ここは年も末の765プロ事務所… |
? | 「はあ…何で呼ばれたんだろう…」 |
そこには中性的な人が一人。 |
? | 「まあいいや、どうせ律子姉ちゃんに何か頼まれごとだろうし…」 |
Ding Dong♪ |
その人物は事務所の呼び鈴を鳴らした。 |
……… |
小鳥 | 「あら?誰かお客さんかしら…はーい」 |
涼 | 「あ、すみません。876プロの秋月です」 |
どうやらその人は秋月涼だったようだ。 |
小鳥 | 「秋月…あ、涼くんね。どうぞ入って」 |
ガチャっ バタンッ |
涼 | 「音無さんご無沙汰してます、秋月涼です」 |
小鳥 | 「お久し振りね涼くん、元気だったかしら?」 |
涼 | 「はい。こっちは3人とも元気でやってます」 |
小鳥 | 「それは良かったわ。それでどうしたの?」 |
涼 | 「あの、その、律子姉ちゃんに呼ばれて来たんですけど…」 |
小鳥 | 「律子さん?律子さんは今日はま〜ちのお仕事があるから、戻ってくるのはあと2・3時間ね」 |
涼 | 「ここで待たせてもらっていいですか?」 |
小鳥 | 「ええ、いいわよ。ちょうどそこに遊び相手が欲しそうな子がいるから」 |
涼 | 「え?」 |
小鳥の指差した先には… |
小鳥 | 「真美ちゃーん!」 |
真美 | 「え?ピヨちゃん…あ、涼ちんだー!」 |
涼 | 「こんにちは…えっと、真美ちゃんだね」 |
真美 | 「うん。今日はどったの?」 |
涼 | 「ちょっと律子姉ちゃんに呼ばれてさ」 |
真美 | 「そうなんだー」 |
涼 | 「そう言う真美ちゃんは?」 |
真美 | 「亜美と一緒に来ただけだよ。亜美はまこちんと一緒にラジオに行ったけどね」 |
涼 | 「そっか」 |
真美 | 「あ、じゃあ律っちゃん来るまで暇ってことだよね?」 |
涼 | 「そうなるかな」 |
真美 | 「それじゃあ一緒に遊ぼうよ」 |
涼 | 「え?僕?」 |
真美 | 「うん。今これ一人でやってたけどつまんないんだもん」 |
涼 | 「これかあ、確かに対戦系は相手が居ないとどうしてもそうなるよね」 |
真美 | 「ねえねえ、やろうよやろうよ」 |
涼 | 「うーん、しょうがない。ちょっとだけだよ」 |
真美 | 「え、どーして?」 |
涼 | 「あんまり長い時間やっていると律子姉ちゃんみたいに目が悪くなっちゃうよ」 |
真美 | 「まあそーだね」 |
涼 | 「じゃあ2コン貸して」 |
真美 | 「うん」 |
……… |
真美 | 「うあー、涼ちん強いよー」 |
涼 | 「だって、手加減しなくて良いって言ったよね?」 |
真美 | 「そうだけど、まさかここまでこのゲーム知ってるなんて思わなかったもん」 |
涼 | 「友達の家でちょっとやってたことあるからさ」 |
真美 | 「そんなちょっとってレベルじゃないっしょ?」 |
涼 | 「う…まあね」 |
真美 | 「あーあ、これで一通り終わっちゃったね」 |
涼 | 「うん、じゃあそろそろやめようか」 |
真美 | 「そだね、涼ちんはこれからどーすんの?」 |
涼 | 「そうだなあ…まだ時間まで1時間以上ありそうだしなあ…」 |
真美 | 「じゃあ…レッスンかなんかしてく?」 |
涼 | 「レッスン?」 |
真美 | 「何か涼ちんのダンス、久々に見てみたいなーって」 |
涼 | 「ええっ、ぼ、僕の?」 |
真美 | 「うん」 |
涼 | 「えっと…」 |
小鳥 | 「涼くん、見せてあげたらどう?」 |
涼 | 「お、音無さん…!」 |
小鳥 | 「減るものじゃないでしょ?」 |
涼 | 「そうですけど…そうですね、まだ時間もありますし」 |
真美 | 「やっほーい!あ、ピヨちゃんここのレッスン場空いてる?」 |
小鳥 | 「ダンスは…4時過ぎから響ちゃんと伊織ちゃんが使うけど、それまでには律子さんも帰ってくるわね」 |
涼 | 「あ、僕着替えが…」 |
小鳥 | 「それなら、この前こっちで預かったのがまだ残ってるわよ」 |
涼 | 「この前の…ああっ!」 |
小鳥 | 「それが確か…あ、その棚の中にあるわよ」 |
涼 | 「じゃあそれまたお借りします…じゃなくて、今度は持ち帰りますね」 |
真美 | 「こっちでの練習用に置いておけば?」 |
涼 | 「うーん、でも悪いし…」 |
小鳥 | 「いいのいいの、気にしないで良いわよ涼くん」 |
……… |
そしてレッスン場前のロッカールーム… |
真美 | 「ねえねえ涼ちん、入ってこないの?」 |
しかし涼は気を遣って中に入ってこない。 |
涼 | 「え、だって…女の子の着替えを僕が見てても…」 |
真美 | 「あ、そっか…でも、別にいいよ」 |
涼 | 「いいの?」 |
真美 | 「涼ちんくらいだったら、別に知らない人じゃないもん」 |
涼 | 「ま、まあ真美ちゃんがそこまで言うなら…」 |
ガチャっ |
入ったその時に涼が見た光景は… |
涼 | 「ええっ!?真美ちゃん、その格好…」 |
真美 | 「んっふっふ〜、もう涼ちんのえっちー」 |
涼 | 「そ、そう言われても…」 |
真美 | 「びっくりした?真美の下着姿」 |
涼 | 「びっくりも何も、早く隠してって!」 |
真美 | 「りょーかいっと」 |
真美はようやくジャージを着た。 |
真美 | 「でもそんなに驚くなんて思わなかったよ」 |
涼 | 「それは驚くって、可愛い子にそんな格好されちゃったらさ」 |
真美 | 「え?可愛いって…真美のこと?」 |
涼 | 「うん」 |
真美 | 「兄ちゃん、本当にプレイボーイだね。でも…ありがと」 |
チュッ |
真美は涼へそっと口付けした。 |
真美 | 「可愛いって言われると女の子って誰でも嬉しいんだよ」 |
涼 | 「ま、真美ちゃん…」 |
涼の唇には柔らかい唇の感触がいつまでも残っていたという… |