Ambiance on All today(「今日」という空間)

ここは11月の…
美希「ハニー、準備はOKなの?」
一人の少女が嬉しそうにカメラを構えていた青年に声をかけた。
「ああ、始めてくれて構わないぞ…ってどうした?」
その青年は何だか気乗りしていない感じの少女へと声をかけた。
「予想はしてたけど…でも…」
「その割には上位3人にきっちり入れてたよな?」
美希「なに話してるの?ハニーと真クン」
「いや、こっちの話さ」
「これからの予定についてだって」
美希「むー、何か違う気がするけど…でもいいの」
「ほら、こういう機会なんだからそういうことは言いっこなしだ」
「分かってます…雪歩にも言われてるんで」
「…苦労してるんだな、真も。よし、じゃあカメラ向けるから始めてくれ美希」
美希「はーいなの!はい、ミキは星井美希なの!今日は…」
プロデューサーはカメラを持ちながら気をつけながら後ろへと下がった。
美希「新潟なの!今日のミキの誕生日から3連休だから来ちゃったんだ」
その顔は何だか嬉しそうだ。
美希「それで今年の誕生日は一緒に旅行してくれる人がいるんだけど…紹介するね!」
美希は真に手招きをした。
美希「はい、ミキのパートナーは…」
「菊地真ですっ。美希とはこうやって一緒なのは…初めてだっけ?」
美希「んー、どうだったかなぁ…」
徐々に縮まっていく美希と真との距離。
「…って、いきなりそんな近付かないでってば!」
美希「えー、だって今日はミキの誕生日だよ」
「それはそうだけどさあ…」
美希「ということで今日と明日はミキと真クンで一緒に旅をしてくの」
「うん…」
美希「だから今日くらいこうやってくっ付いてもいいかなって思うな」
「仕方ないか…もうこれは決まっちゃったことだしさ」
美希「じゃあ説明するね。今日はまず千早さんたちとは反対に新潟市から南方向に行くの」
「そして明日は長岡市から南の方へと行くことになってます」
美希「それでこれからどうするの?」
「プロデューサー、どうするんですか?」
「よし、これから昼ご飯だけど…美希、お寿司でも構わないか?」
美希「えー、米どころに来たのにお寿司なのー?」
「明日はたっぷりお握り食べさせることになってるんだけどさ」
美希「うーん、それなら…うん、いいよ」
「よし、じゃあ行くぞ。それ食べたら南に向けて色々回るからな」
真・美希『はーい』
………
その夜、ここはとある温泉旅館の一室。ただ、不穏な空気が漂っていた。
むすっ
自分の布団に真に背を向けて座り、膨れっ面の美希。
「美ー希ー」
真はなだめるように自分の布団に座って声をかけていた。
美希「………」
「機嫌直してよ美希、今日のことは悪かったよ」
美希「………」
「でも街中であんなことされたら、さすがに誰だってああするじゃないか」
美希「………」
「だけどあれはやりすぎたよ…本当にゴメン…」
美希「…本当にそう思ってるの?」
「そうじゃなければこんなこと言わないよ」
美希「…真クン…許してあげる代わりに、一つだけお願いがあるの」
「えっ…?」
美希「今日だけは…ミキのことだけを…」
そして振り向いた美希…
美希「ミキのことだけ…考えて欲しいの…」
「美希…」
美希「分かってるの…真クンの心の中には雪歩がいて、それが絶対の物だって…」
「………」
美希「でもミキだって真クンが好き…それだけは変わらないし、変えられないもん…」
「ゴメン…」
美希「真クンが謝ることないの」
「今日は美希の誕生日なのに、美希の気分を害しちゃったんだ。謝らなきゃいけないよ」
美希「真クン…」
「雪歩からちゃんと聞いたしお願いされたんだ。この二日間だけは美希のことだけを考えてって…」
美希「雪歩…雪歩が…なの?」
「それなのにボクは…ボクの心が…美希のことちゃんと考えてあげられなかったんだ」
美希「………」
「美希…っ!」
がばっ
美希「ま、真クンっ!?」
真はいきなり美希に覆い被さった。そして…
ちゅううぅぅぅぅっ
唇を奪った。
美希「!?!?」
その突然の展開に目を白黒させる美希。
ぷはあっ
唇が離れた真が一言…
「美希…今日はボクのこと…全部食べてよ」
美希「い、いいの?」
「今日は美希にボクの全てを…感じて欲しいんだ」
美希「それなら…約束して?」
「約束?」
美希「うん……雪歩のこと、大切にしてね。でも…今日だけはミキのことだけ…感じて…」
「分かってるよ。美希が気の済むまで…ボクの事メチャメチャにして構わないよ」
美希「真クンも…本当のミキを…知って欲しいな」
「…うん」
バッ
真は両脚を美希の身体でまたぐ形になって、美希の浴衣をその手で両側に開いた。
美希「真クンのも…見せてね…」
「いいけど…」
スルスルスル
真は両肩から袖を抜いていき、浴衣を肌蹴させた。
「ど、どうかな?」
美希「真クンの肌…」
ちゅっ…
「んっ…!」
美希はそっと真のどこかへと吸い付いた。
「やったなぁっ、美希っ」
その合図は二人だけの空間の色を瞬く間に変えていった…
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あとがき
飛神宮子です。
2012年誕生日SSシリーズ、来月の雪歩はもう真と行ったので今月の組み合わせ自体はこれしかありませんね。
美希も心では分かっています。だけど…その間で揺れ動いているというところで、折角の誕生日なのに無下にされたのでしょうね。
真も一人の大切な心を、自分の勝手で傷付けてしまった…という心が最後に動かしたということです。
HAPPY BIRTHDAY!! Miki HOSHII.
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2012・11・22THU
飛神宮子
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