My Own Arch(自分なりのホームラン)

ここはある日の…
やよい「プロデューサーとって久しぶりかもですー」
「ああ、そうかもなあ。最近はずっと律子が一緒だったんだよな?」
やよい「はい。去年の律子さんの誕生日からはほとんどずっとでした」
「今日は俺がプロデューサーだから、何でも言ってくれよな」
やよい「はいっ!あ、そういえば律子さんって今日は何があったんですか?」
「え?聞いてないのか?」
やよい「はい…メールも何だか急いでいたみたいで、詳しいのは何も書いてなかったんです」
「今日は急に入った竜宮小町の方の仕事だぞ。急いで車飛ばして行ったくらいだからさ」
やよい「そうだったんですかー」
「一人でも大丈夫だよな?」
やよい「たぶん大丈夫だと思います」
「じゃ、これから打ち合わせするからそっちのソファに座って」
やよい「はーいっ」
………
「それで質問はあるか?」
やよい「えっと、ここの律子さんの入る予定だった部分ってどうするんですか?」
「ああ、そうだったな。ここはやよいがそのまま入ってくれ。もう片方の司会が何とかするって話だ」
やよい「あと、このインタビューは後ですか?それとも先?」
「前の対決が終わった後にインターバルがあるから、その時だな」
やよい「分かりましたー」
「それにしてもやよいも…」
やよい「わ、私がどうしましたか?」
「随分と大人になったな」
やよい「そ、そうですか?」
「前だったらこんなに質問とかしてこなかったじゃないか」
やよい「たぶんずっと律子さんと一緒だったからかもしれないです」
「そうだよな。律子と組ませた時から比べたらだいぶ変わったよ」
やよい「ありがとうございますっ」
「でもどうしてなんだ?」
やよい「んー、たぶん律子さんとの活動が少なくなっていた時があったからです」
「そうなのか?」
やよい「律子さんとちょっと離れて活動するようになってから、律子さんに頼りきりだったなって思ったんです」
「そうだったかな」
やよい「律子さんからちょっと距離を置いてから、私一人でやろうとしても何もできなくって…」
「………」
やよい「何でだろうって思ったら、ずっと律子さんに付いていってただけだったんだって分かったんです」
「なるほどな」
やよい「だから、自分の出来ることは自分でしなくちゃって考えるようになりました」
「それからだったっけか?人一倍練習するって言い始めたのもさ」
やよい「はいっ。私、律子さんみたいに頭が良いとかじゃじゃないですから」
「ちょっとやり過ぎとか俺も思ったけど、やよいのやる気に押されてなあ」
やよい「プロデューサー、私のやったことってやっぱり間違っちゃってましたか?」
「いや、そんなことは無いぞ。大丈夫かって心配になっただけだからさ」
やよい「あ…プロデューサー、時間大丈夫ですか?」
「え?あ、そうだな。事前のインタビューがそろそろか」
やよい「選手の人とたくさん会えるのが楽しみですっ」
「そういえば今日の相手方の司会の人は会ったことあったっけ?」
やよい「この前この番組のCM撮りしましたよー」
「ああ、律子が一緒だったから忘れてたよ」
やよい「その時に初めて会ったんですけど、私も負けちゃいそうなくらいのお姉ちゃんって感じでした」
「お、そうなのか。じゃあそろそろ行くか。事前インタビューは一緒で…」
そこに…
コンコン
姫川友紀(友紀)『高槻ちゃんもう行けるー?』
やよい「あ、来たみたいですっ。もういいですよね?」
ソファから立ち上がったやよい。
「おう。ちょっと待って…」
パンパンッ
やよいの服を整えたプロデューサー。
「よし、行ってこい」
やよい「あ、その前にプロデューサー…ハイターッチ!」
パシンっ
二人の手の平から高らかにタッチ音が響き渡る。
やよい「イエイっ!じゃあ行ってきますね。姫川さん、今開けまーすっ」
………
友紀「次の競技は…」
やよい・友紀『目指せホームランっっ!!』
ワーーーーーー
観客席から歓声が上がった。
友紀「はいっ、じゃあ高槻ちゃん競技の説明をお願いねっ」
やよい「はーいっ。えっと、両方のチームから3人ずつ、このティーのボールを打ってもらいまーす」
友紀「今回はただ打ってもらうだけじゃないんだよー」
やよい「線が引いてあるところに書いてある得点が入りまーす。ホームランは100点ですっ」
友紀「でも、ファールしたらマイナス50点だから気を付けてーっ」
やよい「あとあと、フィールドの上には私と…」
友紀「あたしの的がいくつかあるからね」
やよい「相手チームのに当てたらマイナス100点、自分のチームだったらボーナス50点でーす」
友紀「ホームランをかっ飛ばすか、的を狙うかは君次第だよーっ」
やよい「姫川さんのチームから紹介お願いしますっ」
友紀「はーい。うちのチームはチーム一のかっ飛ばし屋◎◎選手と…」
ワーーワーー
………
友紀「全競技終わったーっ!」
やよい「じゃあ発表でーすっ。後ろの方の打順のところを見てくださーい」
友紀「10位より下のチームは発表されないからねっ」
やよい「まず9位は…」
 
やよい「優勝は最後の馬跳びで大逆転した△△△△△△△でしたーっ!」
ワーーーーーー
観客席から響く大歓声。
やよい「うう…負けちゃったぁ…」
友紀「高槻ちゃん落ち込まないでよー」
やよい「そ、そうですね。あの、じゃあ姫川さんインタビューをお願いしまーす」
友紀「はーい、じゃあ行って来るねーっ」
………
ここは終わった後の楽屋…
やよい「はーっ…疲れちゃいましたー」
「ごくろうさま、やよい。しかしよく走り回ったなあ」
やよい「はいっ。あんなにいっぱい人が見てたから、何か気持ちがぐわーってなっちゃったんです」
「そうか…ドームコンサートもやったんだけどそれとは違うのか?」
やよい「でもでも何か雰囲気が違う感じでしたっ」
「それにしても息もぴったりで良かったな」
やよい「律子さんファンの人にはちょっとゴメンなさいでしたけど…」
「それくらいはやよいが気にしなくていいさ。律子には今度のライブで挽回してもらおう」
やよい「じゃあじゃあ私もまた頑張らないとですねっ」
「そう、その意気だ」
やよいの顔はまた飛び切りの笑顔へと返り咲いていた…
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あとがき
どもっ、飛神宮子です。
やよいのお仕事。今回は確か年始にやっていた某番組を参考にしました。
前回の律子とのSSとちょっと繋がっている感じですね。
自分だからできること、自分でやるべきこと、やよいはそれを考えられる女の子だと思います。
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2013・01・31THU
飛神宮子
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