ここはある日の事務所… |
ダダダダダ |
何やらダッシュでやってくる少女が一人。 |
真美 | 「うわあ!ど、どこに逃げればいいのっ!?」 |
その少女は何かから逃げているようだ。そこにもう一人女性が… |
真美 | 「あっ!お姫ちん!」 |
貴音 | 「真美、狭い事務所でそのように急ぐと怪我の元ですよ」 |
真美 | 「お、お姫ちんちょっと真美のこと匿って!」 |
貴音 | 「どうされたのですか?」 |
真美 | 「理由は後で話すからちょっとだけっ!」 |
バサッ |
貴音 | 「ま、真美!?」 |
真美はある場所へと隠れた。そこにやってきたのは… |
ダダダダダダ |
亜美 | 「あ!お姫ちん、真美見なかった?」 |
貴音 | 「真美ですか?こちらには来なかったように思いますが…」 |
亜美 | 「うー…すぐに見つけないと亜美だけが行かなくちゃだよ〜」 |
貴音 | 「どうされたのです?亜…美っ!」 |
貴音は真美に何かされたようで、思わず声を上げてしまった。 |
亜美 | 「どうしたの?お姫ちん」 |
貴音 | 「何でもありません。それでどうされたのです?」 |
亜美 | 「今日の仕事に亜美も真美も行きたくないって言ったら、兄ちゃんが力づくでもどっちか連れてくって言われたんだ」 |
貴音 | 「それで二人ともプロデューサー殿から逃げていると…」 |
亜美 | 「亜美はもう兄ちゃんに見つかっちゃってて、追いつかれたら絶対連れてかれちゃうか…」 |
ツンツン |
そんな亜美の肩に1本の指が… |
P | 「亜美、捕まえたぞ。じゃあ行こうか」 |
亜美 | 「ぎょええっ!に、兄ちゃん居たの!?」 |
ガシッ |
プロデューサーの腕が亜美の脇の下からガッチリと抑えに入っていた。 |
P | 「ああ、貴音ありがとうな。ここで追い付けて助かったよ」 |
貴音 | 「そんな…わたくしはここで亜美と話をしていただけですわ」 |
P | 「ところで真美の方は見なかった?」 |
貴音 | 「いえ、こちらでは特にお見受けしませんでしたが」 |
P | 「ありがとう。…まったく、仕事終わって戻ってきたら説教だな。じゃあ行くぞ亜美」 |
ひょいっ |
プロデューサーは小脇に亜美を抱えてそのまま行ってしまった。 |
亜美 | 「うあー!行きたくないよー!」 |
P | 「こらっ!暴れるな亜美!」 |
貴音は二人が行ったのを見送って… |
貴音 | 「真美、もう行きましたよ」 |
バサッ |
とある場所から出てきた真美。 |
真美 | 「お姫ちんありがとー」 |
貴音 | 「しかし、突然内腿の辺りを触られるとは…」 |
真美 | 「ゴメンね、暗くて何も見えなかったんだ」 |
どうやら貴音のスカートの中に隠れていたようだ。 |
真美 | 「でもお姫ちんのスカートの中、暖かかったよ」 |
貴音 | 「そうですか?自分ではよく分かりませんが」 |
真美 | 「何かお姫ちんの良い薫りだったなあ」 |
貴音 | 「そんな…人に嗅がれるような場所ではございませんよ」 |
真美 | 「お姫ちんって身体洗うのに何使ってるの?」 |
貴音 | 「わたくしがですか?○○の△△△ですよ真美」 |
真美 | 「聞いたこと無いなあ。でもその薫りだねきっと」 |
貴音 | 「それにしても本当に仕事は良いのですか?」 |
真美 | 「いいんだよ。だってどっちかが行けばいいんだもん」 |
貴音 | 「それにプロデューサー殿が怒っていらしてますが…」 |
真美 | 「大丈夫大丈夫、帰ってきたらヘトヘトできっと忘れてるよ」 |
貴音 | 「そうなのですか?」 |
真美 | 「運動会系のイベントだもん。プロデューサーとかマネージャーも参加させられるとか言ってたし」 |
貴音 | 「しかし真美は、そういうイベントは好きなのでは?」 |
真美 | 「だってこんな天気だよ。やりたくもないよー」 |
外は寒の戻りの冷たい雨が降り注いでいた。 |
貴音 | 「確かに今日は動くには寒いですね」 |
真美 | 「だからどっちかでもいいからって兄ちゃんが言ったから逃げちゃったんだ」 |
貴音 | 「それで真美はこれから戻ってこられるまでどうされるのですか?」 |
真美 | 「お姫ちんは暇なの?」 |
貴音 | 「わたくしはこれから自主練の表現力レッスンをするところですが」 |
真美 | 「それなら真美も一緒にしよっかなあ」 |
貴音 | 「真美もですか?わたくしは構いませんが」 |
真美 | 「じゃあ行こうよ。真美が見てあげるよ」 |
貴音 | 「そうですか…ではせっかくですからお願い致しましょう」 |
……… |
事務所にある表現力レッスンのレッスン場… |
貴音 | 「嬉しそうにですね」 |
笑顔になって楽しそうな貴音がいた。 |
真美 | 「うんうん、良い表情だよ。じゃあ次は怒った感じでよろー」 |
貴音 | 「もう…あなた様!」 |
真顔で目を吊り上げた貴音。 |
真美 | 「もうちっとかなあ」 |
貴音 | 「何をするのですか!卑怯者!」 |
片手を前に出して声を荒げた。 |
真美 | 「そうそうそんな感じそんな感じ。そんじゃね次は切なそうな感じねー」 |
貴音 | 「あなた様、いけずです…」 |
少し顔を落として悲しげな表情を見せた。 |
真美 | 「そういえばお姫ちん、さっきからみんな兄ちゃんのこと言ってるね」 |
貴音 | 「そ、それは…」 |
真美 | 「やっぱり兄ちゃんのこと想像した方が感じ出るの?」 |
貴音 | 「そう…ですね。恥ずかしいですがそうなってしまいます」 |
真美 | 「でも真美もそうかもなあ。兄ちゃんのことを想った方が感情が出ちゃうかも」 |
貴音 | 「あのお方は不思議です…近くに居ると癒され、落ち着くのを感じます」 |
真美 | 「だよね。真美も元気貰ったり笑顔にさせてくれるもん」 |
貴音 | 「はい…真美もなのですね」 |
真美 | 「うんっ。じゃあお姫ちんって兄ちゃんのことは好き?」 |
貴音 | 「好きか嫌いかで言えば…好きになりますか」 |
真美 | 「真美も兄ちゃんのことは大好きだよ。優しくって…温かいもん」 |
貴音 | 「薫りも雰囲気も心地よく、素敵なお方です」 |
真美 | 「だから頑張ろうって思えちゃうんだよね、きっと」 |
貴音 | 「そうかと思います…真美」 |
真美 | 「やっぱりお姫ちんって笑顔が素敵だね」 |
貴音 | 「そ、そうでしょうか?」 |
真美 | 「兄ちゃんのことを話していた今のお姫ちん、優しそうで素敵だったもん」 |
貴音 | 「フフフ…ありがとうございます、真美」 |
結局帰ってきたプロデューサーと亜美にこっぴどく怒られた真美は、そのあと貴音の所に行って優しく慰められていたらしい… |