Cling Closely to Your Cheak(あなたの頬へぴったりと)

ある日のこと、プロデューサーは社長室へと呼び出されていた。
「失礼します」
社長「来てくれたか君。まあそこのソファーに腰を掛けてくれたまえ」
「はい」
と、応接用のソファーへと腰を下ろしたプロデューサー。
「それで今日は何で私がここに呼び出されたのでしょうか?」
社長「まあまあ辞令などではないから安心したまえ」
「はあ…」
社長「最近君のプロデュースで皆アイドルとして大層成長しているではないか」
「あ、ありがとうございます」
社長「確かそろそろ全員ツアーを企画したいと言うのも小鳥君から聞いておるぞ」
「えっ、もう社長の耳にも入っていたのですか?」
社長「まあスケジュール管理は君と小鳥君に一任しているから、やるのなら早めに企画書を頼むぞ」
「はい、分かりました」
社長「それでだが、そうなると個別ではなく全員のグッズも必要ではないだろうか?」
「そうですね。個別やユニット別のグッズはありますが、全員の物はまだほとんどありませんし」
社長「それで今回、目玉として全員の入った写真集はどうかね?」
「写真集…ですか」
社長「個別の写真集やユニットの写真集はあるが、我が765プロ全員が入っている物は無いではないか」
「それもそうですね」
社長「全員の歌を満遍なく楽しみにして来る人にはぴったりだと思わないかね?」
「なるほど。それは面白いです」
社長「きっとパンフレットだけでは収めきれないのではないか?今の君としては」
「言われてみればそうかもしれません」
社長「100ページくらいで考えてみてくれたまえ」
「分かりました。やってみます」
………
小鳥「なるほど…大変ですねこれは」
「はい。受けてはみたものの100ページとなるとどうすればいいのか…」
小鳥「今のところ確定しているのは何ページですか?」
「それが、中の表紙と裏表紙の2ページだけでして」
小鳥「そうですか。うーん、全員のが見開きで1つは欲しいでしょう」
「そうですね。あと5つのユニットで1ページずつあった方がいいかなあ」
小鳥「あと個人もあった方が喜ばれるかしら」
「となるとここまでで…22ページですか。あと78ページもどうしたら…」
小鳥「難しいですね…」
「ん?78…13×6か…ということは…」
何やら紙に数式を書き始めたプロデューサー。
小鳥「な、何ですか?それ…数学何の範囲ですか!?」
「nCm={n(n-1)...(n-m+1)}÷{m(m-1)...1}だから、13C2=(13×12)÷(2×1)=13×6…よし、いける!」
小鳥「な、何が行けるんですか!?」
「春香と雪歩とか伊織と真美とか、2人組にした全部の組み合わせ1ページずつできるんです」
小鳥「計算式はよく分かりませんでしたけど、そうなるんですか?」
「はい。これでちょっと社長に通してみます」
まあ何だかんだで企画はライブと共に通り、その後撮影へと入っていった。
………
その中の撮影の一幕。
真美「やよいっちは今まで誰と撮影したー?」
やよい「私は律子さんと響さんと千早さんとあずささんと伊織ちゃんと…雪歩さんかな。真美は?」
真美「真美もあずさお姉ちゃんと千早お姉ちゃんはやったよー。あとまこちんにはるるんとお姫ちんだよ」
やよい「そうなんだ。私たちはどんな感じだろうね?」
真美「どうなのかな?衣装も色々あるから楽しみだよね」
やよい「そういえばプロデューサー、衣装とか持ってなかった気がするんだけど…どうなのかな?」
真美「え?あー、そういえば兄ちゃん衣装は何にも持ってなかったね」
やよい「じゃあ今回の私たちは…今の服なのかな?」
真美「そうかもしんないね。あ、兄ちゃんいた」
やよい「プロデューサー、これから撮影ですよね?」
「ああ。準備は…大丈夫だな」
真美「やっぱり、今回は普段着なんだ兄ちゃん」
「そういうことだ。あとやよいは美希と、真美は雪歩とも普段着だぞ」
やよい「分かりました。それで私たちって何ページ目になるんですか?」
「ちょっと待ってな…95ページ目だ。見開きの隣が千早と律子のページになるか」
真美「へー、そうなんだ。ってことは真美たちの相方同士だね」
「ちょうどそうなるか。負けないように良い写真を頼むぞ」
やよい・真美「はいっ」 「うんっ」
 
ここはスタジオのベッドの上。やよいと真美はの撮影も佳境に入っていた。
「次の一枚、俺からのお願いなんだけどいいか?」
やよい「どんな感じですか?プロデューサー」
「二人が本当に仲が良いって一枚が欲しいな」
真美「そんな雰囲気で言われても難しいよ、兄ちゃん」
「そうだな…真美がやよいを抱きしめてる感じかな」
真美「うーん、だと兄ちゃんこんな感じ?」
ベッドに寝ているやよいへと真美が横向きでくっ付いて腕を絡めている。
「やよい、左腕で真美の頭を抱え込んでみて」
やよい「こうですか?プロデューサー」
やよいはお互いの頬がくっつくくらいに、真美の頭を左腕で抱え寄せた。
「そうそう。真美、左はそんなにぎゅってしなくていいぞ」
真美「じゃあこの辺でいい?」
「そうだな、いい感じだぞ」
真美の左手はやよいの右のツインテールへと伸びた。
やよい「私は右手はどうすればいいですか?」
「胸のあたりに置いておけばいいんじゃないか?」
真美「兄ちゃん、足元狭いからやよいっちに絡めてもいい?」
「いいぞ。やよいのスカートが捲れないくらいでな」
真美の左脚がやよいの脚へと絡められた。
やよい「真美って暖かい、気持ちいいな」
真美「やよいっちも暖かくて、いい薫りだよん」
やよい「でも真美…やっぱり私より大きくていいなあ」
真美「そんなことないじゃん。やよいっちだって、同じくらいな感じするよ?」
やよい「そ、そうかなあ…」
「ほらほらそんなこと言ってないで、その体勢で撮影するぞ」
やよい・真美「はーい」 「りょーかい」
「それでは、撮影お願いします。細かいところは指示してやってください」
カメラマン「二人とも頬がくっ付いている方の目は閉じてくれるかな?うーん、いいよいいよ」
カシャッ カシャカシャッ
カメラマン「いい感じだね、ここまで可愛い感じはなかなか出ないよ」
「やっぱりプロだな、一番良い表情を出してくれてる」
パシャっ パシャパシャっ
そう言うプロデューサーもそんな二人を事務所のカメラで撮影していた。
………
撮影が終わり楽屋へと戻った二人。
真美「兄ちゃん、最後の奴だけ写真撮ってたよね。どんな感じになってんの?」
「見るか?じゃあやよいも来てくれ」
やよい「はーい」
プロデューサーはさっきの画面を表示したデジカメを二人に差し出した。
やよい「何だかちょっと恥ずかしいね、真美」
真美「そだね、やよいっち」
やよい「でも、この写真好き…かな」
真美「真美も何か好きかも」
やよい「プロデューサー、この写真どうするんですか?」
「そうだな…後で印刷でもしておくか。折角こんな可愛い写真だしな」
やよい「プロデューサー…そんなこと言われると照れちゃいます…」
真美「真美も…でも嬉しいよ」
「どういたしまして」
やよい「真美、プロデューサーにお礼だね」
真美「そだね、やよいっち」
「ん?」
二人はプロデューサーの両側へと行き…
やよい・真美「ありがとうございました、プロデューサー」 「ありがと、兄ちゃん」
チュッ チュッ
「やよい…真美…」
プロデューサーの両頬に、二人の少女の唇の感触がいつまでも残っていた…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
なぜ最近書いたやよいと真美なのかって?
ちょっととある画像をニコニコ静画で見た瞬間書きたくなりまして。
たぶん「百合」で検索すれば出てくるんじゃないかなと思います。
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2010・04・15THU
飛神宮子
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