Girl-Next-Door(隣の女の子)

ここはある日の…さてどこだろうか?
ピピピッピピピッピピピッピピピッ
律子「んっ…もう朝なのね…」
ピッ
鳴っている目覚ましを止めたベッドの上の少女が一人、そして…
やよい「ふわ〜あ…朝だぁ〜…」
その目覚ましで床に敷いていた蒲団から起きた少女がもう一人。
律子「あ、ゴメンやよい。起こしちゃった?」
やよい「おはようございます、律子さん。大丈夫です、いつもこの時間くらいに起きてますから」
律子「でもいくら今日の仕事が朝早くて現場が私の家の近くだからってねえ…」
そう、やよいが律子の家に泊まりに来ていたのである。
やよい「でもでもこうやって律子さんの家に泊まれたの、何だか嬉しいです」
律子「そう言われると何だか照れるわよ」
やよい「そういえば泊まるのって、随分と久しぶりですよね?」
律子「んーそうなるのね、でもつまらない部屋でしょ?」
やよい「そんなことないです。律子さんらしくってとっても素敵です」
律子「ありがと、そう言ってもらえると嬉しいわ」
やよい「それに他の部屋も用意してもらってるのに、私の方が無理言ってこの部屋にしてもらってるんですよ」
律子「いいのよ、だって…」
スッ
律子はベッドから起き上がって…
ススッ
やよい「り、律子さんっ!?」
律子が何をしたかと言えば…
ギュッ
律子はやよいの寝ていた蒲団の方に入って、やよいのことを抱きしめた。
律子「フフフ、やよいは人の温もりが近くにある方が落ち着くんだからね」
やよい「エヘヘ…」
少し照れた表情のやよい。
やよい「やっぱり普段がああだから、近くに誰かがいないと落ち着かなくって…」
律子「いいのよ、私もやよいを一人にさせるのは何か気分が嫌だったもの」
やよい「私…律子さんとのユニットで良かったです…」
律子「私もよ、こんな私と一緒でありがとう…やよい」
やよい「どういたしまして…です…」
律子の温もりに包まれてやよいも、律子自身も少し蕩けている。
律子「フフフ、やよい…温かいわ…」
やよい「律子さん…気持ちいいです…」
律子「この薫りが妹みたいで…私のこと癒してくれるのよ」
やよい「律子さんだって…お姉ちゃんみたいな温もりで…気持ちいいんです…」
律子「…ってこんなことしている場合じゃなかったわね」
やよい「あっ、時間大丈夫ですか?」
律子「まだ時間自体は余裕があるわよ。でも朝ご飯食べたり準備しなくちゃでしょ?」
やよい「そうですね、じゃあ起き上がってまずは身支度整えてご飯ですね」
律子「ええ。まずは起きましょ」
ガバッ バッ
二つの身体が一つの蒲団から起き上がった。
やよい「律子さん、この蒲団はどうすればいいですか?」
律子「帰ってきたら片付けるから、畳んでおいてくれればいいわ」
やよい「分かりました」
………
そして現場…
「おはよう律子、やよい」
律子「おはようございます、プロデューサー」
やよい「プロデューサー、おはようございまーす」
律子「それにしても本当に近所でなんですね」
「場所を聞いた時に、さすがにやよいだけここまでわざわざ来させるのもって思ってな」
律子「そうよね…プロデューサーにわざわざ迎えに行かせることになっちゃうもの」
やよい「昨日がちょうど律子さんと一緒のラジオで良かったですー」
律子「そういうタイミングもちょうど良かったのよね」
「そういえば昨日のラジオ、事務所で響と真が大笑いしてたぞ」
やよい「ああ…律子さん、やっぱり笑われちゃってましたぁ…」
律子「もう…やよいが落ち込むようなこと今言わなくたっていいじゃないですか」
「ゴメンやよい!まさかやよいがそう思ってるだなんて、思ってなかったんだ」
やよい「え?プロデューサー、私落ち込んでなんてないです。ちょっと引っ掛かっただけですから」
「そ、そうか…」
律子「…それで今日の撮影の内容はどうなってるんですか?」
「ああ…そうだったな。この商店街の紹介だけど………」
 
「………こんな感じだけど質問はあるか?」
律子「やよいは大丈夫?」
やよい「はいっ!」
律子「でもちょっと心配なのよね…」
「心配?どうしたんだ?」
律子「私はここが地元じゃない。結構声を掛けられそうで…」
「ああ、そういうことか。ま、問題のあるところはカットしてもらうから」
律子「ちゃんとお願いしますね、ここまで来るまでで、やっぱり挨拶とかされてるんで」
「そうなのか…そんなに有名人なのか?」
律子「私の家、お店をやっているじゃないですか。それで結構やっぱり…」
「納得。その辺は…まあでも多少は我慢してくれよ」
律子「分かってますよぉ…」
 
撮影も終わって…
律子「プロデューサーはこれからどうするんですか?」
「俺か?俺はこのまま事務所だな」
律子「一度私とやよいを、私の家に送ってもらえますか」
「それくらいなら構わないけど」
律子「それからやよいのことを、やよいの家までお願いします」
「ああそうか、昨日の今日でやよいの荷物がまだ律子の家にあるのか」
やよい「はいっ。昨日は一日お世話になっちゃいました」
律子「でも私も、妹が出来たみたいで楽しかったわよ」
やよい「私も、こんなお姉ちゃんがいたらなあって思っちゃいました」
「やっぱり二人は仲が良いんだな」
律子・やよい「そうよ」 「はいっ」
「(この二人を組ませて本当に良かった…)」
律子「どうしたの?プロデューサー」
「何でもないさ何でも。じゃあ俺は最後のあいさつしてくるから、先に車の方に行っててくれ」
やよい「はーい。じゃあ律子さん、いつものいいですか?」
律子「ええ」
二人『ハイターッチ』
パシンっ
律子とやよいのハイタッチが綺麗な音を奏でた。
やよい「イエイっ!」
二つの笑顔を見たプロデューサーは、表情を柔らかくしてあいさつへと向かっていったという…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
どもっ、飛神宮子です。
やよりつ。この二人はやっぱり思った以上にいい姉妹ですよ。
お互いがお互いを思いやれる。この二人にはそれが一番あると思います。
あ、そうそう。7月9日に名古屋のライブ行きますので。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2011・05・31TUE
飛神宮子
短編小説に戻る