ここはある日の事務所倉庫… |
小鳥 | 「…本当にみんな忙しいのかしら…?」 |
律子 | 「…さあ、小鳥さんの人望が無いんじゃないですか?」 |
小鳥 | 「…律子さん、何気に酷いこと言ってるしい…」 |
やよい | 「でもでも、本当に少ないです…」 |
律子 | 「よりによって私たち以外が来ないってどういうことなのよ」 |
そこには小鳥と律子とやよいがいた。 |
律子 | 「小鳥さん、どんなメールを出したんですか?」 |
小鳥 | 「え?倉庫整理をするので暇がある人は来てくださいって、送った文面はみんな一緒よ」 |
律子 | 「それじゃあみんな嫌がってくるわけないじゃないですかー!」 |
小鳥 | 「それならどうして律子さんとやよいちゃんは来たの?」 |
律子 | 「私はほら、事務員としての仕事でもありますし…」 |
やよい | 「私は掃除とか大好きですからっ!」 |
律子 | 「他の人が来るとは…確かに思えないわね」 |
小鳥 | 「うちの事務所ではこのトップアイドルの二人が一番…」 |
ぎゅうっ |
小鳥は律子とやよいをまとめて抱きしめた。 |
小鳥 | 「良い子なのよね…」 |
やよい | 「こ、小鳥さん…」 |
律子 | 「も、もう…ほら、やりましょ小鳥さん」 |
小鳥 | 「そうね…あ、そうそうやよいちゃん」 |
やよい | 「何ですか?」 |
小鳥 | 「もしお金が落ちてたら、小銭は貰っちゃっていいから」 |
やよい | 「ええっ!本当ですかっ!?」 |
小鳥 | 「何かプロデューサーさんが結構ポケットから落としてたりしてるらしいの」 |
やよい | 「分かりましたっ!」 |
律子 | 「小鳥さん、本当にいいんですか?」 |
小鳥 | 「プロデューサーさんの許可は取り付けてるわ。今日、倉庫整理に参加出来ないからって」 |
律子 | 「それじゃあ…あそこのザルに落ちてたのは全部入れますか」 |
小鳥 | 「そうね、じゃあ二人とも倉庫整理を始めて」 |
……… |
律子 | 「ところでどうして今日急に倉庫整理することになったんです?」 |
小鳥 | 「明日新しい物が入るからって、プロデューサーさんはそれの打ち合わせなの」 |
律子 | 「なるほど…あ、もしかしてこの前言ってた新しいアレですか?」 |
小鳥 | 「それそれ。それを入れるスペースをあの部屋に作るのに、どうしてもここを整理しなくちゃって」 |
やよい | 「律子さん、そのアレって何ですか?」 |
律子 | 「新しいマシンよ。疲れを取るための機械ね」 |
やよい | 「えっと聞いたことがある気がします…何とかカプセルでしたっけ?」 |
律子 | 「それよ。みんなライブとかで特に夏は忙しくて疲れるって話だから、もう入れちゃおうって話になったの」 |
やよい | 「うあー、凄いですー!」 |
小鳥 | 「これも律子さんややよいちゃん、そしてみんなが頑張った成果よ」 |
律子 | 「フフフ、ありがとうございます」 |
やよい | 「えへへー」 |
小鳥 | 「でも本当よ。みんな頑張ってくれたおかげでこの事務所もこんなに大きくなったわけだもの」 |
律子 | 「んー、でも亜美らへんがいたずらしないか心配なのよねえ…」 |
小鳥 | 「確かに使う時は誰かと一緒に使ってもらわないとね」 |
やよい | 「あっ、50円見つけましたー」 |
律子 | 「やよい、後であのザルのも全部持って行っていいわよ」 |
やよい | 「え?いいんですか?」 |
律子 | 「今日のお礼でしょ?」 |
やよい | 「わーい、ありがとうございますー」 |
小鳥 | 「でももうこれくらいでいいわ。あとはその台車でこの部屋に荷物を入れるだけよ」 |
やよい | 「じゃあ一気にやっちゃいましょー!」 |
律子 | 「そうね、行きましょうか」 |
……… |
シャーーーーーーー |
律子 | 「ふう…しっかし詰め込むだけ詰め込んで、整理してなかったから大変でしたね」 |
小鳥 | 「そうね…これからは入れるたびに整理しなくちゃ」 |
やよい | 「でもでも昔の物とか見られてとっても楽しかったです」 |
三人は倉庫整理で汚れた身体を綺麗にするためにシャワー室でシャワーを浴びていた。 |
律子 | 「そうね、まさかあのサードシングルの時の着ぐるみが残ってたなんて…」 |
小鳥 | 「あれは社長のお気に入りでとってあるの」 |
やよい | 「セカンドアルバムの時のボードもありましたね」 |
律子 | 「亜美と真美が落書きしちゃってどうしようかって思ったアレね」 |
小鳥 | 「大体の物はちゃんとあの倉庫にあるのよね。歴史を残すのも大事だもの」 |
律子 | 「そうですね…」 |
やよい | 「でも昔の物があるって何か恥ずかしい感じもしちゃいます」 |
小鳥 | 「それでも大事な宝物…いえ、宝石箱ね。はい、タオルはこれを使って律子さん、やよいちゃん」 |
律子 | 「ありがとうございます…えっとメガネは…あったっと」 |
やよい | 「ありがとうございます、小鳥さん…んしょんしょっ…」 |
小鳥 | 「ふう…それじゃあ手伝ってくれた二人には…アレをあげるわね」 |
やよい | 「アレって何ですかー?」 |
小鳥 | 「冷蔵庫で冷やしてある物よ、昨日プロデューサーさんと行ってきたの」 |
律子 | 「昨日?どうりで昨日は私を留守番にしていなかったんですね」 |
小鳥 | 「あう…律子さんの目が冷たい…」 |
律子 | 「なーんて冗談ですよ冗談。それでどこに行って来たんですか?」 |
小鳥 | 「それはね…」 |
……… |
ここは戻って事務室… |
やよい | 「ぱくっ…んーっ!あまーいですっ!」 |
律子 | 「あむっ…瑞々しくて美味しいわね」 |
小鳥 | 「かぷっ…昨日おススメされた物なの。あ…やよいちゃん、皮はこっちに入れて」 |
やよい | 「はーい」 |
律子 | 「でもいいんですか?こんなに良さそうなブドウなのに」 |
小鳥 | 「いいの。本当はプロデューサーさんと夜にゆっくり食べようと思ってたのだけど」 |
やよい | 「うー律子さん、何か急に暑くなりましたね」 |
律子 | 「本当ねやよい。あー、節電で冷房効いてないのかしら」 |
小鳥 | 「律子さんだけだと思ったら、やよいちゃんまでそういうこと言う子になったなんて…」 |
律子 | 「普通に感じたことを言ったまでよね、やよい」 |
やよい | 「そうですよ、律子さん。でもこのブドウ、本当に美味しくて弟達に持って帰りたいくらいですっ」 |
小鳥 | 「まだ家にあるから、これ一房ずつくらいなら持って帰っていいわよ」 |
やよい | 「ええっ!いいんですか?」 |
小鳥 | 「今日のお礼だから、ずいぶんと働かせちゃったもの」 |
律子 | 「ありがとうございます」 |
やよい | 「弟達も喜ぶと思います。普段だとあんまりおやつも無いですから」 |
小鳥 | 「やよいちゃん家は、やっぱりそうなのね…うう…」 |
やよい | 「あ、でもでもたまーに近所の人とか商店街の人から貰ったりするのを食べてるから大丈夫ですー」 |
律子 | 「やよいも自分を抑えないでもっとちゃんと食べてね、ただでさえ成長期なんだから」 |
やよい | 「はーい」 |
小鳥 | 「フフフ、本当に仲が良いわね」 |
律子・やよい | 『…はいっ!』 |
二人は顔を見合わせて、そして小鳥に向けた満面の笑顔で返事をした… |