She Has a Good Heart...(根が素直だから…)

ここはある日のオーディション会場…
「あずささん、分かってますね?」
あずさ「はい」
「合格は出来ると思います…」
あずさ「それは分かってます…でもあの子が急にオーディションへ滑り込んでくるなんて…」
その視線の先には…
『ん?大丈夫、なんくるないさー』
一人の少女の姿があった。
あずさ「プロデューサーさん、私頑張ってきます」
「はい。今回こそ一矢を報いりましょう」
………
「はいさーい!自分は我那覇響さ。完璧なパフォーマンスを見せてあげるぞ!」
審査員『その意気込み気に入ったわ〜』
「はいっ!ありがとうだぞっ!」
あずさ「(審査員に好印象ね…でも私はプロデューサーさんとやってきたから大丈夫…)」
 
審査が終わり…
審査員『は〜い、発表するわね〜今回の合格は3番と5番、後は8番ね』
あずさ「はあ…大丈夫だったのね…」
審査員『合格した人達おめでとうね〜、この書類を受け取ってマネージャーさんに渡してね〜』
あずさ「あ、ありがとうございます〜」
「サンキューだぞ!」
合格者C『ありがとうございます…』
審査員『今日は解散。収録は知っているとは思うけど、明後日の夜になるから準備は忘れないようにね〜』
あずさ「ありがとうございました〜」
「う…765プロのとこのも合格したのか…」
あずさ「(冷静に、冷静にね…)」
「ご苦労さま、あずささん」
あずさ「プロデューサーさん、どうでしたか?」
「よくやったよ。全体で勝てなかったとはいえ、ビジュアルでは勝ったぞ」
ちょうどその時だった…
「えーーー!負けたーーーー?!」
何やら二人の近くから大声が聞こえた。
「誰だ全く…って声で分かったけどさ」
「ん、どうした?765プロ」
「どうしたも何も、そんな大声出されたら気にするに決まってるだろう?」
「別に765プロに話す事でもないさ」
「そうでもなさそうだな、その顔振りからしてな」
「べ、別に関係ないだろ!」
あずさ「フフフ…プロデューサーさんここはちょっと私に任せてください」
「え?」
あずさ「大丈夫です、ちょっと時間いただけませんか?」
「構わないですけど…ちゃんと楽屋まで戻ってきてくださいね」
あずさ「ちょっと我那覇さん、来てもらえませんか?」
「え?ちょ、ちょっとどういうことさ?!」
あずさ「いいから、来て欲しくて…ね」
「わ、分かったぞ…」
………
ここはオーディション会場の屋上…
「いったい何なんだ?えっと…」
あずさ「三浦あずさよ」
「それで何だ?あずさ」
あずさ「ちょっと一度…お話してみたかったの」
「…何のことでさ?」
あずさ「プロデューサーさんのことね」
「あのヘンタイについてか?」
あずさ「…どうして我那覇さんはそう言っているのか、前から気になってるのよ」
「だって社長が言ってたぞ、765プロのプロデューサーはそういうことをするって」
あずさ「そう思っているなら…本当に悲しいわ」
「どういうことさ?」
あずさ「私とプロデューサーさん、そう見えたのね?」
「…だって765プロはオーディションの間、ずっとあずさの胸を見てたぞ」
あずさ「実際に何かしたとかは…見てないのね?」
「ああ…人からそう聞いたのばっかりさ」
あずさ「我那覇さんは根が素直な子…ね」
「………」
あずさ「話はもう…また収録で会いましょうね」
「………どういう意味さ?」
あずさ「どうしたのでしょう?我那覇さん」
「自分が根が素直ってどういうことさ」
あずさ「それは、収録の時にまた会えた時に話したいの」
「…分かった、その時は絶対だぞ」
二人は一先ずの別れを選んだ。
………
そして収録後の同じ場所…
「聞かせてもらえるんだな?あずさ」
あずさ「ええ…」
「二日考えても分からなかった…言われた意味がさ」
あずさ「我那覇さんはどうして961プロダクションに入ったんでしょう?」
「それは社長に誘われたからさ」
あずさ「その頃は765プロダクションはどういうイメージだったの?」
「それは…どうとも思ってなかったな。事務所の一つってくらいだぞ」
あずさ「それで今はどうなのかしら」
「765プロはプロデューサーがヘンタイでそういうことをしてるって思ってるさ」
あずさ「でも…この前それは人から教えてもらってるって言ってたでしょう?」
「そうだな…」
あずさ「それって…本当のことって確証はもちろん無いんでしょう」
「ああ…」
あずさ「我那覇さん…きっと私たちに対抗意識を植え付けるために…」
「自分がそういうことを吹き込まれただけって言うんだな?」
あずさ「そういうことじゃないのかしら」
「だからあずさは自分のことそう言ったんだな」
あずさ「…そうね」
「何だか自分、混乱してきたぞ…」
あずさ「ゆっくり考えて欲しいの…このことを」
「でも自分は…」
あずさ「ええ、それで私達に向かってくるならそれでもいいの。でも考えて欲しかった…それだけよ」
「…うん」
あずさ「我那覇さんならできるって…信じます」
二人の表情、それはいつになく真剣なそして少し互いを認める物へと変化していたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
3ヶ月に1回の961SS。今回は響と、本編では関わりの無いあずさです。
まだ仲間ということではないので苗字+さん付けにしました。
響の場合あれは、悪く言えば単純、良く言えば根が素直過ぎた結果…じゃないかなと思います。
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2012・09・30SUN
飛神宮子
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