Dress-up Girl(着せ替え乙女)

年末も押し迫ったここは事務所…
律子「あー、もうっ!今頃こんなの出さないでよ!」
「スマンっ!忘れてたんだ!」
何やら言いあっているプロデューサーと律子。
律子「今度やったら、社長に言って下げてもらいますからね」
「あの…それ社長関係の交通費なんだけど…」
律子「…マジですか?」
「本当だ」
律子「はあ…もう、社長の方も下げてもらおうかしら…」
「おいおい、律子も落ち着いてくれよな」
律子「分かりました、何とかしときますからプロデューサーは仕事行ってきてください」
「分かった。頼んだよ、律子」
その場を逃げるように去っていくプロデューサー。
律子「まったくねえ、こんな前の領収書今頃出して…」
律子は頭を抱えているようだ。
律子「処理するのは誰だと思ってるのよもう」
と、そこに…
貴音「おはようございます。どうされたのですか?律子殿」
律子「おはよう貴音。あのプロデューサーが、また今頃領収書出してきたのよ…って貴音に言っても仕方ないわね」
貴音「そうですか…」
律子「でも1枚だったから良かったわよ」
貴音「わたくしにはよく分からない世界の話です。それにしてもなぜ律子殿が?」
律子「ああそっか、貴音はさすがに知らないわよね。私はもともと事務員だったの」
貴音「そうなのですか?」
律子「頭数合わせでアイドルの方にも入れられたのよ。だから今も小鳥さんだけだと大変だから」
貴音「なるほど…」
律子「まあ私としてはこっちも息抜きになっていいんだけどね」
貴音「それでそのプロデューサーはどちらへ行かれたのですか?」
律子「ああ、さっきこれを置いて仕事に行ったわよ。何か用事があった?」
貴音「いえ、野暮な用事ですので後でメールでもいたします」
律子「そう、ならいいわ。でも今はどうするの?」
貴音「そうですね…どうしましょう?時間はありますが、特に今は何もすることも…」
律子「そうね…あ、それなら…………………どうかしら?」
貴音「しかし、律子殿はお仕事がありましょう?」
律子「いいのよ、もう粗方片付いてたから。これだけやれば終わりよ」
貴音「それならば、お言葉に甘えさせていただきます」
………
とある部屋に来た二人。
貴音「相変わらず…壮観な風景です」
律子「え?でも961プロの方にはもっと無かった?」
貴音「実のところ衣裳部屋に関しましては見ることはありませんでしたので」
衣裳部屋である。
律子「確かにあれだけの事務所だと、そういうところはあるかもしれないわね」
貴音「なので、実際にこうやって並んでいるところを見るのはやはり…」
律子「今までの私たちのに加えて貴音と響の分も入ったから容量もギリギリなのよ」
貴音「そうだったのですか」
律子「貴音たちの分はまだまだビニールに入ったのが多いわね」
貴音「確かにこちらに来てまだ短いですので」
律子「特にうちの昔のは今使ってないから殆ど着てないでしょ?だからそれも一応着慣らしておくってこと」
貴音「そんなことを行なってもよろしいのでしょうか?」
律子「いいの。一応測った通りに作っているからサイズは合っているはずだけど、もし合わなかったら困るでしょ?」
貴音「そう…なりますね、では残りも一通り試してみましょうか」
律子「ええ。まずはどの衣装がいいかしら」
貴音「それならば、そのトレーニングウェアでしたかをいただけますか?」
律子「…いきなり凄いのから選んだわね…こっちが響のだから、これね」
貴音「ありがとうございます。では…」
いきなり服を脱ぎ出そうとした貴音。
律子「ちょっと待てーい!」
貴音「な、何かありましたか?律子殿」
律子「ドアが開けっぱなしなのよ。ちょっと閉めて来るから待ってなさい」
貴音「わたくしとしたことが、不覚でした…」
バタンッ ガチャッ
律子「一応急に入ってこれないようにカギは掛けたし、これでいいわね」
貴音「大丈夫なのでしょうか?鍵が無いと入って来れないのでは?」
律子「急に出す時に困るからプロデューサーには持たせてあるの」
貴音「それならば、気兼ねなく…」
今度こそ着替え始めた貴音。それを見つつ何やら思案している律子であった。
律子「貴音って、961プロの頃はどういう戦略で売り出してたのかしら?」
貴音「わたくしですか?わたくしは、どちらかと言えばあずさ殿と同様な売り出され方でしたか」
律子「あずささんと同じ…なるほど。でも、どちらかと言えば胸よりも…」
貴音「はい…それは自覚しております」
律子「たぶんプロデューサーも同じ考えだとは思うけど」
貴音「そうでしょう。衣装もそのようなものが多い気はしていますので」
律子「あのセクハラプロデューサー…今度一度ガツンと言ってやらないとダメかしら」
貴音「しかしながら律子殿もかなり女性らしい身体の線ですね」
律子「元々は事務員だったから、そんなに身体のことを気にしていたわけでも無かったし」
貴音「それでもその身体つきは素晴らしいです」
律子「そうかしら?まあ今となってはアイドルとして武器にはなってるけど」
貴音「そういえば、ここの衣装はどなたが考えられたのでしょう?」
律子「全部社長とプロデューサーと、あとは小鳥さんだったかしらね」
貴音「そうなのですか…」
律子「でも、貴音がそれを着ると本当に…」
貴音「何をおっしゃりたいかは分かります。これだけ身体の線が出てくる衣装ですから」
律子「特に下の方がね。これはあずささんよりも凄いわ」
貴音「そうでしょうか?」
律子「ええ。でも伸びると悪いからもう脱いだ方がいいかも」
貴音「それもそうですね。では次はどれにしましょう?」
律子「そうね、CSとCFとCGは一つずつ着てもらった方がいいかしら」
貴音「では一着ずつわたくしの物をいただけますか?」
律子「了解…ちょっと待ってて」
 
一通り着慣らし終わり…
律子「どうだったかしら?一通り着てみて」
貴音「なかなか個性的な物が様々に揃ってますね」
律子「社長が何かと作りたがりだから、うちの事務所は」
貴音「なるほど。しかし、律子殿まで着なくても良かったのでは?」
実は途中からなぜか衣装を着ていた律子。
律子「実はまだけっこう着たこと無いのもあったし、ちょうど良い機会でしょ?」
貴音「でもどれもよくお似合いでしたよ」
律子「そ、そうかしら…?でもそう言う貴音の方も似合ってたわよ」
貴音「ありがとうございます。では、そろそろ出ましょうか」
律子「そうね、全部仕舞ったから出るとしますか」
朝との律子の気の変わりように、プロデューサーは驚いたとかいうのはまた別の話である…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
ども、飛神宮子です。
同時公開2本目。こちらは一転して貴音と律子という組み合わせ。
貴音と律子の引き合わせ方がなかなかの難易度でした。
何だかどっちのSSもそっち系のネタになってしまいましたね、反省。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2009・12・14MON
飛神宮子
短編小説に戻る