キョロ…キョロキョロ… |
雪歩 | 「だ、誰も居ないのかなあ…」 |
1月1日の事務所に一人の少女。電気は点いていないようだ。 |
亜美 | 「ゆきぴょん、明けましておめでとーっ!」 |
雪歩 | 「わ、わわっ!!」 |
と、そこに扉の陰に隠れていたもう一人の少女。 |
どんっ |
驚いた雪歩はそのまま尻餅をついてしまった。 |
雪歩 | 「…亜美…ちゃん?」 |
亜美 | 「あったりー!明けましておめでとー」 |
雪歩 | 「明けましておめでとう亜美ちゃん。でももう、本当にびっくりしたんだよ」 |
亜美 | 「えへへ、ごめんなさーい」 |
雪歩 | 「ところで亜美ちゃん、他のみんなは…?」 |
亜美 | 「まだだよー。真美も来てないもん」 |
雪歩 | 「えっ…どうして…?」 |
亜美 | 「今日は真美がテレビ出演してるんだよ」 |
雪歩 | 「ああ、そっかあ…亜美ちゃんは行かなくて良かったの?」 |
亜美 | 「うん。今日は人が多そうだから、あんまり多いと混乱するかもだって」 |
雪歩 | 「そうなんだ…」 |
亜美 | 「他のみんなは夕方くらいから来るってー」 |
雪歩 | 「え、せっかく早く来たのに…うう…」 |
亜美 | 「ゆきぴょんって、昨日メール来なかった?」 |
雪歩 | 「えっ…」 |
亜美 | 「『今日の新春パーティは夜からだ』ってメールが、兄ちゃんから来てたはずだよー」 |
雪歩 | 「ええーっ!?」 |
カチャッ |
と、携帯電話を開けて操作し始める雪歩。 |
雪歩 | 「あ、ホントだあ…どうしよう…」 |
亜美 | 「亜美も実は暇なんだよねー、しかも一人だからつまんないもん」 |
雪歩 | 「んー…それなら亜美ちゃん」 |
亜美 | 「え?」 |
雪歩 | 「亜美ちゃんは時間あるんだよね?」 |
亜美 | 「うんっ」 |
雪歩 | 「それなら…」 |
|
カポーン |
雪歩 | 「気持ちいいなあ…亜美ちゃん、湯加減はどお?」 |
亜美 | 「ちょうどいいよー」 |
どういうわけか、露天風呂に入っている二人。 |
亜美 | 「でも本当だったんだ、いいなあ」 |
雪歩 | 「私が穴掘ってたら、出てきちゃったんだ」 |
亜美 | 「温泉が家にあるって凄いよー」 |
雪歩 | 「うーん…でもこうやって友達とか呼ぶのも久しぶりかなあ」 |
亜美 | 「えっ、そうなの?」 |
雪歩 | 「真ちゃんを呼んだのも結構前だし…」 |
亜美 | 「やっぱりまこちんって結構来てるんだ」 |
雪歩 | 「やっぱり…って、みんなそう思ってるのかな?」 |
亜美 | 「だって、まこちんとゆきぴょんがそういう仲なのは周知の事実だよー」 |
雪歩 | 「ええーっ!?」 |
亜美 | 「え?もしかして知らぬは本人ばかりなりなの?」 |
雪歩 | 「だって…」 |
亜美 | 「みんなゆきぴょんたちは知ってると思ってたよ」 |
雪歩 | 「そ…そんなことないからね」 |
亜美 | 「えーっ」 |
雪歩 | 「そろそろ身体洗おっか」 |
亜美 | 「んー、そだね。湯あたりしてもアレだしねー」 |
雪歩 | 「はい、これ使って」 |
亜美 | 「分かったー」 |
雪歩 | 「亜美ちゃん、背中流してあげるね」 |
亜美 | 「え?うん、ありがとー」 |
ごしゅごしゅごしゅ |
雪歩 | 「どう?力は強く無いかな?」 |
亜美 | 「ちょうどいいよ、気持ちいいー」 |
雪歩 | 「良かったあ。真ちゃんだともっと強くなきゃダメだから…」 |
亜美 | 「へー、やっぱりそういうくらいの仲なんだー」 |
雪歩 | 「あっ…うう…」 |
ちょっと顔を紅くした雪歩。 |
雪歩 | 「亜美ちゃん、これは内緒だよ」 |
亜美 | 「う?う、うん。でも、これくらいはいいんじゃないの?」 |
雪歩 | 「でも、恥ずかしいもん…」 |
亜美 | 「あ、もういいよゆきぴょん。ゆきぴょんもやってあげるからそっち向いてー」 |
雪歩 | 「え?う、うん…」 |
ごしごしごしごし |
亜美 | 「どうかな?これくらいでいい?」 |
雪歩 | 「あ、もうちょっとだけ弱くして欲しいなあ」 |
亜美 | 「分かったー、でもゆきぴょんの肌って白いねー」 |
雪歩 | 「そうかな?」 |
亜美 | 「ほら、亜美の腕と比べてよ」 |
雪歩の腕の横に自分の腕を出す亜美。 |
雪歩 | 「あ、本当だね…もうちょっと色が付いたほうがいいのかな?」 |
亜美 | 「でもそれがゆきぴょんの魅力だと思うよ」 |
雪歩 | 「え?あ…ありがと、亜美ちゃん」 |
亜美 | 「亜美より胸もあるし、いいなあ…」 |
雪歩 | 「キャッ!でも、私なんてひんそーでちんちくりんだよ」 |
亜美 | 「そんなことないよー。そんなこと言ったらまこちんや千早お姉ちゃんが怒っちゃうよ」 |
雪歩 | 「………でも、亜美ちゃんはまだ成長期だから…」 |
亜美 | 「あずさお姉ちゃんみたいになれるかな?」 |
雪歩 | 「あずささんくらいになれるかは分からないけど…亜美ちゃんなら大丈夫」 |
亜美 | 「あずさお姉ちゃん、ばゆんばゆんだもんねー」 |
雪歩 | 「うん…憧れちゃうな」 |
亜美 | 「せめて律っちゃんくらい…ううん、はるるんくらいまでなりたいなー」 |
雪歩 | 「でも…女の子は胸だけじゃないよ…うん」 |
亜美 | 「あ、そっかあ…うん、そだよね」 |
雪歩 | 「だから…亜美ちゃんは亜美ちゃんらしく…ね」 |
亜美 | 「亜美は亜美らしく…うんっ!」 |
雪歩 | 「それじゃあシャワーで流したら、もう一回お風呂に入って上がろうね」 |
亜美 | 「えっと、あとどれくらい時間あるの?」 |
雪歩 | 「うーん、ゆっくり浸かるくらいの時間はあるよ」 |
亜美 | 「じゃあ寒いし、ゆっくり入ってから行こーねっ」 |
元日の寒い空気の中、二人の仲は温かくなっていった… |