
小鳥 | 「正直に言ったら許してあげるわよ」 |
真美 | 「これ、ピヨちゃんの分なんだ」 |
小鳥 | 「えっ…!?わ、私の!?」 |
真美 | 「さっき店を通り過ぎた時に、コレならピヨちゃんに似合うかなって思って。それに…」 |
小鳥 | 「それに…?」 |
真美 | 「ピヨちゃんにだって、いつもお世話になってるもん」 |
小鳥 | 「真美ちゃん…」 |
ぎゅうっ |
真美 | 「ぴ、ピヨちゃんっ!?」 |
小鳥は真美の身体を思い切り抱きしめた。 |
小鳥 | 「真美ちゃん…本当に優しいんだから…」 |
真美 | 「そ、そんなことないよ…」 |
小鳥 | 「よし、そんな真美ちゃんにはお姉さんがお昼ご飯を奢っちゃう」 |
真美 | 「…いいのっ!?」 |
小鳥 | 「いいわよ、このビルに入ってる店であんまり高くないところならね」 |
そして11月25日、出勤する小鳥の頭には真美の買ったキャスケットがあったという… |