ここはある日の事務所… |
亜美 | 「ゆーきぴょんっ!」 |
バサッ |
雪歩の後ろから、何やらをめくる音。 |
雪歩 | 「キャっ!」 |
雪歩は急な出来事に叫び声を上げるしかなかった。 |
雪歩 | 「うぅ…他にプロデューサーしかいなかったからいいけれどぉ…」 |
亜美 | 「今日はゆきぴょんらしくないのを履いてたねー」 |
雪歩 | 「亜美ちゃんっ!」 |
雪歩の顔はすっかり真っ赤になっていた。 |
P | 「こらこら二人とも、これから今日の仕事の話するんだからそっちのソファに座ってくれ」 |
雪歩 | 「プロデューサー…あの…あうぅ…見ました…?」 |
P | 「いや、だって雪歩の背中の方だったから、何も見てないぞ」 |
雪歩 | 「よ、良かったぁ…」 |
亜美 | 「えっとね、今日のゆきぴょんのは…」 |
雪歩 | 「亜ー美ーちゃーんー!」 |
亜美 | 「だいじょぶだいじょぶ、言わないって」 |
P | 「ほら、また脱線するし…」 |
雪歩 | 「す、すみません…亜美ちゃん、早く座ろうよ」 |
亜美 | 「そだねー」 |
二人はプロデューサーの向かいへと座った。 |
P | 「さて今日の仕事は前話したとおり、CMと広告用写真撮影だ」 |
亜美 | 「あずさお姉ちゃんがCMやってたとこだよね?」 |
P | 「ああ、その会社が今度中高生の新作を出すことになってさ」 |
雪歩 | 「それで…えっとどうして私だったんですかぁ?」 |
P | 「高校生で白い肌が欲しいって話でさ。そうなると雪歩が適任かなってさ」 |
亜美 | 「亜美は亜美はー?」 |
P | 「たまにはこういう役もどうかなってことでさ、中学生の中で誰を選ぼうか迷ったけどなー」 |
亜美 | 「迷ったの?」 |
P | 「亜美って他のみんなと比べて、あまりこういうちょっと大人びた仕事はやらせてなかった気がしてさ」 |
亜美 | 「やよいっちもしてないじゃん」 |
P | 「あれ?憶えてないか?やよいは結構前に律子と一緒にやってるぞ」 |
雪歩 | 「あ…あの水着の可愛かったやつですよね?」 |
P | 「それそれ。むしろあれは律子が恥ずかしがってなあ…」 |
亜美 | 「律っちゃんって苦手って言ってたよね、水着姿見られるの」 |
P | 「ああ。説得して何とかなったけどさ、あれは大変だった」 |
雪歩 | 「でもあのCMのやよいちゃんはちょっと艶かしい感じだったなぁ…いつもよりちょっと大人びた感じで」 |
P | 「そういうコンセプトの水着だったからな、元気っ子の脱皮って感じでさ」 |
亜美 | 「律っちゃんも身体の魅力を惜しみなく出してたねー」 |
P | 「途中で吹っ切れさせたからなあ…」 |
亜美 | 「あれ?もしかして、さっきのゆきぴょんのって…」 |
雪歩 | 「うん…亜美ちゃんもこの前プロデューサーから渡されたよね?」 |
亜美 | 「あ…あーっ!」 |
P | 「え、もしかして今日付けて来なかったのか?亜美」 |
亜美 | 「ちょっち待って…朝確かめて来たけど」 |
バッ |
急に上着を捲り上げた亜美。 |
雪歩 | 「ちょ、ちょっと亜美ちゃん!プロデューサーが見てるんだよ!」 |
亜美 | 「え?あ、そっか。でも兄ちゃん、ガン見してるね。スケベー!」 |
P | 「急にやったら見ちゃうだろうよ。ちょっとそっち向いてるから」 |
亜美 | 「えっとゆきぴょん、これだっけ?」 |
雪歩 | 「え?うん、これだよ。ほら、プロデューサーがいるんだから早くしまってね」 |
亜美 | 「うん。ということで、大丈夫だって兄ちゃん」 |
P | 「もういいのか?」 |
亜美 | 「いいよー」 |
P | 「ふぅ…でもいきなりそういうことするなって、亜美」 |
亜美 | 「そんなこと言って、嬉しかったっしょ?女の子のこういうの見れて…」 |
P | 「そりゃ男としてはだな…ってそういうことじゃなくて!」 |
雪歩 | 「でも…恥ずかしくなかった?亜美ちゃん」 |
亜美 | 「んー、面白いもん。そっちの方がちょっとだけ勝ってるかなー」 |
P | 「そろそろ詳しい話するから、ちゃんと聞いてくれよ」 |
……… |
ここはそのCMの撮影現場。 |
雪歩 | 「今日の私をちょっとだけ…」 |
亜美 | 「変えてみるのもいいよね」 |
普段着の二人がくるんと回ると、下着姿の二人に変わった。 |
雪歩 | 「いつもの私を大人っぽく」 |
亜美 | 「だけど可愛くアクティブに」 |
雪歩 | 「おしゃれは見えないところから」 |
亜美 | 「自分らしくやっちゃおうよ」 |
雪歩 | 「○○○からティーンズ向け新ブランド」 |
雪歩・亜美 | 『△△△△』 |
亜美 | 「これで、気になるあの子を堕としちゃおっ」 |
……… |
場所は変わってここは楽屋… |
亜美 | 「兄ちゃん、ただいまー!」 |
雪歩 | 「プロデューサー、戻りましたぁ」 |
ガウンを着た二人が楽屋に戻ってきた。 |
P | 「おかえり、二人ともおつかれさま」 |
亜美 | 「それで兄ちゃん、亜美たちどうだった?」 |
P | 「バッチリだった。アクティブさはやっぱり亜美で良かったな。雪歩のお淑やかさといい感じで対比もできてたし」 |
雪歩 | 「そ、そんな、かい被り過ぎですよぉ…」 |
P | 「でも綺麗だったぞ、雪歩」 |
雪歩 | 「ありがとうございますぅ…」 |
亜美 | 「だけど、撮影現場にいた男の人って兄ちゃんだけだったね」 |
P | 「そうだろうな。ああいう現場にいる方が珍しいだろうし」 |
雪歩 | 「あの…プロデューサー…」 |
P | 「どうした?雪歩」 |
雪歩 | 「ちゃんと、見てみますか?」 |
P | 「えっ…」 |
バッ |
雪歩は着ていたガウンの前を開けた。 |
P | 「ゆ、雪歩…」 |
そこには、CMの時の下着の雪歩があった。 |
雪歩 | 「ど、どうですか?ぷ、プロデューサー…」 |
雪歩はすっかり全身が赤みを帯びている。 |
P | 「い、いつもの雪歩より少し大人な感じ…するよ」 |
雪歩 | 「あう…でもそう言われると…嬉しいかもですぅ…」 |
亜美 | 「兄ちゃん兄ちゃん、亜美はー?」 |
バッ |
亜美も着ていたガウンの前を開けた。 |
P | 「あ、亜美か…何だろう…ちょっといつもの背伸びした大人って感じじゃないな」 |
亜美 | 「それって、自然に大人っぽくなれてるってこと?」 |
P | 「そうだな…って二人とも早く服着てって!」 |
雪歩 | 「亜美ちゃんそろそろ服着ようよ」 |
亜美 | 「そだね。じゃあ兄ちゃん、外で待っててね」 |
P | 「分かった。ドアの前で待ってるから、着替えたらそっちからドアノックしてくれ」 |
プロデューサーは外でもさっきの光景がずっと目に焼きついていたという… |