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貴音の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。 |
貴音 | 「プロデューサー殿からのお手紙ですか…」 |
貴音はそのメールを見た瞬間、事務所へと一目散に駆け出していった… |
……… |
そして事務所に駆け入るなり… |
貴音 | 「律子嬢は居られますか?!」 |
律子 | 「ど、どうしたのよ貴音」 |
貴音 | 「居られましたか…その…」 |
律子 | 「…その表情は…来たのね?」 |
貴音 | 「はい…」 |
律子 | 「どれどれ?ヒントはどんな感じかしら」 |
貴音 | 「それが…」 |
(1)マスカット (2)千早が行ったことがある場所 (3)桃太郎電鉄の重要な場所 |
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貴音はヒントとなるメールを律子へと見せた。 |
律子 | 「なるほど…これはあの子に聞いた方が良いかしら」 |
貴音 | 「あの子と言いますと?」 |
律子 | 「ちょっと待って、今呼び出してみるから」 |
PiPiPi♪… |
律子はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
律子 | 「ん、出たわ。もしもし」 |
真美 | 『もしもし、真美だよん』 |
律子 | 「亜美じゃなくて真美ね?声で確信持てないから聞いてるけど」 |
真美 | 『律っちゃん、真美の携帯に掛けてるのにそれはないっしょ』 |
律子 | 「まあそうだけど…一応ね」 |
真美 | 『んでんで、用件って何なの?』 |
律子 | 「一つ聞いていいかしら?桃○郎電鉄ってゲームは知ってる?」 |
真美 | 『んー、知ってるけどどしたの?』 |
律子 | 「そのゲームの重要な場所って…どこかしら?」 |
真美 | 『重要な場所かあ…それってもしかしてお姫ちんの誕生日のやつ?』 |
律子 | 「そうなのよ。それで3つ目のヒントがそれなの」 |
真美 | 『そうだなあ…もしかしてだけど岡山じゃないかな?』 |
律子 | 「岡山?」 |
真美 | 『うん、きっとそうだよ。一番重要な場所はそこの桃○郎ランドだもん』 |
律子 | 「ありがとう真美、参考にするわね」 |
カチャンッ |
律子は受話器を戻した。 |
律子 | 「岡山…千早?………ああっ!千早は確かに岡山に行ったわね!」 |
貴音 | 「岡山…なのですか?」 |
律子 | 「ちゃんと確信は持てないけど…おそらくそうだと思うわ。小鳥さんのところに行ってらっしゃい」 |
貴音 | 「はい…」 |
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小鳥のデスクへと移動した貴音。 |
小鳥 | 「あら?貴音ちゃん、どうしたのかしら?」 |
貴音 | 「小鳥嬢…先ほどプロデューサー殿から頂きましたメールの答えが見付かりました」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん?…ああ、今日だったのね」 |
貴音 | 「はい…」 |
小鳥 | 「それで答えはどうかしら?」 |
貴音 | 「答えは岡山…でよろしいですか?」 |
小鳥 | 「………」 |
小鳥は無言になって… |
カチャカチャ ガチャンッ |
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出した。 |
小鳥 | 「はい、貴音ちゃん」 |
その封筒が貴音へと渡された。 |
小鳥 | 「プロデューサーさん、待ってるわ。明日行ってらっしゃい」 |
貴音 | 「…はい」 |
小鳥 | 「ちょっと待ってね」 |
PiPiPi♪… |
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
小鳥 | 「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日品川駅新幹線改札口に10時でお願いします」 |
カチャンッ |
小鳥は受話器を戻した。 |
小鳥 | 「明日10時に品川駅に着くくらいで行くから、ちゃんと準備しておいて」 |
貴音 | 「持ち物はあの紙に書いてあった通りでよろしいのでしょうか?」 |
小鳥 | 「ええ。楽しんできてね」 |
……… |
翌日の品川駅新幹線改札口… |
小鳥 | 「藤原さんね、私は765プロ事務の音無です」 |
藤原肇(肇) | 「はい……956プロダクションの藤原肇です」 |
そこには黒髪の少女が一人、貴音の到着を待っていた。 |
小鳥 | 「今日はうちの四条をよろしくお願いね」 |
貴音 | 「よろしくお願いします…藤原嬢」 |
肇 | 「はい……私も地元にアイドルの方と一緒に帰ることができるのが……嬉しいです」 |
貴音 | 「では、参りましょうか」 |
その貴音の後ろには荷物の入ったカバンの他に… |
ゴロゴロゴロゴロ |
肇 | 「それは……何ですか?四条さん」 |
貴音はキャリーカートを一つ引いていた。 |
貴音 | 「これは…新幹線の中で食する駅弁ですわ…フフフ」 |
肇 | 「あ、あの……音無さん?これは……?」 |
小鳥 | 「あ…あのね、藤原さん。新幹線の中で彼女の光景を見ても驚かないでね」 |
肇 | 「はい……?」 |
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新幹線の車内、二人はグリーン車の隣り合った席についていた。 |
貴音 | 「到着は確か14時過ぎになりましょうか」 |
肇 | 「そうですね…終点ですからゆっくりできますね」 |
貴音 | 「では、戴きましょう」 |
肇 | 「はい……?」 |
貴音 | 「まずはこちらの弁当を…では、戴きます」 |
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3時間ほど後の新幹線車内… |
肇 | 「熱海……静岡……名古屋……京都……そして……」 |
貴音 | 「ご馳走様でした…こちらはもう姫路ですか」 |
肇 | 「五つ目……?」 |
その光景に驚きを隠せない肇。 |
貴音 | 「わたくし…美味しい物には目がないものでして…」 |
肇 | 「四条さんって、テレビとかで見ていたイメージと少し違います」 |
貴音 | 「フフフ、きっとそうでしょう。こういうところも含めてミステリアスと言われておりますので」 |
肇 | 「でも食べている時の四条さん、とても幸せそうでした」 |
貴音 | 「ありがとうございます…」 |
肇 | 「四条さんとなら明日も…楽しくお仕事ができそうです…」 |
貴音 | 「はい…明日は共にお仕事を頑張りましょう」 |
ギュっ |
肇の手を取った貴音。 |
貴音 | 「…藤原嬢の手…何だか良い感触です…」 |
肇 | 「あっ…故郷では陶芸をやっていたからでしょうか…」 |
貴音 | 「陶芸ですか…」 |
肇 | 「はい…陶芸家としても祖父に後を継いで欲しいと言われましたが…」 |
貴音 | 「それでもアイドルの世界へというのは…?」 |
肇 | 「それは…もっと色々と経験を積んでおきたかった…からです」 |
貴音 | 「なるほど…将来陶芸家に進んでも、このアイドルの経験はきっと身になりましょう」 |
肇 | 「ありがとうございます…まだ未熟者ですけれど、まずはこの世界で花開いてみせたいですから…!」 |
貴音 | 「フフッ、その心構えがあればきっといつか花が咲く日が来ますね」 |
貴音の優しい微笑みに、肇も心地よい笑顔が滲み出していたという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Takane SHIJO.