ここは12月24日夕方の事務所… |
小鳥 | 「プロデューサーさん、凄かったですね」 |
P | 「はい。でもまさか響が真と貴音を巻き込んで、あんなのを仕込んでいるとは思いませんでしたよ」 |
二人は雪歩の誕生日とクリスマスを兼ねたパーティーの後片付けをしている。 |
小鳥 | 「でもどっちを選ぶかなんて雪歩ちゃんは無理よね」 |
P | 「最後は雪歩もおろおろして泣きそうでしたし」 |
小鳥 | 「だけど両頬にキスされて幸せそうだったわ」 |
P | 「あれから一転して、真っ赤になって倒れそうでしたよ」 |
小鳥 | 「ああいうのも青春って言うのかしら」 |
P | 「女子同士でいいのかなとは思いますけどね」 |
小鳥 | 「いいのよ。今の雪歩ちゃんはそれで幸せそうなんだもの」 |
P | 「確かにそうですけどね。あ、今日はどうします?」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん、分かってるくせに…」 |
P | 「まあ自分で予約しましたから」 |
小鳥 | 「高かったんじゃないですか?」 |
P | 「今日ぐらいは奮発しないと、折角の日ですからね」 |
小鳥 | 「何時の予約ですか?」 |
P | 「19時です。だからもう15分くらいしたら出ましょう」 |
小鳥 | 「そうね。あと片付けはこれ冷蔵庫に入れるだけかしら?」 |
P | 「それとあとはゴミを下ろすだけですからそうですね」 |
小鳥 | 「じゃあやったら行く準備ね」 |
P | 「はい。じゃあちょっと行ってきます」 |
……… |
事務所ビルの玄関にて… |
小鳥 | 「プロデューサーさん、お待たせしました」 |
P | 「待ってませんって。一緒に出てきたじゃないですか」 |
小鳥 | 「でもやっぱり寒いですね」 |
P | 「もうすっかり街も冬景色ってところですね」 |
小鳥 | 「○○さん…」 |
P | 「そうですね…」 |
ギュッ |
差し出された小鳥の右手とプロデューサーの左手がしっかりと握られた。 |
P | 「行きましょうか、小鳥さん」 |
小鳥 | 「エスコートしてくださいね」 |
P | 「では、向かいましょうお姫様」 |
小鳥 | 「ええ、お願いします王子様」 |
|
その道中… |
P | 「やっぱりクリスマスともなるとイルミネーションが綺麗ですね」 |
街中はイルミネーションの光とクリスマスのデコレーションに溢れている。 |
小鳥 | 「毎年恒例と言えばそれまでだけど、綺麗なのは変わりないわ」 |
P | 「これが無いと何だかクリスマスって感じがしないから不思議ですよ」 |
小鳥 | 「それより前からデコレーションなんかは始まってたりするのよね」 |
P | 「でも昔はこの時期本当に辛かったなあ…」 |
小鳥 | 「○○さんもですか?」 |
P | 「一人身にはこの時期、楽しみが無いですから」 |
小鳥 | 「私も…でも今はこんなにいい人が隣にいてくれて…」 |
P | 「俺も…こんなに素敵な人が隣にいてくれるなんて…」 |
小鳥 | 「素敵だなんて…ありがとう、○○さん」 |
P | 「俺も…ありがとうございます、小鳥さん」 |
小鳥 | 「来年も一緒に…過ごせますよね?」 |
P | 「来年も、再来年も…ずっと一緒に過ごしましょう」 |
小鳥 | 「○○さんとなら…ずっと出来ると思うわ」 |
P | 「これからもずっと…よろしくお願いします」 |
小鳥 | 「こちらこそ…フフフ、こう改まって言われると照れちゃうわ」 |
P | 「そうですね。でも本心ですから」 |
ぽふっ |
小鳥はプロデューサーにぴったりとひっ付いた。そして小さく一言… |
小鳥 | 「○○さん…愛してる…」 |
プロデューサーに聞こえないようにそっと囁いた。 |
P | 「ん?何か言いました?」 |
小鳥 | 「な、何でもないわ何でも。プロデューサーさん、予約したレストランってまだです?」 |
P | 「ほら、あのビルの18階ですよ」 |
小鳥 | 「○○さん、どうやってここを見つけたんですか?」 |
P | 「伊織のグルメ番組の取材が、このビルの3階のケーキ屋であったじゃないですか」 |
小鳥 | 「ドイツで修業を積んだパティシエのお店の時ですか?」 |
P | 「それですそれ。その時に他のフロアで気になった店もチェックしたんで」 |
小鳥 | 「伊織ちゃんもその取材が高評価で、またオファー来てましたね」 |
P | 「伊織はやる時はやるタイプですから。実際美味しかったとも言ってましたし」 |
小鳥 | 「本物にはうるさいもの、伊織ちゃんは」 |
ガーーー |
自動ドアを開け、二人はそのビルへと入っていく。 |
P | 「確かに伊織は良い所の育ちですからね」 |
小鳥 | 「でも○○さん、最近伊織ちゃんも含めて大変だったでしょ?」 |
P | 「やっぱり分かります?」 |
小鳥 | 「だって顔に出ちゃってるわ。年末は特に多忙だったもの」 |
P | 「まだいくつか残ってますけどね」 |
小鳥 | 「身体だけは大切にしてください。もしいなかったら大変なんだから」 |
P | 「努力は…小鳥さんが一緒ならできるかなって」 |
小鳥 | 「私が○○さんの家にしばらくいてもいいですけど…」 |
P | 「そう言うなら本当に居てもらおうかな…」 |
小鳥 | 「それでも…アレはお預けですからね」 |
P | 「それは小鳥さん次第ですから」 |
小鳥 | 「もう…分かったわ。今日のエスコートの内容次第で決めるわね」 |
P | 「…努力します」 |
……… |
レストランを出た二人… |
小鳥 | 「あのお値段であれはリーズナブルでしたね」 |
P | 「隠れた名店って業界では話題になってたんですよ」 |
小鳥 | 「景色も良くて、料理も一流で…素敵な時間だったわ」 |
P | 「俺は小鳥さんに満足していただけただけでもう充分です」 |
小鳥 | 「それで今日はこれから…どうします?」 |
P | 「どうするも、お互い酒が抜けない限りはどうしようもないですし…」 |
小鳥 | 「お酒が抜けるまで事務所で二人きりで…ね」 |
P | 「まだケーキも残ってますし、そうしましょうか」 |
小鳥 | 「それからのことは事務所に戻ってから考えるとしますか」 |
P | 「いざとなったら仮眠室で寝れば問題無いですし」 |
小鳥 | 「今日はみんな帰っちゃったから、私達以外使うこともないですからね」 |
P | 「じゃあ帰る前にこの下で何か仕入れてから行きますか」 |
小鳥 | 「そうね…」 |
ギュッ |
二人の手は再び握られ、事務所まで離れることはなかったと言う… |