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千早の携帯電話にメールの着信を告げる音が鳴り響いた。 |
千早 | 「誰からかしら…」 |
千早はそのメールを見た瞬間、事務所へと一目散に駆け出していった… |
……… |
そして事務所に入るなり… |
千早 | 「律子は居るかしら?」 |
律子 | 「どうしたの?千早」 |
千早 | 「良かった…その…」 |
律子 | 「…その表情は…来たのね?」 |
千早 | 「ええ…」 |
律子 | 「どれどれ?ヒントはどんな感じかしら」 |
千早 | 「それがなんだけど…」 |
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千早はヒントとなるメールを律子へと見せた。 |
律子 | 「そうねえ…最初のTXって何か引っかかるわね」 |
千早 | 「『ろっこう』というのはあの水のことかしら?」 |
律子 | 「それはないわね。漢字にしていないのが怪しいわ」 |
千早 | 「そのろっこうってどこだったかしら?」 |
律子 | 「それは兵庫よ。だけど、兵庫で梅はあまり聞いたことないわね」 |
千早 | 「そうね…関西で梅は和歌山かしら」 |
律子 | 「この梅は結構重要かもしれないわ。それにしてもこのTXはテレビ局じゃないわよね…」 |
千早 | 「TX?」 |
律子 | 「そうなの。関東にあるテレビ局の略称だけど、それだとヒントにならないわ」 |
千早 | 「そうね…」 |
やよい | 「あ、あのぉ…律子さん」 |
律子 | 「やよい、ごみ捨ておつかれさま。どうしたの?」 |
やよい | 「先週のま〜ちのイベントでTXって何か見た気がします」 |
律子 | 「え?そうだったかしら…」 |
やよい | 「あの秋葉原のイベントでチラッと通りかかりませんでしたか?」 |
律子 | 「それどこだか思い出せる?」 |
やよい | 「えっと…駅だったと思います」 |
律子 | 「駅…えっとJRでしょ、地下鉄でしょ…あっ!」 |
千早 | 「どうしたの?律子」 |
律子 | 「TXってつくばエクスプレスの入口ね」 |
やよい | 「たぶんそれだと思いますー」 |
律子 | 「えっと…つくば…茨城…水戸…梅!繋がったわ!」 |
千早 | 「律子、茨城で大丈夫なのかしら?」 |
律子 | 「ええ、これは間違いないと思うわ。それにしても『ろっこう』は何のことなのかしら…」 |
千早 | 「ちょっと音無さんの所へ行ってくるわ」 |
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小鳥のデスクへと移動した千早。 |
小鳥 | 「あら?千早ちゃん、どうしたの?」 |
千早 | 「音無さん…先ほどプロデューサーから来たメールの答えですが…」 |
小鳥 | 「プロデューサーさん?…今日なのね」 |
千早 | 「はい」 |
小鳥 | 「それで答えは?」 |
千早 | 「答えは茨城…で良いのでしょうか?」 |
小鳥 | 「………」 |
小鳥は無言になって… |
カチャカチャ ガチャンッ |
机の鍵が掛かっている引き出しを開けてそこから一枚の封筒を取り出した。 |
小鳥 | 「はい、千早ちゃん」 |
その封筒が千早へと渡された。 |
小鳥 | 「プロデューサーさん、待ってるわ。明日行ってらっしゃい」 |
千早 | 「…はい」 |
小鳥 | 「ちょっと待ってね」 |
PiPiPi♪… |
小鳥はとある場所へと電話をかけ始めた。 |
Trrrrrr…Trrrrrr… |
小鳥 | 「もしもし、765プロダクション事務の音無です……はい……では明日上野駅在来線改札口に10時15分でお願いします」 |
カチャンッ |
小鳥は受話器を戻した。 |
小鳥 | 「明日10時に上野駅に着くくらいで行くから、ちゃんと準備しておいてね」 |
千早 | 「持ち物はあの紙に書いてあった通りで良いのでしょうか?」 |
小鳥 | 「ええ。楽しんできて、千早ちゃん」 |
……… |
翌日の上野駅改札口… |
小鳥 | 「水木さんですね、私は765プロ事務の音無です」 |
水木聖來(聖來) | 「はいっ、956プロダクションの水木聖來です」 |
そこには茶髪の女性が一人、千早の到着を待っていた。 |
小鳥 | 「今日はうちの如月をよろしくお願いします」 |
千早 | 「よろしくお願いします、水木さん」 |
聖來 | 「そんな堅苦しくなくていいですよ、如月さん」 |
千早 | 「しかし、私の方が年下ですから」 |
聖來 | 「でも、アタシの方がこの世界短いから、アタシにとっては先輩も同然…ね」 |
千早 | 「それでは、私のことも千早でいいですから」 |
聖來 | 「そうだね、千早さん。アタシのことは聖來でいいからさ」 |
千早 | 「はい、分かりました聖來さん」 |
小鳥 | 「それでは水木さん、2日間よろしくお願いします。千早ちゃん、行ってらっしゃい」 |
千早 | 「行ってきます、音無さん」 |
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特急の車内、二人は隣同士に座っていた。その聖來の膝の上には… |
千早 | 「そういえば気になっていたのですが、そのケージの中は何ですか?」 |
聖來 | 「あ、これ?これは…」 |
きゃんっ |
中から鳴き声が聞こえた。 |
聖來 | 「うちのわんこ。寂しがるかなって思って思い切って連れてきちゃったんだ」 |
千早 | 「イヌですか…。私の事務所にも飼っている人がいますけど、小さいと…フフフ、可愛いですね」 |
聖來 | 「その子って、どんなイヌを飼っているのかな?」 |
千早 | 「確か結構大きなイヌで…散歩も大変だと聞きました」 |
聖來 | 「大型犬ってことかな、一度どんなのか見てみたいなっ」 |
千早 | 「たぶん再来週くらいにテレビで見てもらえるかなと思います」 |
聖來 | 「そうなの?」 |
千早 | 「はい。○○○○という番組に確か一緒に出ると聞きましたから」 |
聖來 | 「動物系の番組ってことかな?チェックしとこうっと」 |
千早 | 「そういえば、聖來さんの事務所はどのようなところですか?」 |
聖來 | 「アタシの事務所は、結構みんなクールっぽいかな。ちょっと一癖ある人も多いけど…」 |
千早 | 「個性的な方が多いってことですか?」 |
聖來 | 「うーん、そうなんだろうね。たまにツッコミ役みたいになっちゃってるんだ」 |
千早 | 「大変なんですね…」 |
聖來 | 「でもそれも楽しいんだ。アタシ、これからも楽しみだよっ」 |
千早 | 「私も応援してます。聖來さんが段々と良いお姉さんって感じに思えてきました」 |
聖來 | 「ふふっ、ありがと千早さん」 |
最初に出会った緊張が解けたのか、聖來の微笑みに千早も優しく落ち着いた笑顔を見せていたという… |
HAPPY BIRTHDAY!! Chihaya KISARAGI.