They are Enclosed in Bunny(ウサギに包まれた二人)

ここは765プロの事務所…
小鳥「え…え、ええーっ!?無理無理無理無理無理よ!」
「そうは言っても、企画を通したのは小鳥さんですよ」
小鳥「それは…伊織ちゃんがやるって話だったからでしょう?」
「じゃあ何でその後に、確認もしないで断れない仕事を受けたんですか?」
小鳥「…うう、それは…」
「これでも俺に責任があると言うんですか?」
小鳥「で、でもですよ。だからって私がそんなところに出て良いって言うの?」
「先方は765プロの人ならだれでも良いって言ってますよ」
小鳥「だからってアイドルじゃない私なんて…」
「知らないんですか?」
と、パソコンでとあるページを小鳥に見せるプロデューサー。
小鳥「!?!?」
「一介の事務員のスレッドがここまで伸びると思います?」
小鳥「ま、まさかあれからこんなに伸びているなんて…」
そのページを見て愕然とする小鳥。小鳥もよく知っているサイトである。
「それじゃあやってもらいますよ、今回の合同CMの件」
小鳥「…分かりました。落ち度があったのは私なのよね…」
「じゃあメンバー変更と衣装の修正くらいは俺が連絡しておきますから」
小鳥「はい…」
「ちょっと電話掛けている間に書類に目を通しておいてくださいよ」
小鳥「分かりました…」
「ただでさえ撮影今週末なんですから…」
小鳥「えっと、他のメンバーって…」
書類を見る小鳥。そしてまた目を丸くしたようだ。
小鳥「く、黒井崇男って!向こうは社長ですか!?」
「らしいですよ。うちに3人とも持ってかれて、他はまだ世に出せる状態じゃないからだそうですよ」
小鳥「だからって…」
「リハーサルまでにはしっかり育てた新たなメンバーをお披露目すると」
小鳥「なるほど。それと876は…あの子に着させて大丈夫なんですか!?」
「そんなこと言ったって、まだ世間的には女の子で通ってるんですから」
小鳥「…男の娘であの衣装…大丈夫なのかしら…」
既に頭の中では妄想が膨らみ始めていた。
(妄想タイム)
「お、音無さん…」
小鳥「こーら、そんなところ膨らませてたらスーツが着られないでしょう?」
「そ、そんなこと言ったって、音無さんの薫りと…その衣装で…」
小鳥「やっぱり男の子ね。でもこんなお姉さん、秋月さんには歳が行き過ぎでしょ?」
「そんなことないです!大人の魅力にもう我慢できないくらいです!」
小鳥「もう…お世辞でも嬉しいわ」
「お世辞なんかじゃないですよ。本気です…から」
小鳥「フフフ、可愛いんだから。でも今はダーメ。終わってから…ね」
「い、いいんですか!?」
小鳥「どうしようかしらね、フフフ。でも考えておくわ」
(妄想タイム終了、この間約30秒。)
小鳥「行ける!これは行けるわ!」
「な、何がですか小鳥さん。突然叫ぶなんてびっくりしましたよ」
電話を終えていたプロデューサーがビックリしている。
小鳥「あ、ご、ゴメンなさい」
「また妄想ですか?まったく、いくらそこも好きとは言いましたけど…」
小鳥「え?ナ、ナンノコトカサッパリデスガ」
「言葉が片言になってますよ、もう…」
ギュッ
プロデューサーは小鳥を抱きしめて一言こう言った。
「他の人に浮気しないでよ。俺だけの小鳥なんだから」
小鳥「○○さん…」
律子「あー、お熱いことお熱いこと。冷房効いてないのかしらね」
手をパタパタと煽ぎながら嫌味の如く律子が喋り始めた。
「り、律子…居たの忘れてた…」
律子「まあそういうのは余所でやってくれるかしら?小鳥さん、プロデューサー!」
律子のこめかみにはどことなく青筋が出ているように見えた。
小鳥・P「「す、スミマセンでしたー」」
二人がその場をそそくさと去っていったのは言うまでも無かった…
………
そしてCM撮影当日…
小鳥「大丈夫?秋月さん。ちゃんと治まった?」
「な、なんとか…大丈夫です」
既に小鳥の身はバニースーツに包まれており、涼の方がようやくバニースーツに収まったようだ。
小鳥「まさかこの前の妄想が大体合っているなんて…」
「え?何か言いましたか?音無さん」
小鳥「な、何でも無いわ何でも。ん、ちゃんと収まってるわね」
「で、でも本当に僕がこんなところに出ても…」
小鳥「そんなこと言ったら、私なんて表に出ない事務員でしょ?」
「そうですけど…」
小鳥「だからもう割りきっちゃわなきゃダメよ」
「そ、そうですね」
小鳥「それでどちらをやるの?」
「いくら大人でも女性に杵なんて持たせられませんよ。僕がやります」
小鳥「じゃあ私が返し役でいいのね」
「はい。な、何か手付きが妖しいですけど…」
小鳥「そ、そうかしら?そんなことないわよ。ほらほら、スタジオに行きましょう」
「そうですね。ここまで来たらやるしかないですね…」
小鳥「仕事と割り切ってちゃっちゃとやっちゃいましょう」
………
そして完成したCMがこれである。ちなみに黒井社長は別撮りで済ませたようだ…
黒井「月…か」
黒井社長が見上げた月には…
小鳥「ほらあ、涼ちゃんちゃんと搗いて搗いて!」
「お、音無さん…それは手は餅じゃなくて私を狙ってはないですか?」
小鳥「…フフフ、そんな風に見えるかしら?」
黒井「何だ!月にはあんな輩が居るのか!まあいい…幻視だろう。ん?何か月から聞こえるな」
小鳥「765!」
「876…」
黒井「961」
3人「「「合同ライブ、来年1月に開催(します!)」」」
小鳥「13人となった新生765プロを」
「さらなる飛躍を目指す876プロを」
黒井「我が961プロの新人を」
3人「「「ご覧あれ!」」」
…普通の兎のかぶり物でも良かったと気が付いたのはその後のことだったと言う…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
あの絵、どうSSにしろと。まあこれでまともにSSにならないのはラストですが。
というわけでこんな形に。これでカンベンしてください。
あ、そうそう。余談ですが、今日最後のアーケードオンラインプレイをしてきました。
本当は迷っていたのですが、とあるお方からの後押しで。やっぱり行って良かったですよ。
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2010・08・31TUE
飛神宮子
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