Candid Duetting(自然な二重唱)

やよい「うわー、こんなのって初めてですー!」
律子「いつもライブしてるじゃない、やよい」
やよい「でもでも、何だか不思議な雰囲気です」
「たまにはこういう所もいいな」
律子「んー…まあそうね。こんな機会なかなか無いもの」
さて、ここはどこなのだろうか?
………
ここはとある日の事務所。
やよい「え?今日の収録は無いんですか?」
「ああ、このニュースを見てくれれば分かると思う」
ニュースでは雪で陸路・空路がストップのニュースが飛び交っている。
律子「もしかして…」
「ああ。律子の思った通りだ。それで番組の司会が来れなくなったらしい」
やよい「それじゃあ今日はどうするんですか?」
「そうなんだよな、今日はどうする?」
律子「んーそうね…今からレッスン場とかはとれないかしら?」
「どうだろうな、ちょっと電話して聞いてみるさ」
 
「んー、ちょっとダメみたいだな」
やよい「ダメですか?」
「こういう機会だからって休みだったり、他のところが押さえてたりな」
律子「それはしょうがないわね…」
「それじゃあ、ここの使うか?」
律子「ここの…って今日の午後は作業停電でしょ?」
「あ、そっか…そうだったな」
やよい「あの、プロデューサー」
「どうした?やよい」
やよい「今日はレッスンはできないんですか?」
「ああ…こういう時に来させてスマンな」
やよい「それなら、一度行ってみたいところがあるんです」
「ん?どこだ?」
やよい「それはですね…」
………
「しかし初めてだったか、やよいは」
やよい「今まで親とも友達とも来たことが無かったんです」
律子「765プロのみんなでも行ってなかったわよね」
「あー、そっか…まあしょうがないのかな、それは」
律子「それでプロデューサーは何か歌って欲しい曲はある?」
「そうだな…今度のライブの曲決めも兼ねたいし、一通りってダメか?」
律子「私はいいけど…やよいは?」
やよい「何でもいいから、早く歌ってみたいですー!」
律子「いいみたいね。でもそんなに入ってるのかしら?」
「確かこの機械なら一通り入ってるはずだぞ」
律子「へえ…最近は来てなかったから知らなかったわ」
やよい「えっと…律子さんは、何を歌いますか?」
律子「うーん…まずは声慣らしにこの曲かな」
やよい「それじゃあ私はこの曲にしますっ」
「俺も歌っていいよな?」
律子「もちろんよ…これは経費だけど昼ご飯代がプロデューサー持ちなんだから」
やよい「プロデューサーの歌声、聴くの初めてかもですー」
律子「確かにそうね、聴く時の歌声とかはマスターテープだし」
「ま、まずは二人の歌声を聴かせてよ」
律子・やよい「「はいっ」」
 
やよい「プロデューサー、凄いですー!」
律子「…何気に上手いじゃない、だてにプロデューサーじゃないわね」
「これでも多少は音楽の心得はあるんだよ」
やよい「でも本当に綺麗な歌声だったです」
律子「そうね。千早までとは言えないけど、雪歩にも引けを取らないわ」
「そこまで言われると照れるな」
律子「それでまだ歌った方がいい?」
「そうだな、あとこの4曲だけ歌ってくれない?」
律子「分かったわ。やよいはどれを歌いたい?」
やよい「うーん、この曲とこの曲にします」
律子「それじゃあ私がこっちの曲ね」
 
「よし、こんなもんかな。参考になったよ、ありがとう」
やよい「どんな感じになりましたか〜?」
「ん?こんな感じになったぞ。3時間だからな」
律子「なるほど…考えたわねこの配曲は」
「ああ。盛り上げどころはしっかり盛り上げて、しっとりなところはしっとりとな」
やよい「うわー、私がこの曲ですかぁ?」
「何だ、ダメか?」
やよい「ううー、ちょっと苦手かもしれないです」
律子「大丈夫。やよいなら出来るわよ」
やよい「律子さんがそう言うのなら、頑張ってみます」
律子「よしよしっと…あ、この2曲はやっぱり2人なのね」
「ああ。この2曲はどうしてもな」
やよい「でもでも、この2曲は大好きですっ」
律子「私もよ。だって私たちの曲だもの」
やよい「はいっ!」
「でもきっかけだったな…そういえば」
律子「えっ!?」
「やよいと律子を組ませようと思ったことだよ」
やよい「そうだったんですか?」
「二人がお互いの曲を歌ったのを聞いた時に、この二人ならいけると思ったんだ」
律子「ふーん、そういうのがきっかけだったのね」
「二人とも音色に凄く合ってたんだよ」
やよい「そう言われるとちょっと恥ずかしいかもです」
律子「でも悪い気はしないわ」
「あの…いいか?」
律子「分かってるわよ。やよい、いいわよね?」
やよい「え?何ですか?律子さん」
律子「もう一回この2曲歌うわよ、こんどはデュエットで」
やよい「もう一回…はいっ」
律子「いつものステージみたいにしようかしら?」
やよい「ついでに踊りも付けちゃいませんか?」
律子「うーん、大丈夫かしら…」
「踊りはちょっとなあ…歌だけにしてくれないか?」
やよい「分かりましたー」
律子「じゃあ入れるわね、えっと…これとこれね」
やよい「うっうー!やっぱりこの曲は2人が一番ですっ!」
2人の歌声の絡まりはまだ続くことだろう…
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あとがき
飛神宮子です。
私がこの2人を組み合わせてよく使う理由は、まさにこれだったんです。
やよいの「魔法をかけて!(ゲーム時)」を聞いた時のやよいの歌声に惚れ込んだのです。
もちろん逆もですよ、はい。
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2009・03・28SAT
飛神宮子
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