Cozy Snow(温かな雪)

小鳥「雪…ですね」
「そうですね…小鳥さん」
………
とある日の夕刻のこと…
「小鳥さん、今日飲みに行きません?」
残務処理も終えたプロデューサーが小鳥の元へとやってきた。
小鳥「どうしたんです?そんな急に誘うなんて」
「今日は久々に仕事も少ないですし、いいかなって」
小鳥「そうですねえ…たまにはいいですね」
「食べるのは何にします?」
小鳥「んー…今の時期だと、まだ鍋が恋しいです」
「えっと、ここ最近だと…鱈鍋は食べたし、湯豆腐、水炊き、石狩鍋、キムチ鍋、豆乳鍋…」
小鳥「結構行きましたね…懐、大丈夫ですか?」
二人は年も近い所為か色々と飲みあっているわけで…
「何とか…ギリギリですけどね」
小鳥「フフフ、たまにはお姉さんを頼ってください」
「は…はい。でも、どうしますか?」
小鳥「そうですね…あ、おでんはどうです?」
「あ、確かにコンビニで見掛ける割には、最近食べてないですね」
小鳥「よし、決まりです。良い店知ってますからそこにしましょう」
「はい。小鳥さんはあとどれくらいで終わりそうですか?」
小鳥「あ、もう終わりましたよ。今から着替えて来るんで待っててください」
「分かりました。それじゃあ下で待ってるんで鍵をお願いします」
小鳥「了解です、ちょっと行ってきますね」
………
小鳥「お待たせしました、プロデューサーさん」
「いえいえ、誘ったのはこっちなんですから」
小鳥「それでは行きましょうか…今日は何時までなら大丈夫です?」
「小鳥さんこそ、何時までです?」
小鳥「えっと…プロデューサーさんが望むままで…」
「俺だって小鳥さんが望む時間まで一緒でも…」
小鳥「…明日はお仕事は無いんですか?」
「明日土曜日は…プラハも秋のま〜ちもオフ…ですよ」
小鳥「両方ですか?」
「はい、日曜日の朝一にま〜ちの中継と午後にプラハの営業がありますけどね」
小鳥「と言うことは、明日までは…その…」
「小鳥さんが良いと言うなら…俺は構いませんが…」
小鳥「それならまずは、おでんでも食べながら作戦会議にしません?」
「そうですね、こんな所で立ち話ってわけにもいきませんし」
と、二人はお店へと歩き始めた。
………
小鳥「ここのおでんが絶品なんですよ」
「へえ…こんな裏通りにこんなお店があったなんて…」
ここは小鳥の住む家の近く。
小鳥「まずは入りましょ、食べてもらった方がいいですから」
「それもそうですね、入りましょうか」
ガラガラガラ
大将「いらっしゃい、小鳥ちゃん」
小鳥「こんばんは、まだやってます?」
大将「おうよ、ん?お連れさんがいるんかい?」
小鳥「はい、会社の同僚です。ほら、あの時話した」
大将「ああ、あの時のね」
小鳥「えっと…ここにしましょ」
「そうですね、小鳥さん」
大将「おっし…じゃ、何にする?」
小鳥「日本酒と…あとは適当に見繕ってもらえます?」
大将「酒はお燗かい?それとも冷やにしとく?」
小鳥「寒いんで燗でお願いします、いいですよね?」
「うん、俺もそれで構わないですよ」
大将「あいよ、そいじゃああとは適当に見繕っとくよ」
 
「んぐっ…このさえずり、美味しいですね」
小鳥「そうでしょ、このちくわぶも美味しいですよ」
「でも、いいですね。こういう場所のお店って狭くても雰囲気が良くって」
小鳥「そうですよね、ずっとプロデューサーさんにだけは教えようかと思ってたんですけど機会が無くて…」
「まあでもここに来るには、家からだと遠回りになっちゃうからなあ」
小鳥「確かにプロデューサーさんの家とは反対方向ですものね」
「あ、そうだ。今日これからと明日はどうします?」
小鳥「そうですねえ…今日はもう遅いですし…」
「今日…小鳥さんの所に泊まってもいいんですか?」
小鳥「構わないです、蒲団ももう一組ありますから」
「…一組でもいいですけど…」
小鳥「プロデューサーさん…エッチ…」
酒も手伝ってか、二人の頬は紅く染まっていた。
「それじゃあ今日は泊まるとして…明日はどうします?」
小鳥「んー…あまり遠くだと急な営業とかが入ると困りますよね?」
「まあそう簡単に入らないとは思いますけどね、でも入らないとも限らないですから」
小鳥「だったらスパにしましょう。疲れ溜まってません?」
「確かに…最近お互い忙しかったですからね」
小鳥「だから…あ、水着はどうしましょう?」
「そういう施設ならたぶん買えますよ。まあ途中でどこかに寄っていけばいいですし」
小鳥「それもそうですね、明日は少し遅めに出てゆっくりしましょうね」
「はい、小鳥さん」
………
大将「また来てなー!」
ガラガラガラガラ
お店を出た二人。
小鳥「んっ…冷たいっ…」
「え?あっ…」
空からは白い雪がちょうど降り始めていた。
小鳥「雪…ですね」
「そうですね…今日は冷え込むって言ってましたから…」
小鳥「寒いですし、早めに私の家に避難しちゃいましょう」
「それもそうですね、急ぎましょうか」
ぎゅっ
プロデューサーの右手には小鳥の右手へとしっかり握られていた。
小鳥「プ・プロデューサーさんっ!?」
「これで少しは温かいですよね?」
小鳥「…はい」
二人の握られた手は小鳥の家に着くまで放されることは無かったという…
………
律子「プロデューサー殿、昨日どこに居たんですか?」
「な、何だよ律子。そんないきなり…」
律子「見ましたよ、実は。小鳥さんと本っっ当に仲がいいんですね」
やよい「プロデューサー、気が付かなかったんですか?」
「やよいまで…ど・どういうこと!?」
律子「私たちをオフにしたついでに、スパへ疲れを取りに行って来いと言ったのはだ・れ・で・す・か?」
「……もしかしてあのスパに居たの?」
やよい「うぅ…仲が良さそうで、とても声なんて掛けられませんでしたあ…ごめんなさいです…」
「スマンっ!本当にスマンっ!」
律子「怒ってはないですからいいんですけど、おかげで私たちテンション下がってますんで」
やよい「プロデューサー、今度気付かなかったらメッですからね」
「分かったよ…本当に今回は二人ともゴメンな」
そんなプロデューサーを見て、律子はこうはなるまいと思ったとか思わなかったとか…
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あとがき
飛神宮子です。
小鳥さんSS第二弾です。
オチはやっぱりこうしたくなるのが私です。
これで2度目の閏日SSです。やっぱりこういう日は出さないと…ですね。
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2008・02・29FRI
飛神宮子
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