冬のとある日の事務所でのこと…
真美 | 「まこちん、まこちーん!」 |
真 | 「ん?まこちんって呼ぶのはあの二人だけだし…あ、真美か」 |
真美 | 「まこちんって今日はオフだよねー?」 |
真 | 「そうだけど…亜美達は今日ってオフだったっけ?」 |
真美 | 「そだよー、昨日の今日でキャンセルになっちゃったんだ」 |
真 | 「そっかあ、それでボクに何か用事があったんじゃない?」 |
真美 | 「うん。まこちん、宿題教えてー」 |
真 | 「ええっ!?ボ、ボクが!?」 |
真美 | 「だってみんな忙しくて相手してくれないんだもん」 |
真 | 「あー、確かにもう忙しい時期だからなあ…」 |
真美 | 「だからー、まこちんしか頼れないんだよー」 |
真 | 「うう…しょうがないか。ボクが教えられる範囲ならいいけど…」 |
真美 | 「ありがとー、やっぱりまこ兄ちゃんは頼りになるー」 |
真 | 「真美、今聞き捨てならない言葉を聞いた気がするんだけど…」 |
真美 | 「え?き、気のせいだと思うけど」 |
真 | 「何だか腑に落ちないけどまあいいか。あれ?そういえば亜美は?」 |
真美 | 「亜美は最近風邪気味だったから、今日はオフだからしっかり治したいんだって」 |
真 | 「そっか…確かに最近調子悪そうだったっけ。真美は大丈夫なの?」 |
真美 | 「うん、治ったばっかりだよ。真美がもしかしたら亜美に移しちゃったのかも」 |
真 | 「そういうことかあ、まあそれは仕方ないと思うけど…」 |
真美 | 「亜美が元気じゃないから、家に居てもつまらないんだもん」 |
真 | 「そんなに気を落とさないでさ、宿題見て欲しいんじゃなかったっけ?」 |
真美 | 「あー、そうだったあ。まこちん行こっ」 |
真 | 「え?そういえばどこでやるの?」 |
真美 | 「会議室ー、もう鍵は借りてるよ」 |
真 | 「了解、じゃあ行こうか」 |
……… |
真美 | 「えっとここはどうするんだっけ?」 |
真 | 「ほら、この式を使えば出来ると思うけど」 |
真美 | 「あ、ホントだ。ありがとー」 |
真 | 「でも小学校ってこんなこと習ってたんだっけ、すっかり忘れちゃってるなあ」 |
真美 | 「高校の勉強ってやっぱり難しい?」 |
真 | 「やっぱり小学校とは比べ物にならないほど難しいかな」 |
真美 | 「そっかあ」 |
真 | 「ボクも真美みたいに、分からないのは律子とかに聞くこともあるよ」 |
真美 | 「律っちゃん、頭良いもんねー」 |
真 | 「うん。教え方も凄く上手いし、本当に同じ事務所で良かったなあ」 |
真美 | 「真美たちは怒られてばっかりだけど…ね」 |
真 | 「それは真美たちが怒られるようなことしてるからじゃないの?」 |
真美 | 「う…確かにそうかも…」 |
真 | 「でも、律子がマジギレした時は怖かったなあ…」 |
真美 | 「それって兄ちゃんがオールスターライブに大遅刻した時のこと?」 |
真 | 「それそれ。プロデューサーに弁解する余地も与えなかったくらいだったしさ」 |
真美 | 「あの時の眼、今思い出しても鳥肌物だよー」 |
真 | 「小鳥さんが仲裁してくれなかったら、どうなったことやらなあ…」 |
真美 | 「でも兄ちゃんって強いよねー、あれだけやられてもへこたれないもん」 |
真 | 「あ、それはボクもそう思うなあ」 |
真美 | 「真美がプロデューサーだったら、あんなに言われたら参っちゃうよ」 |
真 | 「きっとボクだってそうなると思うよ」 |
真美 | 「真美たちが何をやったって受け止めてくれて…」 |
真 | 「ボクが暴走してもきちんと止めてくれるし」 |
真美 | 「本当に兄ちゃんがプロデューサーで良かったなあ」 |
真 | 「そうだね、ボクもそれは同意したいな」 |
真美 | 「ねえ、まこちん」 |
真 | 「ん?」 |
真美 | 「兄ちゃんのどんなとこが好きー?」 |
真 | 「え?ええっ!?」 |
真美 | 「…真美、何か変な質問したかなあ?」 |
真 | 「いや、そうじゃないんだけど…真美は?」 |
真美 | 「真美?真美は、優しくて面白いとこだよ。あとは真美を真美として見てくれてるとこかな?」 |
真 | 「そういうことで良かったんだ…ふう」 |
真美 | 「ねえねえ、まこちんは?」 |
真 | 「優しくてボクを女の子として見てくれてるところかな」 |
真美 | 「そっかあ…」 |
と、そこに… |
ガチャっ |
真・真美 | 「プロデューサー!」 「兄ちゃん!」 |
P | 「お、真が教えてくれてたんだ」 |
真 | 「プロデューサー、おつかれさまです」 |
真美 | 「兄ちゃん、宿題終わったよー」 |
P | 「よし、真美の宿題も終わったことだし…どっかお昼でも食べに行くか?」 |
真 | 「ええっ、いいんですか?」 |
真美 | 「真美もいいのー?」 |
P | 「真にはお礼も兼ねてな。宿題見るの頼まれたのは俺だったんだし」 |
真 | 「やーりいっ!」 |
真美 | 「兄ちゃん、早く行こーよー!」 |
P | 「ちょっと待ってな、準備してくるからさ」 |
……… |
移動の車中で… |
P | 「ゴメンな真、時間使わせちゃってさ」 |
真 | 「いいんですよ、ボクも気分転換になりましたし」 |
真美 | 「まこちんのおかげで早く済んじゃったよ」 |
P | 「良かったな、真美」 |
真 | 「でも久しぶりに小学校の教科書とか見ましたよ」 |
P | 「あー、確かに高校とは大違いだもんな」 |
真 | 「字の大きさとかもあんなに違うんだなって」 |
P | 「ハハハ、なるほどな」 |
真 | 「ところでプロデューサー、午後って時間空いてません?」 |
P | 「何かしたいことでもあるのか?」 |
真 | 「ちょっと自主練したくって…」 |
P | 「そういうことか、それなら練習部屋の鍵だけ貸すぞ」 |
真 | 「え?いいんですか?」 |
P | 「別に構わない。ついでだったら真美のも見てやって欲しいし」 |
真美 | 「真美もいいの?」 |
P | 「ああ。真美が今度やる曲は、真も良く知ってる曲だからさ」 |
真 | 「ということはあの曲、真美たちがついに出すんですね」 |
P | 「そういうこと。宿題見てもらった上に悪いんだけど、こっちも手が離せなくてな」 |
真 | 「分かりました、それじゃあご飯はいいとこにしてくださいね」 |
P | 「…しょうがないな」 |
プロデューサーは苦笑しながら、当初の予定から少しだけ進路を変えていったという…
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