Hands Lifts Brume(霧を晴らす手)

ここはある日のレッスン場…
亜美「ふいー、つーかーれーたー」
律子「ほらほら亜美、しっかりしなさい」
亜美「もう律っちゃんのレッスン厳しすぎだよー」
律子「ビシバシ扱いて良いって言ったのは亜美じゃない」
亜美「そうだけど、でもこんな厳しいなんて思ってなかったー」
律子「あずささんや伊織に比べて少し遅れてるんだから、休憩したらもう少しやるわよ」
亜美「うえー」
律子「返事は?」
亜美「…はーい」
律子「でもこうなってそれなりに経ったのね…」
亜美「もう半年だっけ」
律子「亜美はどう?竜宮小町ってユニットになって」
亜美「楽しいよー。いおりんにもあずさお姉ちゃんにも付いていくのが精一杯だけどね」
律子「このユニットに入れられるって聞いたとき、最初はどう思ったの?」
亜美「そーだなー…嬉しいのと楽しいのもあったけど、淋しいってのもあったかな」
律子「淋しい?」
亜美「今までは、ほら…真美と一緒だったもん」
律子「ああ、そっか。そうよね」
亜美「離れるとやっぱりちょっと淋しいのかな、隣にいた真美がいないって」
律子「そういう想い、させちゃってたの…」
亜美「でもね律っちゃん、面白いのは面白いよ。真美と別のことに挑戦してんだもん」
律子「亜美…」
亜美「亜美ね、竜宮小町になった時に真美と約束したんだ。一番高いところで戦おうって」
律子「真美…亜美、こっちも負けてられないわね」
亜美「うんっ」
律子「じゃあそろそろ…レッスンの続きするわよ」
亜美「んー…もうちょっと休みたいー」
律子「もう…あと5分くらいで二人とも来るからそれまでよ」
亜美「はーい」
律子「…でもそうね…私もそういう想いはあるかもしれないわ…」
亜美「どしたの?律っちゃん」
律子「ううん、何でもないわ」
亜美「でも、何だか淋しそうな感じがするよ」
律子「え?そ、ど、う…」
急に確信を突かれたのに驚いてどもる律子。
亜美「律っちゃーん、ほら全て吐いちゃいなー」
律子「そんなこと言ったって…もう…」
亜美「もしかして…やよいっちのこと?」
律子「ど、どうして…」
亜美「だって律っちゃんとやよいっちって、実の家族以上に仲が良かったじゃん」
律子「…そうね」
亜美「離れると淋しいのはきっと亜美と真美以上じゃない?」
律子「そう…かしらね」
その律子の表情はどことなく淋しいものであった。
亜美「律っちゃんはもうアイドルしないの?」
律子「今は竜宮小町のプロデューサーだもの」
亜美「でも亜美たちが一人立ちしたら?」
律子「次に入ってくる子のプロデュースを任されるかもしれないわ」
亜美「そっか…」
律子「でもね、これはプロデューサーとの約束だけど…」
亜美「約束?」
律子「そう…貴方達が軌道に乗って安定してきたら…やよいも私が受け持とうって」
亜美「その時はまた律っちゃんもやるの?」
律子「そうできたら…いいわね」
亜美「律っちゃんならまだ大丈夫だよ!だって、こんだけレッスンしても全然動けるもん」
律子「でもやよいも成長…しちゃってるからね」
亜美「どうしたの?何だか律っちゃん自信無さそうだね」
律子「それはそうよ。やよいはアイドル専業で他のユニットもそれなりに順調だけど、私は今は殆どこっちに付きっ切りだもの」
亜美「でもまだ一緒にやってるっしょ?亜美たちのユニットの合間にさー」
律子「一緒にまだやってるけど…かなり少なくなったわ。また一緒にフルで出来るかって言われたら…心配よ」
亜美「何だか律っちゃんらしくないね」
律子「そうかしら?」
亜美「だって律っちゃんっていつも自信ありまくりって感じだよ」
律子「そんなことないのよ」
亜美「何だか律っちゃんの違う一面を見たって感じだなー」
律子「フフフ、そうかもしれないわ」
亜美「ねえねえ律っちゃん」
律子「どうした…」
むぎゅっ
亜美は律子の左胸を思い切り揉んだ。
律子「ひゃあんっ!何してるの亜美!」
亜美「いや、何かいつもの律っちゃんらしくないからさ」
律子「亜美…」
亜美「怒ってるのをよく見るからかもしれないけど、やっぱりそういう律っちゃんが見てていいなーって…ね!」
むぎゅっ
亜美は律子の右胸を思い切り揉んだ。
律子「だからって二度も揉むことないでしょーっ!」
タタタタタタ… ダダダダダダ…
ついにレッスンスタジオで追いかけっこを始めてしまった亜美と律子。
亜美「律っちゃんこっちだよーっ」
律子「こらー逃げるなーっ!」
亜美「逃げるなって言って逃げない人なんかいないもーん」
律子「まったく…せっかくお菓子も用意してあるのに、いらないならあずささんと伊織とに分けるわね」
亜美「うー、物で釣るなんてズルいよー」
律子「ちゃんと謝ったらあげるわよ」
亜美「ゴメンなさーい」
律子「あら?やけに素直ね」
亜美「だってお菓子の方が欲しいもん」
律子「本当にこの子は色気より食い気なんだから…」
亜美「だって育ち盛りだもん」
律子「まあでも…ありがと亜美」
亜美「え?」
律子「何だかさっき亜美に話したので少し吹っ切れたわ」
亜美「そうなの?」
律子「うん…まずはあなた方を育て上げて、話は全てそれからだもの」
亜美「律っちゃん、やる気なったんだ」
律子「ええ。こうなったら自分の信じた道を進むだけだもの」
亜美「そうそう、それでこそ律っちゃんだよ」
律子「だから今日のレッスンもビシビシいくわね」
亜美「…えー」
律子「えーじゃないの!ほらそろそろ時間だからやるわよ!」
亜美「…うあー、何か律っちゃんの目の色変わっちゃったよー…でもま、いっか」
律子の心の中、今まで降っていた霧が少し止むのを感じていた…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
律子と亜美。律子が竜宮小町のPになってからとしては3作目になります。(前回は誕生日SS)
今までやっていたことが急になくなる寂しさ、秋のま〜ち仲の良さはやはり家族以上のものですからね。
えっと…亜美がメインのSSは今年これが最後…です。
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2011・11・15TUE
飛神宮子
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