5月のある日… |
真美 | 「え、茄子お姉ちゃんって20歳なの?」 |
茄子 | 「そうですよ、真美ちゃん」 |
真美 | 「二十歳にはとっても見えないよー。もっと若いかなって思ってた」 |
茄子 | 「ふふふ、ありがとうございます」 |
真美 | 「でも何だか落ち着いてて、うーん…真美の事務所にはいない感じのお姉ちゃんって感じ」 |
茄子 | 「そうですか?」 |
真美 | 「うん。でも今日は晴れて良かったね。昨日まで明日は雨とか言ってたのに」 |
茄子 | 「これもきっと真美ちゃんの日頃の行いが良かったからですわ」 |
真美 | 「そっかなあ、真美そんな良い子じゃない気がするけど」 |
茄子 | 「でもわたくしには真美ちゃんが良い子に見えますよ」 |
真美 | 「えへへ、ありがと。それで今はどこに向かってるの?」 |
茄子 | 「今ですか?これからお昼ご飯をと思ってます」 |
真美 | 「ここは…出雲だよね」 |
茄子 | 「はい。出雲といえば召し上がって頂きたいものがありまして…」 |
真美 | 「うーん、何だろ?」 |
茄子 | 「真美ちゃんは何が趣味でしょうか?」 |
真美 | 「え?真美の趣味はメールとゲームだよん」 |
茄子 | 「ゲームなら…何かやったことがあるのではないですか?」 |
真美 | 「ゲーム…うーん、出雲だよね…」 |
茄子 | 「ヒントは…目的地ですよ」 |
真美 | 「目的地…ああっ!桃○郎電鉄だ!」 |
茄子 | 「それで出雲といえば…何でしょう?」 |
真美 | 「出雲…出雲の物件…もしかして出雲そば?」 |
茄子 | 「もうすぐそのお店に着きますからね」 |
真美 | 「そうなんだー。でも茄子お姉ちゃんもゲームってやるんだ」 |
茄子 | 「たまにですよ、でも…」 |
真美 | 「でも?」 |
茄子 | 「わたくし、周りからも運がとても良いと言われていまして…」 |
真美 | 「あー…もしかして」 |
茄子 | 「はい。運だけで勝ってしまう場合が多くて…そういうことですわ」 |
真美 | 「運がいっぱい関係するゲームはそうなっちゃうかも」 |
茄子 | 「だから本当にたまになんですよ」 |
真美 | 「そっかー。でも一度一緒にやってみたいな」 |
茄子 | 「フフフ、それはまた今度ですわ」 |
真美 | 「そだねー」 |
茄子 | 「あ、着きましたよ」 |
真美 | 「ここ?」 |
茄子 | 「はい」 |
真美 | 「普通の家っぽいね」 |
茄子 | 「ここは隠れ家みたいなお店なんです。私が小さい頃からあるお店なんですよ」 |
真美 | 「じゃあさっそく入ろー」 |
茄子 | 「そうですね、真美ちゃん」 |
ガラガラガラガラ |
店主 | 「いらっしゃい…おお!茄子ちゃんじゃないかい」 |
茄子 | 「お久しぶりです、お元気でしたか?」 |
店主 | 「いやあ最近はいまいちだったけど、茄子ちゃんの顔を見ただけで何だか元気が出てきたよ」 |
茄子 | 「またまた、お上手なんですから」 |
店主 | 「いや、本当だよ。それで今日はどうしたんだい?」 |
茄子 | 「今日は久しぶりに里帰りしたので、こちらでおそばを頂こうかと思って」 |
店主 | 「そうかい…おお、そっちの子もよく見たらテレビで見たことがあるねえ」 |
真美 | 「あ、真美は双海真美です」 |
店主 | 「双海真美ちゃんかい、よう来たねえ」 |
茄子 | 「それでこの時期だと…何がいいですか?」 |
店主 | 「そうだねえ………」 |
……… |
そしてここは茄子の実家… |
真美 | 「何だか今日は行く先々で幸運だった気がするよ」 |
茄子 | 「そうですか?」 |
真美 | 「やっぱり何だろ、茄子お姉ちゃんの幸運力かな?凄かった」 |
茄子 | 「でも真美ちゃんの日頃の行いが良かったからかもしれません」 |
二人はもう隣り合わせにしていた布団の中である。 |
真美 | 「テレビスタッフの人も驚いてたよね。だって今日だって本当は雨だったんでしょ?」 |
茄子 | 「一昨日の予報ではそうだったみたいですね」 |
真美 | 「それが今日はもう雲一つなく晴れてるんだもん」 |
茄子 | 「真美ちゃん…」 |
真美 | 「え、えっと…茄子お姉ちゃん?」 |
何時になく真剣な眼差しを真美に向けた茄子。 |
茄子 | 「わたくしの事、真美ちゃんはどう思います?」 |
真美 | 「えっ、どうって…」 |
茄子 | 「正直な感想で良いので答えて欲しいんです」 |
真美 | 「う、うーん…物凄く運の引きが強いお姉さん…かな?」 |
茄子 | 「そうなの…でももし真美ちゃんがこういう感じだったら…自分でどうでしょう?」 |
真美 | 「え?真美が…」 |
そこで言葉に詰まる真美。 |
茄子 | 「真美ちゃん、ちょっといいでしょうか?」 |
真美 | 「へ?か、茄子お姉ちゃんっ!?」 |
茄子は自らが寝ていた布団から真美の布団へと移動した。そして… |
茄子 | 「ちょっとだけ…ね」 |
ぎゅうっ |
茄子は真美の身体に抱き付いた。 |
真美 | 「茄子お姉っ…ちゃん…」 |
その茄子からは昼のような感じが見られなかった。真美の心の中でさっき思ったことが確信へと変わっていった。 |
真美 | 「茄子お姉ちゃん…」 |
ぎゅっ |
真美もその茄子の身体を抱きしめ返した。 |
茄子 | 「こんなこと他の人に話すつもりはなかったんです…。何だかでも今日は…真美ちゃんになら、いいかなって…」 |
真美 | 「真美だって自分がそうだったら怖いなって思うもん。でも茄子お姉ちゃんはずっとそれを背負ってるんだよね…」 |
茄子 | 「わたくしにこんな幸運が来るということは、裏返しの人もいるということもつい考えてしまって…」 |
真美 | 「………」 |
茄子 | 「わたくしだけにこんな運があるくらいなら…こんなのいらないって思ったことも数知れません…」 |
真美 | 「………茄子お姉ちゃん、それは少し間違ってるよ?」 |
真美はその雰囲気に少し考えてから口を開いた。 |
茄子 | 「えっ…?」 |
真美 | 「今の茄子お姉ちゃんは、その幸運をみんなに分けてあげられる人になったんだよ」 |
茄子 | 「分けて…?」 |
真美 | 「だって茄子お姉ちゃんはアイドル…なんだから」 |
茄子 | 「わたくしは…アイドル…」 |
真美 | 「アイドルになったのは幸運だったからかもだけど、それはこの幸運をみんなに分けてあげたかったからって思えばいいんじゃないかな」 |
茄子 | 「それがわたくしの…何か忘れていた気がします。そう思うだけで良かったんですよね…」 |
真美 | 「だから…」 |
ぎゅっ |
真美は抱きしめていた腕をさらに強めた。 |
真美 | 「お姉ちゃんに言うのは変かもだけど、その幸運を怖がってほしくないなって」 |
茄子 | 「真美ちゃん…ありがとう…何だかホッとしました…」 |
ぎゅうっ |
茄子も抱きしめ返す腕をさらに強めていったという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Mami FUTAMI.