ここは五月半ばの… |
真美 | 「ピヨちゃーん、カメラ大丈夫ー?」 |
小鳥 | 「大丈夫よ、ちゃんと写ってるわ」 |
真美 | 「じゃあ始めていいー?」 |
小鳥 | 「ちょっと待って、録画ボタンを押して…」 |
ピッ |
小鳥 | 「はい、いいわよ真美ちゃん」 |
真美 | 「はーい!真美だよー!」 |
ある駅を背景にして喋り始めた真美。 |
真美 | 「今日は誕生日よりちょっとだけ後だけど、旅に来てるんだ。それでここがどこか分かるかな?」 |
小鳥は駅全体を写すように後ろに下がっていく。 |
真美 | 「えっと…いと…さかな…かわ?何て読むんだっけ?」 |
小鳥 | 「真美ちゃん、いといがわよ」 |
小声で伝える小鳥。 |
真美 | 「そうそう、糸魚川だよ。それで765プロの他のお姉ちゃん達のを見た人は分かるかもしれないけど、一緒に旅をしてくれる人がいるんだよ」 |
真美は少しばかり説明口調になり始めた。 |
真美 | 「あ、他のみんなは殆ど兄ちゃん…あっと、プロデューサーもカメラマンとして一緒なんだけど…」 |
少しずつ寂しそうな声になっていく。 |
真美 | 「真美は亜美と別々になっちゃって、兄ちゃんは亜美の方に行っちゃったんだ」 |
ここで気を取り直して… |
真美 | 「というわけで、ちょっちカメラ貸してー」 |
小鳥 | 「え?わ、私を撮るの?」 |
真美 | 「当然っしょ!一緒に旅をするんだもん。じゃあ写すよー」 |
カメラを小鳥の方向へと向けた真美。 |
小鳥 | 「あ、はい。今回真美ちゃんと一緒に旅をすることになった、765プロの事務員をやってます音無小鳥です」 |
真美 | 「もうピヨちゃん硬いよー」 |
小鳥 | 「そ、そう言われても急に言われたらそうなっちゃうわ」 |
真美 | 「そっかー。じゃあはい、カメラ返すね」 |
小鳥 | 「ありがとう、真美ちゃん」 |
真美 | 「ということで、今回はピヨちゃんと一緒に糸魚川と海を渡って佐渡って所に行っちゃうよ」 |
小鳥 | 「今日は糸魚川から直江津で、今日中に船で向こうに渡って、明日は佐渡から新潟に戻って帰ります」 |
真美 | 「それでここで何するんだっけ?ピヨちゃん」 |
小鳥 | 「ちょっと待って、プロデューサーさんから預かった予定表は…あった」 |
真美 | 「何すんの?」 |
小鳥 | 「これからお昼ご飯を食べるそうよ。何か貴音ちゃんが食べたいって言ってたものみたい」 |
真美 | 「何だろう?楽しみだなー」 |
小鳥 | 「じゃあ行きましょ、お店は駅の近くらしいわ」 |
真美 | 「うんっ」 |
小鳥のビデオカメラは笑顔の真美を捉えていた。 |
……… |
店員 | 『おまちどうさまでした、ごゆっくりどうぞ』 |
真美 | 「わわわっ!本当に真っ黒だー」 |
小鳥 | 「話には聞いたことはあるけど、さすがに実物を見るとびっくりね…」 |
真美 | 「お姫ちん、これが食べたかったんだ…」 |
小鳥 | 「これの本当の姿知ったら、きっとビックリね」 |
真美 | 「きっとお姫ちんもこれは今までに食べたことが無い色だと思うよー」 |
小鳥 | 「じゃあ食べましょう」 |
真美 | 「うん、そだね…」 |
真美・小鳥 | 『いただきまーす』 |
真美 | 「あむっ…んー、色でビックリしたけど美味しいー」 |
小鳥 | 「本当ね。この色だからちょっとって思ったけど、美味しいわ」 |
真美 | 「この上の卵がまろやかにしてくれるね」 |
小鳥 | 「これはやっぱり、一度貴音ちゃんにも食べさせてみるべきね」 |
真美 | 「でもお土産は難しそうだから…あのコーナーで来て貰うしか無いかなあ」 |
小鳥 | 「それは番組スタッフと相談ってことになるかしら…あら?」 |
真美 | 「どうしたの?ピヨちゃん」 |
小鳥 | 「真美ちゃん、口の中真っ黒になっちゃったわよ」 |
真美 | 「本当?」 |
小鳥 | 「本当よ、後で鏡を見たらどうかしら?」 |
真美 | 「そう言ってるピヨちゃんだって真っ黒じゃん」 |
小鳥 | 「えっ…そう?」 |
真美 | 「うん、やっぱりイカ墨が効いてるんだー」 |
小鳥 | 「そうね、この味はここだから出せたのね…」 |
……… |
ここは佐渡の温泉宿… |
真美 | 「今日は凄かったねー」 |
小鳥 | 「ええ。あれから電車に船にバスって、全部制覇しちゃったわね」 |
二人は布団をくっ付けて一つの大きな布団にして横になっている。 |
真美 | 「明日は飛行機も乗るんだっけ?」 |
小鳥 | 「ええ。飛行機で戻って最後は新幹線ね」 |
真美 | 「何か移動まで密度の濃い2日間になっちゃうんだね」 |
小鳥 | 「真美ちゃんは大丈夫?」 |
真美 | 「うん、これくらい全然余裕っしょ」 |
小鳥 | 「明日は今日みたいな強行軍じゃないから、ゆっくり出来そうね」 |
真美 | 「ピヨちゃんこそ今日は大丈夫だった?」 |
小鳥 | 「大丈夫よ、温泉でゆっくりできたし」 |
真美 | 「そっかあ…」 |
ここで小鳥はふとあることを思い出した。 |
小鳥 | 「あ、真美ちゃん。ちょっと一つだけ聞いてもいい?」 |
真美 | 「どしたの?ピヨちゃん」 |
小鳥 | 「どうして…私を第一希望にしたの?」 |
真美 | 「へ?」 |
小鳥 | 「一緒に行きたい人決める時、真美ちゃん私のこと第1希望にしたのは…プロデューサーさんに見せてもらったから知ってるの」 |
真美 | 「どうしてって…そんなに不思議なことだった?」 |
小鳥 | 「だって…私なんて、誰かの第3希望にも選んでくれる人もいないと思ってたの」 |
真美 | 「そんなこと無いよ。だって…」 |
すすす ぎゅうっ |
真美は小鳥の方の布団へと移動して小鳥の身体を抱きしめた。 |
真美 | 「ピヨちゃんのこと…真美は大好きだもん。優しくて、いつでも真美たちのことを思っててくれて…」 |
小鳥 | 「真美ちゃん…」 |
ぎゅうっ |
小鳥も真美を抱きしめ返した。 |
小鳥 | 「ピ、ピヨちゃん…」 |
真美 | 「そういうこと言ってくれるのね…お姉ちゃんそんな真美ちゃんが…」 |
チュッ |
小鳥は真美の唇へとキスをした。 |
小鳥 | 「大好きよ」 |
真美 | 「真美だって…」 |
チュッ |
真美もお返しとばかりに小鳥に口づけをした。 |
真美 | 「今日は大好きなピヨちゃんのこと、独り占めにできて嬉しかったんだよ」 |
小鳥 | 「フフフ、そうなのね」 |
真美 | 「兄ちゃんにはちょっと悪いけどね」 |
小鳥 | 「いいのよ、今日は真美ちゃんだけのお姉ちゃんだから…ね」 |
真美 | 「ピヨちゃん…ううん、小鳥お姉ちゃん…」 |
小鳥 | 「なあに?真美」 |
真美 | 「小鳥お姉ちゃん、いい匂いだね…」 |
小鳥 | 「真美も、いい薫りよ…」 |
真美 | 「ねえ、小鳥お姉ちゃんのこと…食べちゃっても…いい?」 |
小鳥 | 「いつもはあの人にだけど…今日は真美に、独り占めさせてあげるわ」 |
真美 | 「ありがと…」 |
チュッ |
そんな真美の唇が小鳥の肌蹴た浴衣へと、そして… |
ツツツツツ |
小鳥の指も真美の肌蹴た浴衣へと運ばれていった… |
HAPPY BIRTHDAY!! Mami FUTAMI.