Other Side of the Coin(別の一面)

このSSはこちらにカレンダーと共に掲載された3行のセリフを拡張したものです。
なので、その画像と一緒にお楽しみください。
 
それは9月のある日のこと…
「お願いします!小鳥さん」
小鳥「むー…人手が無いならしょうがないですけど…」
「このお礼はいつか必ずしますから、本当にすみません」
小鳥「いいんです。律子さんや社長が居ても手が回らないなら私が出るしかないですし」
「本当にこんなに重なるなんて思いもしませんでしたよ」
小鳥「しょうがないわ、私も日程のチェックし忘れてたもの。それで誰の付き添いですか?」
「えっと…そうですね、雪歩の付き添いをお願いします」
小鳥「雪歩ちゃんの仕事って…これですか」
近くにあった書類に目を通す小鳥。
「はい、基本的にはそんなにやることは無いかと思います」
小鳥「行ったら私は何をすればいいんでしょう?」
「簡単な打ち合わせがあるんで、その内容を雪歩の方に伝えてください。あとは向こうで動いてくれますから」
小鳥「分かりました。それで明日は雪歩ちゃんはここに何時に来られる予定です?」
「今日連絡して確認を取りますけど、朝それなりに早い時間になると思います」
小鳥「んー…じゃあ明日は目覚ましセットしなくちゃか…」
「小鳥さんが帰るまでには伝えられると思いますから」
小鳥「はい、と言うことは…今日中に粗方の仕事を片付けないと」
「それなら手伝いますよ、今日は忙しくはないですから」
小鳥「いいんですか?」
「明日手伝ってもらうんですから、それもしてあげないとですよ」
小鳥「ありがとうございます」
「じゃ、その前にちょっとお茶入れてきます」
小鳥「私の分も頼める?」
「もちろんですよ。茶葉はまだありますよね?」
二人でやった仕事は思いのほか捗っていたという…
 
さて、翌朝の事務所…
雪歩「おはようございます、小鳥さん」
小鳥「おはよう、雪歩ちゃん」
雪歩「今日はプロデューサーが一緒じゃないんですよね…」
小鳥「プロデューサーさんも忙しいから仕方ないわ」
雪歩「でも、小鳥さんで良かったです」
小鳥「どうしてかしら?」
雪歩「律子さんも社長もちょっと苦手だから…」
小鳥「…そうなのね、分かったわ」
雪歩「今日はよろしくお願いします、小鳥さん」
小鳥「こちらこそよろしくね、雪歩ちゃん」
雪歩「それで、今日の現場はどこだか知ってますか?」
小鳥「…あ、そういえば場所しか聞いてないわ」
雪歩「じゃあ私がナビゲートしますね」
小鳥「そっか、雪歩ちゃんはもう何回も現場に行ってるものね」
雪歩「あ…ええと、何時入りになってますか?」
小鳥「今日は9時入りみたい、時間大丈夫かしら?」
雪歩「それならそろそろ行かないといけないかも」
小鳥「分かったわ、それじゃあ行きましょ。私の車は分かる?」
雪歩「はい、あのマークが入っている車ですよね?」
小鳥「そうよ、その前で待ってて。すぐに用意して行くから」
雪歩「分かりました、待ってますね」
 
さて、ここは雪歩がゲスト出演する特撮物の撮影現場。
小鳥「雪歩ちゃん、迫真の演技ね。さすがだわ」
本番前のリハーサルを撮影スタッフ達の後ろで見ている小鳥。
スタッフA『…一人足りてないって?どうするんだよ!?』
スタッフB『携帯にいくら電話しても連絡がつかなくって…』
スタッフA『セットは準備できているんだから減らせないんだ、何とかしろ!』
スタッフB『そんな…あの衣装が入るほどの人なんて、今からそんなの無理ですよ!』
スタッフA『その辺を探してでも連れて来い!出演者のマネージャーでも当たれ!』
スタッフB『わ、分かりました…』
何やら近くでスタッフが言い争っていた。
小鳥「いったい何かあったのかしら?」
そこに…
雪歩「あうう…小鳥さん見てたんですかあ…?」
リハーサルの休憩に入った雪歩が戻ってきた。
小鳥「ええ。いつもの雪歩ちゃんとは思えない程の迫真の演技だったわ」
雪歩「恥ずかしいですよお、穴掘って埋まりたいですぅ…」
小鳥「そんな恥ずかしがることないじゃない、新しい一面を見ちゃったって感じね」
雪歩「そんなあ…」
そこにもう一人、人影が…
スタッフB『…あの、すみません。貴女は萩原さんのマネージャーの方でしょうか?』
小鳥「はい、今日のところはそうなりますが」
スタッフB『あの、一つお願いしたいことがありまして………』
小鳥「ええっ!?わ、私がですかっ!?」
スタッフB『今用意している衣装が合いそうなのが、貴女しか居なくて…』
小鳥「ど、どど、どうして…ええーっ!?!?」
スタッフB『このままだと今日の撮影ができなくなってしまうので、どうかお願いします!』
小鳥「でも…」
雪歩「小鳥さん。小鳥さんの新しい一面、私も見てみたいなあ…」
雪歩の目には先ほどの言葉のお返しと言った物が籠められていた。
小鳥「雪歩ちゃんったら…(さっきの言葉、そのまま返されちゃったわね)」
雪歩「小鳥さん、私のためを思ってお願いします」
小鳥「分かったわ、しょうがないわねもう」
スタッフB『お願いできますか?』
小鳥「はい、でもセリフとかはありませんよね?」
スタッフB『二言ほどあるのですが…いいでしょうか?』
小鳥「…分かりました。」
スタッフB『ありがとうございます!それでは衣装とメイクをしますので、あちらへお願いします』
 
ボロボロになった765プロの制服に似た衣装で、十字架に磔にされている小鳥。
その両側にも幾つかの十字架が並んでいた。その中には雪歩が磔にされている物もある。
小鳥「こんなことして、どうするつもりなの?!」
怪人『はっはっは!そこで粋がっている貴様には、ここで生贄になってもらおうか!』
小鳥「くっ…そんなっ、そんな…」
雪歩「大丈夫、きっと来てくれるわ!だって私、約束したもの!」
怪人『ここは奴らも知ってるはずがない。来るはずが無いだろ!はっは…』
ドゴーンっ ドガーンっ
怪人『何っ!?まさかっ!』
…正義がそんな者に負けるはずもなく…
 
撮影も全て終わり…
スタッフB『今日は本当にありがとうございました、おかげで助かりました』
小鳥「いえいえ、どういたしまして。本当に恥ずかしかったですけど…」
スタッフB『あの声の出し方なんか、本職顔負けですよ』
小鳥「本当は何かと声を使わないといけない仕事をしてますので」
雪歩「小鳥さん、こんな小鳥さんを見られるなんて思いませんでした」
小鳥「雪歩ちゃんったらもう…」
スタッフB『萩原さんもとても良い演技、これは良い回になりそうですよ』
雪歩「そ、そうですか?ありがとうございます…」
スタッフB『今回はゲストでしたけど、レギュラーにしたいくらいでしたから』
雪歩「私なんかそんな器じゃないですよぉ…」
小鳥「そんなことないわよ。雪歩ちゃんなら大丈夫、もっと自信を持って」
雪歩「…はい」
スタッフB『それでは萩原さんが出られる場面の撮影は全て終了ですので、控室へどうぞ』
雪歩「はい。じゃあ戻っちゃいましょう」
小鳥「そうね、雪歩ちゃん。あ、今日のことは事務所の人には内緒ね」
雪歩「分かりました…小鳥さん」
もちろんその回放映後、765プロの関係者全員から小鳥さんへ連絡が来たのは言うまでもないことだった…
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あとがき
ども、飛神宮子です。
9月です。何だか今年は夏が微妙でしたね…あんまり暑く無かったですし。
さて画像から夢オチを想像した方、残念でした。
捻くれ者の私が、そんなオチを付けるわけ無いじゃないですかー(棒読み)
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2009・08・30SUN
飛神宮子
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