Fleeting Pain(束の間の痛み)

ここはある日の…
春香「サンデー!!」
とある場所に、そこに本来聞こえてくるはずのない声が響いた。
春香「うう…千早ちゃんにも美希にも迷惑かけちゃったんだよね…」
コンコン
そこにドアをノックする音が聞こえた。
春香「はーい、いいですよー」
ガチャっ
伊織「おじゃましまーす…って誰も来てないのね春香」
春香「今は生放送中だからみんなそっちに行ってるんじゃないかな?あ、その椅子に座って」
伊織「もう…春香が倒れたからこっちはてんやわんやになったのよ」
春香「しゅん…やっぱりみんなに迷惑掛けちゃってるんだよね…」
伊織「そんな落ち込まないでってばもう…病気は仕方ないでしょ」
春香「うん…でも…」
伊織「まあ…虫垂炎ってねえ…急になるものだけれど…」
そう、ここはとある病院の個室である。
伊織「でも事務所で急に倒れた時はみんな本気で心配したんだから」
春香「あれって急に来るんだね…」
伊織「プロデューサーなんてあたふたしてて使い物にならないから、律子が色々やったりでねえ」
春香「でもプロデューサーさんの腕、温かかったなあ…」
伊織「そういうこと言ってる場合じゃないでしょ!」
春香「う、うん…」
伊織「あとどれくらいで退院できるって?」
春香「えっと…来週の生放送には間に合いそうかなって」
伊織「ふーん、そうなの」
春香「うう…何だか伊織が冷たい…」
伊織「そうじゃないの。もし来週間に合わなかったら私が春香の代理なのよ」
春香「あ、そうなんだ。今日はあずささんって聞いてたけど」
伊織「やっぱり今日は千早が大変そうね、いつものリズムじゃないみたいだから」
春香「うん。確かに毎回生放送ってだけで大変だもん」
伊織「来週は戻って来れなかったら…美希と千早となのね…大変そうだわ」
春香「あれ?そういえば伊織は今日は何も無いの?」
伊織「ええ。事前収録で貴音とあれを食べてきたわ」
春香「貴音さん…今週は伊織があのコーナーの担当だったんだ」
伊織「本当によく食べるわね…見てるだけで胸焼けしたわよ」
春香「そうだよね…私も何回か一緒にやったけど貴音さんって本当に食べるよね」
伊織「今回もテレビでは放送されないみたいだけど、私の残りまで食べちゃったわ」
 
伊織「今日も響は大変そうなことさせられてるわね」
春香「プロデューサーさんもよく毎回OK出してるって思うなあ」
伊織「また凄いわねこれ…ちょっと、スタッフも悪乗りしてるでしょ」
春香「響ちゃんの方に就いてるスタッフさんって、バラエティ班出身が多いって聞いたよ」
伊織「なるほどね…あのノリはそういう人たちだからなのね」
春香「今度ちょっとプロデューサーさんにも相談しておいた方がいいかな、さすがにちょっと最近は酷くなってきちゃったかなって思うし」
伊織「そうね…」
春香「あ、次のコーナーだ」
伊織「次はやよいのコーナーね」
春香「このコーナーはどうしても生放送だから出れないけど一度やってみたいなあ。今日は…え?律子さん!?」
伊織「そうよ。今週は誰もフリーだった人がいなかったの」
春香「じゃあどうして伊織はここにいるの?」
伊織「どこでやっているかちゃんと聞きなさい」
やよい『今週はいつもよりちょっと遠くの○○県に来ていまーす』
律子『今日は○○県○○市にある、△△幼稚園のみんなに来てもらっています』
やよい・律子『『みんなー、こーんにちはー』』
春香「あ、そんな遠くでやってるんだ」
伊織「昨日のラジオ聞いてないわね、春香」
春香「う…その時間寝ちゃってたんだっけ…」
伊織「ご飯食べてからすぐ寝るって…太るわよ」
春香「そういうこと言わないでよぉ…。でも確かにちょっと体重が増えたかも…」
伊織「もうすぐオールスターライブの練習始まるんだから節制しなさい」
春香「うん…でも何でこんな遠くなの?」
伊織「昨日は○○県の放送局で公開生放送だったらしいの」
春香「そっかあ」
伊織「もう…昨日の放送で心配されていたのに全く聞いてなかったのね」
春香「え…何だか凄い悪い気持ちで一杯だよぉ…」
伊織「今度来たらちゃんと謝りなさいよ」
春香「そうする」
伊織「本当に春香はそういうところが抜けてるんだから」
春香「だって…一昨日の夜にファンの人たちからの手紙読んでたら、眠くなっちゃって」
伊織「どれくらい来てたのよ」
春香「そこの箱全部だけど、あと半分くらい読んでないかなあ」
伊織「それって…200とか300とか結構あるのね」
春香「小鳥さんがこの前来た時に一緒に持ってきてくれたんだけど…これでも半分くらいだって言われたっけ」
伊織「これだけ心配かけてるんだから、元気に復帰しなさい」
春香「うん…ちゃんと治して全力のパフォーマンスで応えないとかな」
やよい『みんなー、これから体操始めるよー!』
律子『先生も、お父さん、お母さん方も一緒に踊ってくださいねー』
やよい『律子さん、じゃあせーのっ』
やよい・律子『『スマイル体操、行っくよーっ!』』
春香「それにしても今週はやっぱり息が合ってるね」
伊織「やっぱり二人でトップアイドルだったもの。テレビで出るのは久々とは言ってもね」
春香「律子さんってやっぱり厳しいの?」
伊織「確かに厳しいわ。竜宮小町をトップアイドルに仕立て上げるって必死みたい」
春香「最近は私達が何だか負けてる気がする」
伊織「それはどうかしらね、でもあんたたちも頑張んなさいよ」
春香「次って確か一緒のオーディションだよね」
伊織「同じオーディションだなんて、プロデューサー絶対狙っているわね」
春香「私達の方に発破かけるためにわざとぶつけたって聞いたよ」
伊織「やっぱり…」
春香「あれって通過枠1だっけ?」
伊織「確か2のはずよ」
春香「2かあ…でも1位通過狙う勢いじゃないと他も強豪揃いだって聞いたし」
伊織「どちらか…ううん、どちらもは蹴落とされるかもしれないわね」
春香「そっかあ…頑張らないとなあ」
伊織「だから早く退院して、千早のこととにかく安心させなさい」
春香「千早ちゃん?」
伊織「ああやってテレビでは平静を保ってるけど、かなり抱え込んで不安定になっちゃってるのよ?」
春香「千早ちゃん…早く退院して安心させないとかなあ」
伊織「あと876の愛もこの前来てたわね。あの曲のことでまたここに来るって言ってたわ」
春香「みんな…私頑張って復帰する。伊織ちゃん、みんなにそう伝えておいて」
伊織「分かったわ」
春香の心の中にはまた違う新しい決意が少しずつ注がれ始めたという…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
春香強化期間(一番組んでいる組み合わせが少ないので)でまずは伊織と。
話としてはちょっと前に書いた千早と愛のSSの頃になります。
病気…特に内臓疾患は急になってしまうもの。皆さんも健康には気をつけましょうね。
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2012・06・21THU
飛神宮子
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