Consolatory Refection(癒しのおやつ)

ここはある日の765プロ事務所…
雪歩「んー…ここはこっちの言葉の方がいいかな…」
雪歩は何やらノートに書いているようだ。
「ん?何してるんだ?雪歩」
雪歩「え?ひゃあっ!?ひ、響ちゃん…」
「うわあっ!そ、そんなに驚かれるとこっちまでビックリだぞ」
雪歩「ゴメンね、私もいきなりだったからビックリしちゃって」
「いや、別にいいんだけどさ。何してたんだ?」
雪歩「次の本のための書き溜め…ってああっ!な、何でもないですぅ…」
「次の…ああ、雪歩は詩集出してるんだよな。いいなあ、自分にはそういう才能は無いさ」
雪歩「でも響ちゃんはアクティブで凄いです。それにスタイルだっていいですし、私なんか…うう…」
「自分と違って雪歩は身長とスタイルのバランスが取れてると思うぞ」
雪歩「えっ…?」
「しかも可愛くて守ってやりたくなる感じだし、真とか貴音が擦り寄ってくるのも何だか分かるさ」
雪歩「ひ、響ちゃんっ!」
「まあ自分に持っていないからって卑下だっけ?するのは雪歩の悪い癖だぞ」
雪歩「う…うん、そうだけどぉ…」
「まったく…あ、そうだ。プロデューサーはどこだ?」
雪歩「プロデューサー?確か…律子さんとやよいちゃんと買い出しに行ったよ」
「あー、やよいもかー。せっかく出来たて持ってきたのになー」
雪歩「響ちゃん、そのタッパーって何が入ってるの?」
「え?ああ、これが作ってきたサーターアンダギーさ」
雪歩「そうなんだあ」
「まあいないなら仕方ないさ。じゃあ雪歩、一緒に食べるか?」
雪歩「あれ?やよいちゃんに作ってきたんじゃ…?」
「んー、でもいいさ。出来立てで誰かに食べてもらいたいしなー」
雪歩「じゃあ私、お茶を淹れてお皿も持ってくるから響ちゃんはここで待ってて」
「あ、自分手伝うぞ。ついでにぴよ子とかにも渡してきたいしさ」
雪歩「うん。それなら一緒に給湯室に行こう」
………
小鳥や社長に配り終わって、さっきの場所へと戻ってきた二人。
パクっ
まずは響が一口。
「うん。今日のも上出来上出来」
あむっ
そして雪歩も一口。
雪歩「美味しい…ドーナツともちょっと違ってるんだ」
「そうさ。昔は向こうでよく食べてたぞ」
雪歩「これが響ちゃんにとっての懐かしの味?」
「そうだなあ…まだやっぱり自分の腕じゃ何か物足りない気がするけどさ」
雪歩「そうなんだ…」
「気候とかもあるんだろうけどさあ…故郷で作ってもらってた味とは違う感じがするんだ」
雪歩「お母さんの味って、自分だとなかなか出せないからかもね」
「分かる分かるぞ。同じように作ってるはずでも違うんだよなあ」
雪歩「そういえば響ちゃんって一人暮らしだっけ?」
「そうさ。前の事務所に入る時に…させられちゃったからそのままさ」
雪歩「あ…ゴメンね。何か辛いこと思い出させちゃったよね…?」
「そんな雪歩が謝ることないさ。でも前の事務所が良くも悪くも自分をここまでにしてくれたのは事実だからな」
雪歩「でも…」
「だって今の生活だって悪くは無いぞ。動物に囲まれてるだけで幸せだぞ」
雪歩「そっか、響ちゃんって動物いっぱい飼ってるんだよね」
「みんな可愛いし愛着があるぞ。特にいぬ美は2日に1回の散歩でトレーニングも出来るしな」
雪歩「い、犬っ!?」
「え?もしかして雪歩って犬が苦手か?」
雪歩「わ、私…犬だけは小さなチワワでもダメなんですぅ…」
「うわあ…それは重症だぞ。それだとうちの大型犬なんて見たら気絶だな」
雪歩「た、たぶんダメかなって思いますぅ…」
「他の動物は大丈夫か?」
雪歩「ちょっと分からないですけど…たぶん普通の動物なら大丈夫かなあ」
「ハムスターとかウサギとかもいるぞ」
雪歩「それくらいならたぶん…いいかも」
「ま、でもここに連れてくることはないし心配はしなくていいさ」
雪歩「そう…だよね」
「さて、じゃあ自分がお皿とか片付けてくるぞ」
雪歩「え、いいの?響ちゃんにやらせちゃって」
「いいぞ。雪歩は続きしてるといいさ」
雪歩「ああっ、そうだったぁ。うん、美味しかったよありがとう響ちゃん」
「どういたしましてっと、あとお茶はそのままでいいか」
雪歩「うん。まだ飲みながら続きを書こうかなって思ってるし」
「じゃあ皿だけ向こうに置いてくるなー」
響は皿を流しへと持って行った。
雪歩「何かでも…おやつ食べたら少し眠くなっちゃったかも…」
そう言いながら、少しずつ瞼が落ちてきた雪歩。
雪歩「ダメダメ…寝ちゃったら…くぅ…」
そのまま机に突っ伏してしまった。そこに…
「雪歩ー片付けてきた…あれ?寝ちゃってるさ」
雪歩「ぐぅ…すぅ…」
「どうしようかな、このままの体勢だと辛そうだしなー」
雪歩「すぅ…くぅ…」
「ま、そこのソファー空いてるしそっちに寝せてやるか…よいしょっと」
ひょいっ
響は雪歩の身体を上手く持ち上げた。
「あ、意外と軽いんだな雪歩って」
雪歩「くぅ…何だか温かい…すぅ…」
「起きては…ないのか」
ポフっ
そのまま近くのソファーへと雪歩を移した。
「それにしても…雪歩って凄い色白なんだなあ」
雪歩「すぅ…すぅ…」
「これは沖縄育ちの自分とは大違いだぞ…少し羨ましいな…」
つんつん
雪歩の頬を突っついてみた響。
雪歩「んんっ!…くぅ…」
「確かに…真や貴音が好きになる理由も分からなくはないなー。これだけ可愛いんだな」
雪歩「そんなに…食べられないですぅ…」
「プッ…夢の中でも何か食べてるのか?」
雪歩「響ちゃん…そんなに山盛りで出されても…くぅ…無理ですぅ…」
「さっきのサーターアンダギーかな?何だか少し照れちゃうぞ…」
雪歩「でも…美味しいで…すぅ…ぐぅ…」
「ま、起きるまでそっとしといてやるか。枕と毛布でも小鳥に聞いて持って来ようっと」
そんな優しい雰囲気に響も結局向かいのソファーで寝てしまい、二つの寝顔が後で小鳥にバッチリ撮られていたのは別の話である…
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
あとがき
どもっ、飛神宮子です。
同日4本の1本目。なぜ同日になったかと言いますと、地震の影響で11日以降の公開をしばらく見送ったためです。
1本目は真か貴音を通してくらいしか繋がりが無い二人。
これ、なかなかの難産でしたよ。でも面白い方向には仕上がったんじゃないかなと思います。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
2011・03・20SUN
飛神宮子
短編小説に戻る