Goddess of Victory(勝利の女神)

伊織「うそでしょ!イヤよそんなの!」
亜美「いおりん、諦めておごらないとダメだよー」
千早「フフ…フフフ…鳥が最後に微笑んでくれて良かった…」
「これで千早かあ。まあボクはもうかなり前に決まっちゃってたけどさ」
春香「うう、最後まで頑張ったんだけどなあ…おごらないとかあ…グスン」
美希「くやしいの…最後の最後で負けるなんてえ…」
何やらパソコンの画面を見て、喜びと悲しみの表情を見せるアイドル6人。
「なあお前ら、何やってるんだ?」
「プロデューサー、簡単に言えばボクと春香と美希と亜美と伊織が千早にご飯をおごることが決定したってことです」
「どういうことなんだ…ってもしかして、この前のあずささんのアレか?」
伊織「まったく、不甲斐ない…不甲斐ないわ!」
「あのなあお前ら、揃いも揃って賭け事はやめてくれよ」
亜美「でも兄ちゃん、コレくらいいいじゃん」
「外部に漏れたら何書かれるか分かったもんじゃ無いんだぞ」
春香「プロデューサーさん、これくらいで目くじら立てなくてもいいじゃないですか」
「まったく、こんなことされると頭痛い…」
千早「プロデューサー、具合が悪いなら早く帰られては?」
「千早、そうじゃなくてだな」
美希「最後の最後でこうなるなんて…でも勝負は勝負なの」
「こら、美希」
伊織「もう…しょうがないわね、ちゃんとやるわよ」
「ところで一応聞いておくが、これだけだよな?賭けてるのは」
「これ以上やったらボク達大変じゃないですか、それにあっちは半年以上かかるからコレだけです」
春香「プロデューサーさん、本当にこれだけですから」
「あのな、大体あの後やよいが愚痴言ってたんだぞ。『今月大ピンチになっちゃったんですぅ』って」
美希「アハハっ、プロデューサーさん似てるー」
亜美「うんうん。兄ちゃんそっくりだよ、やよいっちに」
「そういう問題じゃなくてな…」
千早「確かに高槻さんがそう言ってた気がします…」
「あずささん、えらい食べたらしいからな」
「お酒も入ったらしいですよね、ああ羨ましいなあ」
「それを五人はただ見てるだけ…だもんな」
美希「だからこそ本当にくやしいの…」
伊織「千早以外に望みがあったのは私と美希だけなのよね」
「どういうことだ?リーグ二つなんだから、優勝チームは二つなんだろ?」
「優勝チームが二つだから、直接対決の勝敗で決着することにしてたんです」
「なるほどな、今期は…新潟と富山で、直接は富山の3勝2敗か」
美希「だから引き分けなら仲良く分けられたの…」
「でもこれくらいのことで落ち込むなよ、美希」
美希「それなら…プロデューサーさんが美希におごってなの」
「それはダメだろ。決まりがあるんだろ?きちんと」
春香「そうだよ美希、こっちは最終戦の前に可能性が無くなっちゃったんだもん…」
亜美「亜美なんかずっと前だよ、もう…」
「ボクだって去年は強かったのに…」
伊織「美希はまだいいじゃない、私よりずっと望みがあったんだから」
美希「でも負けちゃったら意味が無いの」
「ほらほら喧嘩はよせってば…まったく」
千早「ぶいっ、必ず正義は勝つんです」
珍しくブイサインまで飛び出す千早。
「な、何だ千早。珍しいな、そういうことするなんて」
千早「だってこれだけの激戦を勝ち抜いてくれたんですからフフフ…嬉しくて…」
「本当にコレ限りにしてくれよ」
善永「本当に面白いことが聞けるなんてね」
「え…面白いことって…善永さん!?」
善永「お久しぶりね、プロデューサーさん」
「ど、どうしてここに!?」
善永「何か面白いことが聞けそうで…記者としてのカンよ、カン」
「あの…今回のことは聞き流してくれ…ませんか?」
善永「そうね…でも条件があるわよ」
「その条件とは何でしょうか?」
善永「プロデューサーさん、少し耳を貸してくれるかしら?」
「はい、いいですけど…」
善永「…………はどうかしら?」
「んー…問題があるとすれば、リーグの了承と亜美達の扱いなんですが…」
善永「そこが問題ね…でも、何とかなるわよね?確かもうすぐ独り立ちさせるんでしょ?」
「はい、もう発表する予定なんで」
亜美「え?亜美たちのこと?」
「ああ、ソロデビューのことな」
春香「あ、亜美たちソロデビューするんですか、プロデューサーさん」
「ああ、もう今週末に発表予定だ」
「うわあ、これでライバルが増えるんだなあ」
「うん、だから今まで以上にみんな頑張ってくれよ」
千早・春香
真・伊織
美希・亜美
「「「「「「はーい」」」」」」
「でも12曲ですか…作詞家と作曲家の先生が怒らないかなあ、心配ですよ」
善永「そこはちょっと任せてもらえませんか?」
「え?善永さんどういう…」
善永「ちょっと知り合い達に頼んでみたくて…こういうことやってみたかったんです」
「やっぱり顔が広いんですね、俺以上に」
善永「まあね。大丈夫、確か全部居たはずだから…何日か待っててくれるかしら?」
「分かりました。お待ちしてます」
 
数日後…
Trrrrr… Trrrrr…
プロデューサーの携帯が鳴り響いた。
Pi♪
「もしもし、○○です」
善永『もしもし、善永です。今お時間いいかしら?』
「はい、大丈夫ですけど…どうしたんですか?」
善永『ちょっと今からそっちに伺ってもいいかしら?』
「あ、大丈夫ですよ」
善永『それなら15分くらいで行くわね』
………
善永「どうも、プロデューサーさん」
「こんにちは、善永さん」
善永「はい、12曲分出来たわよ」
と、書類と大量のテープを出してくる善永。
「ええっ!?で、出来たんですか!?」
善永「ええ、頼んだ皆さんが意外と乗り気になってくれて。リーグと各チームの方にも話は通したわよ」
「仕事速いですね…あの、仕事に支障は無かったんですか?」
善永「大丈夫よ、その分は走り回らないでデスクワーク中心にしてたから」
「そこまでやられたら、こっちもやるしかないですね」
善永「そう言ってくれると、やった冥利に尽きるわね」
「ところで善永さん」
善永「何かしら?」
「この曲、どういう販売をしたらいいと思いますか?」
善永「そうね、まずは地方発売かしら。両方のリーグの会場で限定販売の方が良いと思うわ」
「それならあえて歌手名を変えますか?」
善永「それも面白そうね…ラジオとかで流してもらえば、気付く人が出てくるかもしれないわね」
「確かに声だけの方が分かる人が出てくるかもしれませんね」
善永「そこなのよ、歌手は歌を歌ってナンボの世界でしょ」
「まあ、さらにそこから口コミ効果を狙うと」
善永「そうそう。そうした方が面白そうね」
「よし、それじゃあその方向でやってみます」
善永「うん、発売の頃になったら教えてね」
「当然ですよ、一番の協力者なんですから」
それからなぜか独立リーグが日本のあちこちに出来てしまったのは、また別の話である…
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あとがき
飛神宮子です。新潟がBCリーグ北信越ブロックの前期優勝したので書きました。
ちなみに、各人が応援しているのは以下のように設定しました。
アイランドリーグ…香川:あずさ/徳島:律子/愛媛:やよい/高知:真美/福岡:小鳥/長崎:雪歩
BCリーグ…群馬:春香/新潟:美希/信濃:真/富山:千早/石川:伊織/福井:亜美
なぜ3人に可能性があった理由を聞きたい人は何らかのレスをくれればお答えします。
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2008・07・14MON
飛神宮子
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